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【特集6月号】おすすめエンタメ-MOVIE-

 映画鑑賞は趣味のひとつだ。
 一人で映画館に行った時の神経が研ぎ澄まされた感覚も、一人でDVDを観た後の感傷に揺らいだ心を発散するひと時も、二時間前後の映画を観たからこそ沸き上がるものだ。
 そんなわけで、特集6月号「梅雨はおうちでエンタメ三昧 #おすすめ名作映画 」に沿って、決して映画に詳しくない私によるおすすめ映画を書いていこう。


■洋画

TIME/タイム

科学の進化により老化を克服した近未来、そこでは"時間"が"通貨"となり世界を支配していた。人間の成長は25歳で止まり、余命(時間)は労働により稼がなければならなかった。そして街は"タイムゾーン"という境界線により、貧困層が住む〈スラム・ゾーン〉と〈富裕ゾーン〉に明確に分けられ、その行き来は禁止されていた。ある日、ある男から100年の時間をもらったことで殺人容疑をかけられた貧困層の青年ウィルは、スラムゾーンに別れを告げ、富裕ゾーンに逃げ込む。そこで彼は、贅沢な生活に永遠の命を無駄に費やす人々の中にいた大富豪の娘シルビアと出会い恋に落ちるのだが、間もなく時間監視局員レオンに追い詰められてしまう。窮地のウィルはシルビアを人質に取り、自由を求めて逃避行を続けるのだが、二人の余命は残りわずかとなっていた……。果たして二人の運命は? 彼らを待ち受ける衝撃の結末とは!?

Amazon.co.jp「TIME/タイム」より

命の在り方と時間について、そして裕福と貧困について考えさせられるSF映画だ。
「時間=通貨」という概念が面白い。
私達の通貨とは違い、「時間」は怠惰に過ごした一日さえあっけなく消費してしまう。貧困層はその日生き延びるだけで必死だ。
しかし、裕福層にも闇はある。手の内にある資産は永久的な時間、つまりは不老不死に近い体を持つという事。気が狂いそうになる時間によってさらに生に執着する彼らの姿も、健全とは言えない。
スラムゾーン出身のウィルと、裕福層出身のシルビアが、世界の真実と正常を求めて、運命と時間を共有していく。二人の行く先を、ぜひ見届けていただきたい。
ちなみにシルビア演じるアマンダ・セイフライドに憧れた私が同じ髪型にチャレンジしようとして失敗したのはここだけの話だ。

プラダを着た悪魔

大学を卒業し、ジャーナリストをめざしてNYにやってきたアンディ。オシャレに興味のない彼女が、世界中の女性たちが死ぬほど憧れる仕事を手にしてしまった! それは一流ファッション誌“RUNWAY"のカリスマ編集長ミランダ・プリーストリーのアシスタント。しかし、それは今まで何人もの犠牲者を出してきた恐怖のポストだった! ミランダの要求は、悪魔的にハイレベル。朝から晩まで鳴り続けるケイタイと横暴な命令の数々、その上「センス、ゼロ!!」と酷評され、アンディはこの業界が努力とやる気だけでは闘えないことを思い知らされる。キャリアのためとはいえ、私生活はめちゃめちゃ。カレの誕生日は祝えないし、友達にも愛想をつかされる。この会社で、このままでいいの? 私って、本当は何をしたいんだっけ?

Amazon.co.jp「プラダを着た悪魔」より

おしゃれな有名映画である。しかし、この映画はおしゃれなだけでは留まらない。
仕事とは何か?何のために働くのか?それらを問いかけてくれる映画だ。
何よりアンディを演じるアン・ハサウェイが可愛くて!!
そして一流ファッション誌「ランウェイ」の鬼編集長を演じたメリル・ストリープの演技も素晴らしい。悪魔の中に覗く人間らしさによって、彼女を憎めないのだ。
若い頃はファッション映画として、そして大人になってからは働く人間の一人として、一生楽しめる映画であること間違いなしだ。
そしてアンディの変化(見た目も内面も)にも注目してほしい。

イン・ハー・シューズ

30歳目前にして自分にぴったり合う靴が見つけられず、裸足でさまよい続けている……この映画のヒロイン、マギーはそんな女性だ。弁護士として活躍する姉のローズとは反対に、キャリアも資格も学歴もないマギーが、たったひとつ人に誇れるのは、グラマラスなルックスだけ。だが、若さの賞味期限はそれほど長くない。そのことに気づいたマギーは、遅まきながら自立の坂道を登り始める。よろめき、つまずき、傷ついて、自分のみじめさを噛みしめる日々。その間、唯一の理解者だったローズと対立し、完全に居場所をなくしてしまうマギー。そんな彼女が向かったのは、最近まで存在さえ知らなかった祖母の住むフロリダ。
洗いざらしのスニーカーが似合うこの土地で、マギーは今まで知らなかった本当の自分と出会うことになる――。

Amazon.co.jp「イン・ハー・シューズ」より

完璧じゃない自分にうんざりした時に見たい映画。
私にも妹がいるので、この姉妹のような絆は憧れだ。そしてそれは、姉妹に限らないものでもある。
誰にだって自信のない部分はあって、他人が輝いて見える時がある。
弁護士である姉を羨ましく思う妹マギーとは外相的に、美人で社交性のある妹に嫉妬する姉ローズの気持ちにも共感できる。
それでも切り離せない縁、思い出を共有できる姉妹の絆はとても強く、ラストの詩が朗読されるシーンは何度見ても涙ぐんでしまう。
ローズのクローゼットに並ぶ数々のシューズにも注目だ。ハイブランドのヒールが並んだ光景は、ファッションに疎い私でもうっとりしてしまうほどだ。
ちなみに私はキャメロン・ディアスが大好きだ。彼女の出演する映画はだいたい観たが、どの彼女もキュートで繊細で、美しい。

■邦画

日日是好日

真面目で、理屈っぽくて、おっちょこちょい。そんな典子(黒木華)は、いとこの美智子(多部未華子)とともに「タダモノじゃない」と噂の武田先生(樹木希林)のもとで“お茶"を習う事になった。細い路地の先にある瓦屋根の一軒家。武田先生は挨拶も程々に稽古をはじめるが、意味も理由もわからない所作にただ戸惑うふたり。「お茶はまず『形』から。先に『形』を作っておいて、後から『心』が入るものなの。」と武田先生は言うが――。青春の機敏、就職の挫折、そして大切な人との別れ。人生の居場所が見つからない典子だが、毎週お茶に通い続けることで、何かが変わっていった……。

Amazon.co.jp「日日是好日」より

静寂のなかで葉から落ちる水滴の音さえ響くように、じんわりと心に温度が沁み渡っていく映画作品。
茶室から見える季節の移ろいはまさに日本映画ならではのもので、人々の感情の機微に共感してしまうのは同じ日本人だからなのだろうか。
茶道という文化を通して、生き方を学んでいく。思わず背筋を伸ばしてしまう。
人生は長く、厳しい。それでも、一つの道筋があれば、樹木希林が演じる武田先生のように重ねた年齢の分だけ芯を持って生きられるのかもしれない。
歳をとる事を恐怖だと捉えがちだけど、この映画を観るとそうではないと思える。そして一つの事に没頭できる喜びも一緒に感じられる。
私は映画館で今作を鑑賞した時、涙が止まらなかった。泣き活のお共に、ぜひ。

かもめ食堂

フィンランドのヘルシンキで日本食堂を経営しているサチエは、図書館で知り合ったミドリを食堂のスタッフに迎える。お客は、日本アニメおたくの青年しかいない店にボチボチ人が集まるように。悩みをかかえたフィンランド人、荷物が出てこなくなって困っている日本人など、個性的なお客さんたちが、かもめ食堂に集まり、サチエたちの温かな心がこもった料理でなごやかな気持ちになっていく。
れっきとした日本映画だが、オールフィンランドロケで、現地スタッフや役者も参加して作り上げた日本とフィンランドのコラボ映画。あせらずマイペースなサチエに小林聡美がピッタリ。また「かもめ食堂」の北欧風のインテリア、シナモンロールやおにぎりなどのお料理もおいしそうで、ビジュアルも十分に楽しめる。国境を超えた人間関係をオシャレで心温まるヒューマンドラマに仕上げたのは『恋は五七五』でおなじみの荻上直子監督。(斎藤香)

Amazon.co.jp「かもめ食堂」より

思わず何度も観返したくなる映画だ。
舞台はヘルシンキ。そこにある日本食のかもめ食堂を舞台としたお話なのだが、なんとも不思議で、なんとも温かい。
時間がゆったり流れているようなヘルシンキにだって、日本と同じくらいの苦しみや悩みがあるのかもしれない。
ヘルシンキにやってきたミドリにも、マサコにも、もしかしたらかもめ食堂を経営するサチエにだって、誰にも言えない悩みがあるのかもしれない。
常連客となった少年にだって、夫に逃げられた女性にだって、人生の苦い部分は国境関係なく訪れるものだ。
だけど、そんな仄暗さを深掘りすることなく、物語はさらっと流れていく。それがとても心地よく、つい何度も観返したくなるのだ。
作中で登場するおにぎりがとても美味しそうで、映画を観た後にはついにぎってしまう。ご飯を食べられるって幸せだ。人と笑い合えるって幸せだ。
当然のように享受している日常を改めて特別な事なのだと認識させられる、幸せな時間をぜひ共有したい。


当記事は #note特集 参加記事です。
5月号である「休日のすごし方」特集では、note公式にて私の記事「一人で宮古島を旅した記録」を紹介していただきました!
ありがとうございました。


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