理論の機能
心理学にはさまざまな理論が存在する。
フロイトの精神分析理論やエリクソンの社会発達理論、マズローの自己実現理論、その他にもカール・ロジャースのロジェリアン理論やアルフレッド・アドラーのアドレリアン理論などさまざまだ。
たくさんありすぎてどれから学べばいいか分からなくなる時もある。
しかし、どの理論がよくてどの理論が悪いという事はなく、100%正しい理論もなければ100%間違っている理論も存在しない。
では、そもそも理論の役割とは何なんだろうか?
僕が思うに、理論の1番の役割は、初めて出会う事例に対して推論が立てやすいという事である。
例えば、カウンセリングに関していえば、受けに来るクライエントは毎度違う人である。
1人として同じ人はおらず、一つとして同じ悩みはない。
一見外側だけ見ると同じように見える悩みでも、人によってその悩みは大きく異なる。
このように人は常に十人十色であり、カウンセリングは何人こなそうが慣れないものである。
なぜなら常に新しいケースにぶつかるからである。
しかし、そんな時、根本にある理論があると、その人の悩みや状況、問題を推測する事が出来る。
「これが原因かな」とか「この人はこのタイプの人か」と考える事が出来るようになるという事である。
そもそも理論とは概念の束だと言える。
ある現象や観察からパターンを見つけ、全般的に用いれるようにしたのが概念であり、その概念を集結するとそれが理論になる。
つまり、理論を知っておく事でなんとなくその人の事がふんわりと推測できる。
そして初めて会った人に対してもなんとなくの推測を立て、可能性を絞り込む事が出来る。
それが理論の役割であり、理論を知っておく事のメリットだと思う。
しかし、誤解しがちな人も多いが、理論は科学的ではない。
なぜなら、先程「概念の束」と表現したように、理論はふんわりと全体を包んでいる。
「全体的になんとなくこうだよね」「こうなるとこうなる事が多いよね」というのが理論である。
かなり不明確である。
科学の世界では、ある主張の反証を誰しもがイメージ出来る必要がある。
どういう事かと言うと、ある一つの仮説があった時に、「この条件の時その仮説は崩れるよね」という仮説が間違っていると証明される状態を誰しもがイメージ出来ないといけないという事である。
例えば、「白鳥は全て白い」という仮説があった時に、誰しもが「もし黒の白鳥がいればこの仮説は崩れるな」というのがわかる。
このように科学の世界では、主張や仮説が間違っている事を証明出来る必要がある。
そういった意味では、理論はそこまで明確なものではなく、科学的ではないのだ。
なので、理論を知っておくことは非常に大切だが、その理論に固執しすぎると危険だろう。
ある個人を理論に当てはめる際には注意が必要なのだ。
理論の機能。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?