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あなたの英語はネイティブ何歳レベル?vol.13<イギリス小1の九九>

イギリスの現地校ではYear2(小1)という学年になると九九が始まりますが、こちらの九九表を眺めていて、はじめ違和感を覚えました(日本より始めるの早いし・・)。「なにかおかしい・・」と思ったら、こちらでは九九の覚え方が日本と異なり「いんいちが1」「いんにが2」の右側の掛ける数が日本と逆なんです。どういうことかといいますと、

1×1=1
2×1=2
3×1=3
4×1=4

となるのです。「いんいちが1」に慣れている身としては、これまたカルチャーショック。これを見たせいか、改めて日本の九九の覚え方(歌)はよくできてるなぁと思いました。

縦長スミマセン💦

ちなみに英語では、写真にもあるように

times tables 九九

といい、例えば八の段なら

x 8 Table = eight times table

といった感じになり、日本にはない12の段まで覚えさせます。

日本式VS現地式:九九の覚え方はどっちがいい?!

海外の現地校で教育を受けさせている家庭では、子供に日本式の九九を教えるか、教えないまま現地式だけにしておくか迷う、という話をときどき聞きます。

私は先輩ママに聞いて、「日本の方が効率的だし、絶対九九は覚えさせた方がいい」というゴリ押しがあったので素直にそれに従いました。とはいうものの、子供もそれぞれなので、教えたくても子供が嫌がって受け入れてくれない、という場合も。現にそのママさんでも、上の子には通用しても下の子には無理だったと言っていました。

と、これは数年前にのんきに書いたメモなんですが、わが家の下の子が実際にその学年になったとき、まったく同じことが起きてしまいました。

きょうだいでも分かれる指導法

現地校通いの場合、算数に限らず国語やそのほかの科目でも、日本のやり方や日本語そのものを、どの程度子供が受け入れられるかという点においては、“兄弟(きょうだい)格差”のようなものがでてくることがあります。

理想はどちらの言語も半々ずつ、というより、本当は「2倍」が望ましいのですが、実際はどちらかの言語、方式に偏りがちです。どちらの言語の割合を高くしたいか、という点に関しては親の考えのほかに子供のタイプ、要領などいくつかの要素によるので、「兄弟格差」という言葉は適切でないかもしれません。

けれど、特に下の子になればなるほどありがちな傾向ですが、きょうだいのうちどちらか一方は他方と比べて「言語の現地化が著しく激しい」というパターンは、実際にありそうです。母親によっては上の子への日本語指導に張り切り過ぎて、下の子にまで余力が渡らず力尽きてしまった、というケースを耳にします。

これは私自身にも当てはまることで、上の子に「ようやく九九を覚えさせた。これで安泰」とホッとしていたのも束の間、ふと気づいたらある日、子供はもうスッカリ忘れていて焦ったことがあります。

言語と同じで、九九も基本は丸暗記なので普段から使わないとあっという間に忘れてしまいます。そんなこともあり、上の子の定期的な復習をさせるだけで手一杯で下の子までは・・という気持ちが芽生えてしまい、つい下の子の勉強をみるのをおろそかにしてしまうことがあります。

なお、日本人だけでなく、わが子が通う学校にいる欧米人やほかの国の家庭でも、下の子ほど現地化が進み、母国語が弱いというケースがあります。

悩む海外子育て:バイリンガルの種類

いざ、下の子の番!となり日本式の九九を試してみると、英語に触れる時期が上の子より早かったせいか、日本語での九九は定着せず、私も忍耐が続かず現在進行形で不完全なままとなっています・・。

結果、わが家の子供たちは在英6年目にしてバイリンガルならぬ、日本語も英語も中途半端な「ダブルリミテッド」になってしまいました。

以前(昔)は帰国子女といえばバイリンガル、というイメージ一択だった気がしますが、もともと?学術的には細分化されたものが何種類もあるようです。大阪大学学術情報庫が無料公開している論文も読みましたが、「旅する応用言語学」という個人ブログにて、よりわかりやすく解説された箇所があったので引用させていただきます。それによると

バランス・バイリンガル:年相応のレベルまでどちらの言語も高度に発達しているケース
ドミナント・バイリンガル:ひとつの言語は年相応のレベルまで発達しているが、もうひとつの言語が明らかに弱いケース
ダブル・リミテッド・バイリンガル:どちらの言語も年相応のレベルまで達していないケース

旅する応用言語学

大まかにいって、これら3種類に分かれるそうです。英語ではさらに違った呼び名と種類があり、その一部として

バランス・バイリンガル → 高度(に発達した)バイリンガリズム(proficient bilingualism)
ドミナント・バイリンガル → パーシャル・バイリンガリズム(partial bilingualism)
ダブル・リミテッド・バイリンガル → リミテッド・バイリンガリズム(limited bilingualism

旅する応用言語学

といったものが挙げられます。「ダブル・リミテッド」は日本語においてわかりやすく?表現されたものかもしれず、英語では「limited bilingualism」の方が検索結果として上がってくるようですが、私はその単語でもなかなかうまい記事にたどり着けませんでした。

唯一耳にしたこともあり、わかりやすいものとして「セミリンガル」という資料には出会いましたが、このブログの筆者は言語学の研究をされており「Google Scholarで論文検索」をしたとあったので、私のような素人とは調べ方が違うのだと思われます。

年齢に応じた問題点

わが子の場合、引き続き参照させていただくこちらのブログにあった

タイプII:文字・基礎的読み書きの習得の問題(4歳から9歳ぐらいまでに現れる基礎的な読み書き能力の習得の問題)

旅する応用言語学

に、特に下の子が当てはまり、「英語力が伸び、日本語力が下がっていく(または停滞する)」どころか、ふたりとも下がり切った状態です。下の子は2歳でイギリスに来たので、もともと日本語力はないに等しいです・・。上の子は年齢上、これに輪をかけて(というより、下の子も結局は同じ道)

タイプIII:高度な読み書き能力と抽象的な語彙習得の問題(小学校高学年〜高校までに現れる、高度な読み書き能力・抽象的な語彙習得の問題)

旅する応用言語学

に該当してしまっており、つい最近も日本語教師の母親に「会話と国語は違う」とまたまた苦言を呈されたように、

「日常会話能力と学問的な思考をするときに必要な学習言語能力は違うと言われているので、後者の学習言語能力がどちらの言語でも身に着かない状態。どちらの言語でも抽象的な語彙数が少なかったり、読み書きや内容理解が困難になったり、作文力が低くなったりし、アイデンティティの問題を抱えるようになってしまうことも多い」そうです😱

わが子たち生涯の課題:日本語力強化

いや、ほんとに・・両親とも日本人家庭なのに、なぜそうなるまでほっといたのかというお叱り(実家から?)の声が聞こえてきますが、ただただ・・ぐうの音も出ません(私の怠慢で、すべて言い訳になってしまうので・・)。もはやどこから手をつければよいのやら、すでに匙を投げ出したい気分ですが、昨年よりようやくことの深刻さに気づき(遅い・・)、ちょうど年末に3年ぶりの一時帰国を控えていたので、にわかに“日本語強化月間”としてとにかく方針を変えたのですが・・

突然なんだ?って感じで、親の都合で環境を変えられたのに親が一貫しておらず、子供には申し訳ないです・・。新年早々、まるでイギリスの曇り空のようにどんよりとやけに重苦しく、うっとうしい雰囲気で失礼しましたが、今年はこの“強化月間”を“強化年度”にしていくことが、わが家の抱負です(そして毎年継続・・)。

と、めずらしく湿っぽい?のは今回だけにして、次回からはまた懲りずに同じテーマで相も変わらず、現地生英語ブログ、エッセイなどなど続けて参ります!

皆さまにおかれましても、2023年が実り多きよい年になりますように✨本年も引き続きご愛読のほど、よろしくお願いします。

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