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あなたの英語はネイティブ何歳レベル?vol.10<イギリスの聖パトリック・デー>

アイルランドに降り立ったとき(関連記事)は、空港内にあるインフォメーション・センターの看板から外のバス停、バス自体、そしてバスのカードまでがすべてで、どうしたことか、この国は⁈と驚きました。

町なかの土産物屋に入っても、クローバー柄の服や帽子などがやたらあったので、ようやくこれはコーポレート・カラーならぬカントリー・カラーか?と思いいたりました。

クローバーが象徴の記念日「聖パトリック・デー」

アイルランド語で三つ葉のクローバーを意味する「シャムロック」、これをシンボルにして祝う習慣がアイルランド共和国にはあります。この国にキリスト教カトリックを広めた聖人、「聖パトリック」の命日である今日、3月17日こそそれを祝う日で、祝日でもあります。

移民として多くのアイルランド人が渡った、北米カナダやオーストラリアといった国でも、盛大に祝われているこの「聖パトリック・デー(St Patrick’s Day)」ですが、北アイルランドを擁するイギリスにおいては、毎年ロンドンで関連行事がある程度で、そのほかでは以前の関連記事にも書いたとおり、いたって普通の日といった印象です。

学校での紹介方法

わが子が通うイギリスの現地小学校、当時3年生(Year 4という名称の学年)のクラスでも、似たような聖人の記念日「聖ジョージ・デー(関連記事)」や「聖デービッド・デー」と比較して、アッサリとしたさわり。

聖ジョージやデービッドがイギリスの祭日であるのに対し、聖パトリックはあくまでも外国の祭日だからでしょうか。てっきりほかの祭日のように、ガッツリ授業で取り上げられるのかと思いきや、パトリックの日は、朝に先生が「今日は聖パトリック・デーで〜す」と言ったっきりだそうです。けれど、その割にはなかなかおもしろいネタを持ち帰ってきてくれました。

懐かしの折り紙で祝う⁈

カバンに入れたら崩れるから私に手で持て、とまで言って大事そうに(私が運んだんですけどね・・)家まで持って帰ってきたものはこちら。こ、これは・・

子供の頃、作りませんでしたか?

呼び名がわからないけれど、たしか「パックン」だの「パックンチョ(これじゃあ菓子名?)」とかいう代物では⁈この1番外側に

Green, Shamrock, Dancing, Parades

と4つの関連したキーワードが印刷されており、中の紙には

How did Saint Patrick come to Ireland the first time?
聖パトリックはどうやってアイルランドにやってきたの?

などといった質問が書かれています。これに手を差し込んだまま、クラスメイトにキーワードを選んでもらい、その項目の質問を尋ね、クイズ形式で遊べるようになっていました。このパックンを、わが子は

chatterbox

と呼んでおり、もともとの意味では「おしゃべりな人」といった意味ですが、この折り紙状のオモチャも同じ名前なようです。やはり日本語でもパックンというのは、口がパクパク動く様からきていると思うので、英語でも同じ理由ではないでしょうか。

気になる質問内容と衝撃の事実

上の質問一例、「聖パトリックはどこから?」の質問からして、すでにハテナが浮かんだ私ですが、このほかにもパックンの中には興味深い質問がたくさんありました。

というのも、イングランドの守護神セント・ジョージは実はイギリスとまったく関わりのない人物で、かつほかのいろんな国の守護神でもあるのです。なのでこの「聖パトリックはどこから来た?」という質問も、「えぇ、こんな大事な祭日なのに、また外国人なの⁈」と疑念を持ったのです。

質問ついでに、もっと詳しい回答もついてたらラクだったのに・・とは野暮な考えですが、これは子供の教材。これらを自分で調べて知り、学ぶことに意義があるのですよね!

ということで、調べましたよ・・ほかの気になるものと共に。パトリックの出生地などについては諸説あるようですが、ウェールズ人だったり(参照:Johnson, Ben “St Patrick – The most celebrated Welshman in America?” Historic UK 2021.)いやいや、「スコットランド人だよ」なんてウェールズ新聞は言ったりしていて、真偽のほどはいまだに解明されていないようです。この学校でもらった教材には、ウェールズ人ってありますしねぇ。

それでも、イギリス生まれのローマ人(ケルト人)だった、という点は共通した認識のようです。つまり、結局はまた外国人ということですね・・。しかも、

How did Saint Patrick come to Ireland the first time?
聖パトリックはどのようにして、初めてアイルランドに来たのか?

という質問に、わが子が「奴隷として」と即答していて・・え、えぇ?今、

slave

って言いました?どうやら聞き間違いではなく、本当に彼は16歳のとき、アイルランドの海賊によって拉致され奴隷として売られてしまったそうです(参照:“A history of St Patrick” Irish-Genealogy-Toolkit 2021.)。

ビックリ。ほかのサイトには「裕福な家庭に生まれた」ともあったので、なぜそんな良家の子が無防備に?と疑問に思いましたが、海岸を散歩しているときにでもさらわれたのでしょうか、北朝鮮工作員がしたように・・。

と、これらふたつの質問だけでもすでにいい勉強になったので、ほかのすべての質問に答えられるようになったら、あなたももう聖パトリック・デーの達人

あなたはいくつ答えられましたか?ちなみに私は・・ゼロ😂

さすがは学校で出される教材です。授業なしで、たった1枚の紙切れで、遊びながら肝心なことを学べてしまうという優れもの。わが子はよっぽどこのchatterboxが気に入ったようで、その後何個も自作しては大喜びしていました。

一方、このとき幼稚園年長(Year1という呼称)である下の子はこの日、パックンの4つのキーワードのひとつであるdancingを習ったようで、皆で「セット・ダンス(set dance)」と言われるアイルランドの伝統的なステップ・ダンスを踊ったそうです。

ロンドンでの関連イベント

昨年2021年はコロナ禍で中止になりましたが、例年この時期は「聖パトリック・デー」当日の3月17日に近い週末に、ロンドンなどで関連行事が開かれます。2022年の今年は先週末3月13日の日曜日に、ロンドン市内のトラファルガー広場でパレードが盛大に催されました。芸術や文化、食事に音楽と、アイルランドに関するさまざまなものに触れられる楽しい行事で、これ以外にもほかの地域ではまだ19日まで関連イベントをやっているところもあります。詳細はすべてこちらのウェブサイトに載っているので、興味のある方はぜひ参照してみてください。


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