ガンバってもガンバらなくてもいいよニッポン
阪神タイガースが18年ぶりのリーグ優勝を果たし、大阪のミナミではガチガチの警備を打ち破って26人が道頓堀に飛び込み、それはそれは大盛り上がりの展開だったそうです。
私も大阪国の国民でして、なおかつタイガースの試合もちょくちょくは視ていました。ほとんどサウナのテレビでですが。
ダメな時はダメだけどやる時はめっちゃやってくれる大山選手の打順が回ってくれば、いつもよりサウナの滞在時間が数分のびたし、近本選手が短期間に複数回のデッドボールを食らわされてしまったことには「もしかしてわざとか？」と疑い、ひどすぎると憤慨もしました。
夏になるとやってきて、当初は期待されるもいつのまにかいなくなってしまうのがお馴染みの助っ人外国人選手にも期待していたのですが、今年は特に誰も消えなくてがっかり(がっかりすんなよ)。
数年前、「モチベーションが上がらない」という理由でたった2ヵ月で退団したソラーテ選手は味わい深かったなあ。「やる気が出ない」という正直すぎる理由で帰った人はなかなかおらんでしょうし。いいねえ(球団にとっては全く良かねえだろうけど)。
そんなふうに、真面目なんだか不真面目なんだかよくわからない、かいけつゾロリ的な応援のしかたをしていて、優勝おめでとうとは思うのですが、道頓堀に飛び込む気はない。
そもそも、ミナミではウルトラハイパーアルティメットダイナミックな大騒ぎが行われていたのかもしれませんが、我が地元は大阪といっても京都に近いところなので、タイガースが優勝した夜も、街はいたってふつうでした。
寝屋川に飛び込んだという人や、千里川に飛び込んだ人がいたというニュースは、少なくとも私は見ていない。
駅前の繁華街で黄色いメガホンを持った人たちが踊っているわけでもなく、ほろ酔いのサラリーマンと広場でスケボーの練習をやっている若者がいるだけ。普段と何も変わらない。
確かに、今年は例年よりも虎柄のユニフォームを着ている人を電車の中でよく見かけはしました。
特に鳥谷選手のユニフォームを着ている人を見かけました。なぜ現役の選手ではなく、数年前に引退された鳥谷さんなのかは不明ですが、なにか理由があるのでしょうか。
でも、優勝した夜に駅前に虎柄の人たちが集まって胴上げをしていたのかというと、そんなことはない。ただただ、その人その人で、別々に日常生活を営んでいただけ。
もちろん、家でテレビを視て狂喜乱舞し、部屋の中で一晩中ビールかけをやっていた家族もいるかもしれないし、優勝したことでテンションが上がりすぎていつもより夜の行為の回数を増やしたカップルもいたかもしれない。
でも、そんなことより磯丸水産で酔っ払うことが大事な人もいるし、夜にスケボーの練習をすることが大事な人もいる。
応援したい人は応援し、興味のない人は興味がない。そういう社会は健全だと思うし、スポーツはやるのはもちろん、観るのも苦手だった自分が、プロ野球は素直に観られるようになり、今回の阪神の優勝も素直に良かったなあと祝えた理由でもある。
というのは、未だに自分は、オリンピックやワールドカップが苦手なのです。
正確にいえば、それを取り巻く環境が苦手。別にオリンピックやワールドカップを嫌っているわけではない。
2021年に行われた東京オリンピックはチラホラ観ていたし、2018年のワールドカップだって大迫マジ半端ないってと思いました。
でもどことなく距離を置きたくなってしまうのは、「ガンバレ、ニッポン」というフレーズが、必ずどこかで目についてしまうからです。
確かに、オリンピックにしろ、ワールドカップにしろ、代表の方々は日本のスポーツの現在を背負って世界じゅうで注目されているわけだから、めいっぱい活躍してほしいという願いが込められていることは理解できます。
ただそれを「ガンバレ日本」と、あたかも日本国民すべてを巻き込んだかのようなフレーズにされてしまうと、言葉を選ばずに感想を述べさせていただくと、気持ち悪い。
なんだろう、同調圧力やめてもらっていいですか、と煽りたくなってしまう。俺の中にはそういうロックスピリットがまだ残っている。ただ単に陰キャなだけという説もあるが。
なので、多様化社会にはどんどんなってほしいし、子供が将来なりたい職業なんて、時代によって変わっていけばいい。
今年の阪神戦を観て野球選手に憧れる子供はいっぱいいるだろうけど、逆に、全く興味がなく、ブックオフで昔のガロを集めることに情熱を注ぐ子供がいてもいい。そんな渋すぎる子供がいるのかは知らないし、そう簡単にブックオフで昔のガロが入手できるかどうかも謎だが。
なにはともあれ、阪神タイガースの皆様、リーグ優勝おめでとうございます。日本シリーズは、あえてあまり視ないと思います。私が視る試合は、だいたい敗けるので……。遠からず近からず応援しております。
サウナはたのしい。