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弟の音楽性

少し前に、noteでほぼ初めて、弟と自分との関係をわりと具体的に書きました。

現在は積極的に会うことはなく、会ってもほとんど喋らないのですが、別に仲が悪いとかではなく、20代前半ごろまでは同じ家に住んでいたので、一緒にCDラジカセで音楽やラジオ番組を聴いたりもしていました。

CDラジカセは兄の自分の所有物だったので、かかる音楽はほとんどの場合が兄の好みである1990年代〜2000年代前半のヴィジュアル系バンドのものばかり。ちなみにビジュアル系ではない。

幼少時にそれらを調教された弟は、さぞ髪を染めたり立てたりして漆黒の天使になるのかと思いきや、全くそんなことはなく、それどころか、兄が懸命に集めたMDの中からヴィジュアル系だけを分けて、当時の弟がハマっていたラジオ番組『SCHOOL OF LOCK』を勝手に上書きしたりしていました。ひどい。

ちょうど反抗期が始まっていた頃ですが、その反抗が、親のみならず兄に対しても向かっていたのでしょうか。それにしてもひどい。

昔からよく、ミュージシャンの方がインタビューで、「兄貴がBOØWYを聴いていた影響で音楽に目覚めた」などとおっしゃっていたりしますが、うちに関してはそれが全くありません。ちなみに、常識だからいちいち書く必要はないと思うけど、BOØWYはヴィジュアル系ではない。

むしろ弟は、兄のヴィジュアル系オタクに辟易していたように思います。きっと、そんな暗い音楽ばっか聴いてるからおまえは陰キャなのだと、侮蔑の眼差しで見ていたのでしょう(被害妄想)。

兄の机の横にある棚には、LUNA SEAの『MOTHER』『STYLE』『LUNA SEA(2000年の再発盤)』、Xの『BLUE BLOOD』『Jealousy』、GLAYの『BEAT out!』、La'cryma Christiの『magic theatre』、Laputaの『翔〜カケラ〜裸』、BUCK-TICKの『darker than darkness』『Six/Nine』、LAREINEの『フィエルテの海と共に消ゆ』、D'ERLANGERの『BASILISK』、DIR EN GREYの『VULGAR』、Plastic Treeの『Puppet Show
』など、数々のヴィジュアル系の名盤たちが眠っていたにもかかわらず、我が弟はそれらを1枚も手に取ることがありませんでした。

なんてもったいことをしているんだ……。'90年代V系の素晴らしさがわからないなんて……。と号泣したいところなのですが、身内といえども、好みは人それぞれなので文句はいえません。

他にもDIE-QUALの『ゆりかご』とかD≒SIREの『終末の情景』とかDIE IN CRIESの『VISAGE』とか(以下いくらでも出てくるので略)……。

さて、それならば、いったい弟はどんな音楽を好んでいるのかというと、これがまた、さっぱりわかりません。

いちおう昔はBUMP OF CHICKENが好きで、『SCHOOL OF LOCK』も彼らが出ている曜日ばかり聴いていたことは覚えていますが、弟の世代にとってのバンプはクラス全員が当たり前に通っているものだったようです。

周囲が青春パンクだとかヒップホップだとか言っている輪に入れずに、ひとりでブックオフで昔のCD(特にタ行とラ行)を漁っていた兄からすれば、その感覚がよくわからない。

ちなみにそれは本人から聞いたわけではなく、弟と同い年のバイトの子に聞きかじったことで、弟が今でもバンプが好きなのかどうかよくわかりません。

もう弟とともにCDラジカセを流す機会もないのです。だいたいCDラジカセをいつのまにか彼にパクられたままで、手元にありませんから……。

そんな弟が、唐突にシンセサイザーを買ってきたのは、3~4年ほど前のことでしょうか。

かなり大きい本格的なもの。親によると「楽器をやりたいから買った」らしい。しかしなぜにシンセなのか。ギターじゃないのか。

オトン(父)は50年以上にわたって井上陽水さんをリスペクトしており、『夢の中へ』と『心もよう』の弾き語りを50年つづけています。

その影響で、自分もギターに目覚めた時期があります。指がすぐ荒れるので、やめてしまいましたが。

なので、順当にいけば弟も楽器はギターから入るはずなのですが、なぜかシンセ。そういえば、パソコンも同時期に買っていたような気もする。DTMerを目指していたのだろうか。

そしてそのシンセサイザー、なぜか自分の部屋のベッドの上に、今なお鎮座していたりします。

いつどのタイミングで置いたんだ。弾くぞ。そろそろ埃を被ってきたので、ちょっと拭いてやろうと移動させたら、奥から平沢進さんのCDが大量に出てきました。

どこからどうして平沢進さんの音楽性に辿り着いたのかよくわかりませんが、いずれ平沢さんについて話す機会があったら話せるように、多少は勉強しておきます。

でもこの部屋には、他にもたくさんの名盤があって、ZI:KILLの『DESERT TOWN』とかMASCHERAの『iNTERFACE』とか、あと、……。


サウナはたのしい。