宮内ぱむ

WEB小説を書いています。 https://pummiyauchi.wordpress…

宮内ぱむ

WEB小説を書いています。 https://pummiyauchi.wordpress.com

マガジン

  • PUM dairy

    宮内ぱむの日記のようなもの

  • PUM的日々。

    note特集に沿った月1回更新のエッセイ

  • carriage短編集

    宮内ぱむの小説(短編)

  • Hidden track

    別名義の作品の一部

記事一覧

固定された記事

【ショートショート】香水トラベル

 商店街を歩いていると、見覚えのない店を見つけた。小さな看板には「旅できる香水」と書かれている。誘われるように私は引き戸を開けた。 「いらっしゃい」  出迎えた店…

宮内ぱむ
2年前
16

BB小説家コミュニティ8期参加レポート

 うまく文章が出てこない。現在進行形の話である。  そういえば三月にも同じような症状に苦しんだ。三月といえば、BB小説家コミュニティ7期が終わり、気が抜けたのか謎の…

宮内ぱむ
10か月前
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BB小説家コミュニティ第7期参加レポート02

 実家のトイレの壁には年間カレンダーが貼られていて、子供の頃の私はそれを見るのが好きだった。そしていつも疑問に思っていた。  なぜ2月には28日しかないのだろう…。…

宮内ぱむ
1年前
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Draw in the sea(「彼等をめぐるすべて」より)

 心地よい浮遊空間に波の音が響いた。きらきらと光る水面に照らされる姿。恋人の名前を呼ぼうとした矢先、慣れたシーツの感触と共に全身に重力を取り戻した司は、目覚めと…

宮内ぱむ
1年前
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BB小説家コミュニティ第7期参加レポート01

 自慢ではないが、私の小説書き歴は短くない。  中学生の頃に大学ノートに書き始めたのをきっかけに、大学時代も勉強を疎かにしながら個人ホームページ(そういう時代で…

宮内ぱむ
1年前
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【特集12月号】2022年お買い物記録

 早いもので、年の瀬である。  note公式にて企画された #note特集 もついに12回目!  今回は、#買ってよかったもの 特集に沿って、記事を書こう。 コードレス掃除機…

宮内ぱむ
1年前
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【短編】てっぺんの星

 俺は途方に暮れていた。十二月の乾いた空気が疲れ目をちくちくと刺してくる。 「すみませーん!」  先ほどから古い民家に向かって声をあげているが、応答はない。  ず…

宮内ぱむ
1年前
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【特集11月号】大切な人に願う事

 高校生の頃、漠然と「強くなりたい」と考えていた。それと同時に「弱さは優しさの証だ」とも思っていた。  誰かのために優しくあれば、弱くたっていい。それは弱かった…

宮内ぱむ
1年前
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【特集10月号】観葉植物はじめました

 気付けば秋である。  年齢を重ねるごとに寒さに弱くなっているのは気のせいだろうか。仕事後の時間のほとんどを入浴に費やしている気がする。お風呂が好きです。  私…

宮内ぱむ
1年前
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【ショートショート】陸海婚活パーティー(418字)

 海に住む者にとって、特に盛り上がる行事がある。それが陸海婚活パーティーだ。 「選ばれた女は、陸の男のお嫁さんになれるのよ」  それは、海の女達にとって楽園の出来…

宮内ぱむ
1年前
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【特集9月号】料理苦手な独身女の炊き込みご飯

へいヨー! note特集ダヨ! 9月号ダヨ! 今日は9月34日です(嘘です記事が遅くなりました) そんなわけで、note特集の #秋を愉しむレシピ に沿って、料理苦手な私が記事を…

宮内ぱむ
1年前
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【特集8月号】小説を書く上での挫折とこれから

 さて、さっそくのお詫びなのだが、画像タイトル詐欺をしてしまった。大変申し訳ない。正しくは「小説の書き方について学ぼうとしている」という現在進行形だ。  そんな…

宮内ぱむ
1年前
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【特集6月号】おすすめエンタメ-NOVEL-

 梅雨はどこ行ったのかと首をかしげてしまうほど、六月にして猛暑が続いている。  そんな日はぜひ、クーラーの効いた自宅に引きこもって読書をしよう。  ちなみに、前回…

宮内ぱむ
1年前
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【特集6月号】おすすめエンタメ-MOVIE-

 映画鑑賞は趣味のひとつだ。  一人で映画館に行った時の神経が研ぎ澄まされた感覚も、一人でDVDを観た後の感傷に揺らいだ心を発散するひと時も、二時間前後の映画を観た…

宮内ぱむ
1年前
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【特集5月号】一人で宮古島を旅した記録

#連休に行きたいおでかけスポット もうGWも終わってしまうが、特集に沿って私の思い出を書いてみよう。  コロナ禍前でもある数年前の五月、私は一週間ほどの連休をいただ…

宮内ぱむ
2年前
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【特集4月号】後輩たちへ

 二十代の頃、「日経WOMAN」(日経BP社)という雑誌を愛読していた。  大学生の頃だったか就職したばかりの頃だったか記憶は定かではないのだが、とにかくその雑誌を購読し…

宮内ぱむ
2年前
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固定された記事

【ショートショート】香水トラベル

 商店街を歩いていると、見覚えのない店を見つけた。小さな看板には「旅できる香水」と書かれている。誘われるように私は引き戸を開けた。 「いらっしゃい」  出迎えた店主は、想像とは違って渋い顎髭を持ったおじいさんだった。 「旅できる香水屋にようこそ」  店主は私に、目の前にあるソファーに座るように促した。  店内はずいぶんと殺風景だった。無機質な空間に不釣り合いなほど柔らかなソファーが私を包む。ほどなくして、店主が棚から小瓶を取り出し、私にそれを渡してきた。  コルクを開けると、

BB小説家コミュニティ8期参加レポート

 うまく文章が出てこない。現在進行形の話である。  そういえば三月にも同じような症状に苦しんだ。三月といえば、BB小説家コミュニティ7期が終わり、気が抜けたのか謎の発熱を発症しながら年度末の忙しさに振り回されているうちに文章の書き方を見失った、地獄のような一か月間だった。  BBコミュ7期が素晴らしかったので、三月早々に8期のスタンダードプラン入会を申し込んでいた私は、三月のその状態を引きずったまま非常に悩んでいた。何せ、文章を書けないのである。しかし迎えた四月、私の焦燥をよ

BB小説家コミュニティ第7期参加レポート02

 実家のトイレの壁には年間カレンダーが貼られていて、子供の頃の私はそれを見るのが好きだった。そしていつも疑問に思っていた。  なぜ2月には28日しかないのだろう…。その疑問は未だに解消されていない。  2023年2月の終わりは、私の拠り所となっていた場所の終焉を示す。私は明日からどうやって生きていけばいいというのか。  というわけで。  #BB小説家コミュニティ 第7期感想レポート第2弾、はっじまっるよー!!! (前回までのあらすじ)  小説を書く上で自信喪失していた私は

Draw in the sea(「彼等をめぐるすべて」より)

 心地よい浮遊空間に波の音が響いた。きらきらと光る水面に照らされる姿。恋人の名前を呼ぼうとした矢先、慣れたシーツの感触と共に全身に重力を取り戻した司は、目覚めと共に何度か瞬きを繰り返した。レースカーテンの向こうでは雨が降り続けている。夕方のそれは暗く、いつの間にか眠ってしまったらしい。  ベッド横にある気配にほっと息をつく。さらりとした黒髪の隙間から見えるうなじに、眠る前の情事を思い出した。 「計くん、さ」  思いのまま声を出すと、こちらに背を向けていた恋人がびくりと肩を震わ

BB小説家コミュニティ第7期参加レポート01

 自慢ではないが、私の小説書き歴は短くない。  中学生の頃に大学ノートに書き始めたのをきっかけに、大学時代も勉強を疎かにしながら個人ホームページ(そういう時代である)を作成して自作の小説を公開し、就職してから数年間は執筆から離れて仕事に没頭したものの、数年前に二次小説という形で簡単に小説を書く方法を取り戻してしまった。  そして忘れもしない2020年の春、コロナ禍に沈んだ日々のなかで、私は再びオリジナルの小説を書きたいと思い、筆をとった(正確にはパソコンに向かい、ワードプレス

【特集12月号】2022年お買い物記録

 早いもので、年の瀬である。  note公式にて企画された #note特集 もついに12回目!  今回は、#買ってよかったもの 特集に沿って、記事を書こう。 コードレス掃除機数年間欲しいと言い続けていたコードレス掃除機、ついにゲットだぜ! というわけで、悩みに悩んで日立のパワーブーストサイクロンシリーズを購入。 日立のコードレス掃除機には「軽さ」を重視した商品と「パワー」を重視した商品があるのだが、私はパワーを選んだ。…結果、重さ1.9Kgとあまり軽くはない。掃除し続けてい

【短編】てっぺんの星

 俺は途方に暮れていた。十二月の乾いた空気が疲れ目をちくちくと刺してくる。 「すみませーん!」  先ほどから古い民家に向かって声をあげているが、応答はない。  ずいぶんと久しぶりにやって来たこの町は時間が止まっているみたいだ。さびれた駅から徒歩三十分にある、片田舎の景色。車が通るのもやっとなほどの細い道に、密集する古い家。昔から変わっていない。  冬風が小道を吹き抜ける。晴天の下に侘しさが積もっていくのを散らすように、俺はわざと声を張り上げた。 「誰かいませんかー!」  俺の

【特集11月号】大切な人に願う事

 高校生の頃、漠然と「強くなりたい」と考えていた。それと同時に「弱さは優しさの証だ」とも思っていた。  誰かのために優しくあれば、弱くたっていい。それは弱かった自分に対する言い訳だったのだろうか。今でも分からない。 「光のとこにいてね」(一穂ミチ)読書感想  タイトルから惹かれた。口語体のようなそれは、ある登場人物のセリフだった。  これは、境遇の似通わない二人の女の子の物語だ。  全く別の人生を歩むはずだった二人の道が交差するのは、単なる偶然ではない。成長するにつれて関

【特集10月号】観葉植物はじめました

 気付けば秋である。  年齢を重ねるごとに寒さに弱くなっているのは気のせいだろうか。仕事後の時間のほとんどを入浴に費やしている気がする。お風呂が好きです。  私が一人暮らしをしている理由に人間を含めた生き物と過ごすのが苦手というどうしようもない理由があるのだが、それでもときどき生命のエネルギーに触れたくなる時がある。  以前から観葉植物には興味があり、色々と調べていたのだが、なかなか踏ん切りがつかなかった。なにせ相手は生き物である。気分屋で怠惰な私が飽きてしまったら、彼らの

【ショートショート】陸海婚活パーティー(418字)

 海に住む者にとって、特に盛り上がる行事がある。それが陸海婚活パーティーだ。 「選ばれた女は、陸の男のお嫁さんになれるのよ」  それは、海の女達にとって楽園の出来事のようだった。なぜなら、陸の上を自由に歩行する足を得られる。そして寿命もぐんと延びて、陸の男の傍で幸せに暮らせるというのだ。  繊細な鱗の尾ひれを持つジュリエットが、うっとりと目を輝かせた。 「今年選ばれるのは、私よ」  確かに彼女は美しい。海を泳ぐ姿は美しく、その歌声は魚達を優雅にさせた。  そしてパーティー当日

【特集9月号】料理苦手な独身女の炊き込みご飯

へいヨー! note特集ダヨ! 9月号ダヨ! 今日は9月34日です(嘘です記事が遅くなりました) そんなわけで、note特集の #秋を愉しむレシピ に沿って、料理苦手な私が記事を書いていこう。 (ちなみにツイッターでフォローさせて頂いている方のなかには、料理人の方や主婦の方がいらっしゃるのだが、本当に目をつむっていただきたく…) 舞茸ご飯を作った深夜 9月某日、仕事でへとへとに疲れて帰宅した22時、「明日も仕事だテンションあげなきゃ!」と思い至って、冷蔵庫にあった舞茸の

【特集8月号】小説を書く上での挫折とこれから

 さて、さっそくのお詫びなのだが、画像タイトル詐欺をしてしまった。大変申し訳ない。正しくは「小説の書き方について学ぼうとしている」という現在進行形だ。  そんなわけで、遅ればせながら特集8月号 #夏だからやってみた に沿って、記事を書きたいと思う。 学ぶきっかけ 昔から小説を書く事が好きだった。  好きな事を続けて、読んで頂ける事、時には褒めて頂ける事が幸せだった。  でも、私は強欲で、もっともっとと願っていくうちに、その理想に私の実力が見合わない事に気付いてしまったのだ。

【特集6月号】おすすめエンタメ-NOVEL-

 梅雨はどこ行ったのかと首をかしげてしまうほど、六月にして猛暑が続いている。  そんな日はぜひ、クーラーの効いた自宅に引きこもって読書をしよう。  ちなみに、前回に書いたおすすめ映画の記事はこちら。 パラレルワールドラブストーリー / 東野圭吾 映画化もされた作品。ガリレオシリーズやマスカレードホテルシリーズに比べれば目立っていない東野圭吾の作品だが、私は好きだ。 何がいいって、そこにある人間ドラマだ。嫉妬や羨望、人間の身勝手さや投げやりさ、優しさ、様々な感情が混ざり合っ

【特集6月号】おすすめエンタメ-MOVIE-

 映画鑑賞は趣味のひとつだ。  一人で映画館に行った時の神経が研ぎ澄まされた感覚も、一人でDVDを観た後の感傷に揺らいだ心を発散するひと時も、二時間前後の映画を観たからこそ沸き上がるものだ。  そんなわけで、特集6月号「梅雨はおうちでエンタメ三昧 #おすすめ名作映画 」に沿って、決して映画に詳しくない私によるおすすめ映画を書いていこう。 ■洋画TIME/タイム 命の在り方と時間について、そして裕福と貧困について考えさせられるSF映画だ。 「時間=通貨」という概念が面白い。

【特集5月号】一人で宮古島を旅した記録

#連休に行きたいおでかけスポット もうGWも終わってしまうが、特集に沿って私の思い出を書いてみよう。  コロナ禍前でもある数年前の五月、私は一週間ほどの連休をいただけることになった。そこで、私は三泊四日の一人旅を計画。  行き先はずっと前から行きたかった沖縄の離島、宮古島だ。 航空券+ホテル+レンタカー付のプランをネットで予約  さて、私は飛行機を一人で乗った事のない初心者だった。  色々と不安を抱えながらも、空港まで高速バスに乗り、右往左往しながらキャリーケースを預け

【特集4月号】後輩たちへ

 二十代の頃、「日経WOMAN」(日経BP社)という雑誌を愛読していた。  大学生の頃だったか就職したばかりの頃だったか記憶は定かではないのだが、とにかくその雑誌を購読していた頃に、雑誌内で「妹たちへ」という特集が組まれていた。  人生の大先輩である四、五十代の女性著名人による、見開き二ページにわたるリレーエッセイだった。  そのなかでも特に印象に強いのが、作家である村山由佳先生の回だ。三回に渡って書かれた内容はとても壮絶で、だから村山先生は「ダブルファンタジー」のような作品