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『二関節筋の協調制御理論』※凡人PTによるただの感想

「学ばない凡人は一生凡人である」 をしよ(1977~まだ元気)

と、いうわけで。

なーんにもない凡人PTである私が、できるだけいろんな本を読んで、その感想を書いてみようと思い立ったわけです。

私同様、なーんにもないけど、学んでみたいという意欲はあるよ、という方に向けて、本選びの参考にでもして頂けたらと思います。

では、最初の本は

二関節筋の協調制御理論 重力が育てた運動制御のメカニズム

熊本水賴 著 医学書院(2021)

一言で。


むーーーーーーーーーーーずっかしいいいいいいいいい!!!!!

いきなりシーラカンスに襲われます。

そしてナメクジウオ。

あれ?二関節筋の話じゃないの??

ご安心を。

無論、二関節筋の話です。

生物が水の中から陸に上がってくるとき。

水の中でどのような準備がなされ、陸上で重力に打ち勝てる力を身につけていったのか。

そのKEYが、二関節筋なんだ!という流れです。

いやあ、ビビりますね。

なんせ著者は京都大学名誉教授です。

凡人の想像もつかない世界を生きておられるものと思われます。


この本、始めからじっくり読んでいこうとすると、おそらく挫けます。

実は私は、現時点で序章から第1章は、さーっと眺めた程度でほとんど読んでいません。

(それで感想を書こうってのも、恥知らずなのかもしれませんが)

ただ、このあたりは前提や背景、経緯の話なので、臨床とは距離の遠いお話になっています。

ただ、第1章で必ずチェックして欲しいものがあります。

Kumaモデル

です。

はいー、わからないーーーー。

いや、いいんです、この言葉でわからなくても。

この本は時々QRコードがついていて、読み込むと動画が見られるようになっていて、Kumaモデルっていうのが実際に動くところを見せてくれるんですが。

いやぁ、驚きました。

詳しくは書きません(書けません)が、二関節筋があることによって(正確には拮抗二関節筋対、拮抗単関節筋対があることによって)、出力方向が絶妙に調整される、というのが目に見えてわかる動画なんです!

私はこの動画を見たことで、その先を読む意欲と勇気が湧きました。

著者は筋の働きについて、屍体解剖所見ではなく生体運動機能で考えるべきだ、ということを述べられており、それがこの本の根幹になっています。

そう、この本の中で熟読すべきは「P49~P56」!!!!
(※私見です!!!!!)

筋の働きを起始停止で挟んだ関節の運動のみで捉えないこと!

その筋の出力点がどこにあるかということを認識すること!

その出力点に対し、出力方向の調整にはどの筋群が働き、出力の量の確保にはどの筋群が働くのか!

そして、その方向調整は360°全方位へ可能であるということ!

いやー、熱い。

熱いっす。

筋に対する認識が変わります。

例えば、よく立ち上がりの時に、両下肢を前方に突っ張って、両手で何かを引っ張ったりして四苦八苦しながら立つ、という方、いらっしゃると思うんですが。

そこへの評価として、腹圧が、骨盤の前傾が、足底の感覚が、臀筋の働きが・・・・等々、いろいろな考えがあって。

でも正直、「それだ!」と思えた、納得のいく評価って、あまり無かったように思うんですよね。

今回のこの考えがそのまま当てはめられるのかというと、それはわからないのですが。

動作を見るときの一つの選択肢としては、有用なのではないかと感じます。

そして、この本は私が二関節筋に対して抱いていた1つの疑問にも、ヒントを与えてくれました。

私の抱いていた疑問は「Lombardパラドックス」というものだったようです。

ハムストリングスは股関節伸展するのに膝関節屈曲させるので、立位を邪魔する。

大腿直筋は膝関節伸展するのに股関節屈曲させるので、立位を邪魔する。

なに?このムダ?

が、私の疑問でした。

今は、わかったような気がしています。

最後の第5章は飛ばし読みでしたが、オススメしたいところが一箇所。

P154からの
「2.義務教育・一般教養社会常識レベルの問題点」

ここ、「今の教育ダメだよ~、こうした方がいいよ~」っていう著者の考えと提案が書いてあるところなんですが。

ここの二関節筋に関する、小学校や中学校を想定した説明が、まあわかりやすい!

なんならこれを全面に押し出してくれれば、もっと読みやすかったのに!

きっと、もっと落伍者は少なかったと思う!

という内容なんです。

もしかしたら、最初に読んでおくと理解が進みやすいかもしれません。



おわりに

正直、買って読むには覚悟のいる本です。

高いですし(税込7480円)。

ただ、概念が変わります。

そして、そういう世界があることが知れます。

私はおそらく半分も理解していませんが、それでも変化を頂くことはできたように思います。

買うなら、熱量が高いうちに買わないと、買えない本だと思います。

私は、おすすめします。

では。


おまけ


ちなみに今回は

「二関節筋」「姿勢」「協調」「制御」

の4つをキーワードに、読む章の優先順位を決めています。

効率よく本を読むため、いろいろ工夫しながら読もうという試みです。

全ては理解できませんが、要素を抽出するにはいいかもな、と思っています。

やり方はまだまだ手探りです。

脱・遅読!


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