因果関係が不明であることを利用する
心理学の研究では、物事の相関関係を調べる研究が圧倒的に多い。
なので、ある二つの物事を相関関係は分かっている事が多い。
例えば、2013年の研究では、感染症の普及率と独裁主義制度の間に関係がある事が分かっている。
このように、一見関係ないように見える物でも実は関係しているという事を発見する研究が多いのだ。
それに比べて、その2つの事柄の因果関係を明確にする研究は少ない。
つまり、AとBという2つの事柄において、その2つが関係している事は分かったが、どちらが原因でどちらが結果かは分からないという事である。
上の例で言うと、独裁主義国家だから感染症の普及率が高いのか、感染症の普及率が高い国が独裁主義になっていくのかは分かっていないという事である。
これは精神病の研究においても同じことが言えて、例えば、生活習慣の乱れとうつ病の相関関係は既に発表されている。
しかし、生活習慣が乱れているからうつ病になるのか、うつ病だから生活習慣が乱れるのかは分かっていない。
多くの人が自分の症状や問題は、「病気」の結果だと決めつけている。
しかし、もしかするとそれが原因なのかもしれない。
つまり、この因果関係が分かっていないという事を利用して考え方を変えれば、症状の改善や苦しみからも救い出されるかもしれない。
例えば、「うつ病でしんどいから外に出れないのは仕方ない」という人がいるが、実際はそうではない。
もし外に出ないからしんどくなっているのだとしたら、外に出ればそのしんどさからも解放されるかもしれない。
例えば、「社会不安だから人の前で話せなくても仕方ない」という人がいるが、逆に人前で話す事を避けているから恐怖心が増幅しているのだとしたら、勇気を出して人前でhなすことで恐怖は軽減されるかもしれない。
このように自分が結果だから仕方ない、どうしようもないと思っている事が、逆にあなたを苦しめている原因であることも決して少なくない。
人の苦しみや不安は、選択肢を失った瞬間に諦めへと変わり、絶望へと変わる。
精神疾患において最も危険な事は、もうどうしようもないと諦めてしまう事である。
僕は希望を捨てずに信じればいつでも乗り越える事が出来ると信じているが、その為には選択肢が必要である。
常になにか出来る事は持っておかなければならない。
もうどうしようもない、もう自分の苦しみはどうにもならないと思ってしまった瞬間に希望を失う。
この世界に、人生に絶望する事になるだろう。セーレン・キェルケゴールはこの絶望を「死に至る病」と表現し、死にたくても死ぬことのできない、死ぬことよりも辛い病気だと表現している。
しかし、選択肢が残っている間は決して絶望ではない。
選択肢と希望を失わないためにも、この心理学という学問において因果関係の分かっていない未知の相関関係を利用する事が出来るかもしれない。
因果関係が不明であることを利用する。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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