セントラル・ステーション(1998年)
孤独な中年女性と少年の絆を探す旅
驚きと感動のブラジル製ヒューマンドラマ
ベルリン国際映画祭で金熊賞(最優秀作品賞)、アメリカのゴールデングローブ賞で最優秀外国語映画賞を受賞するなど、高い評価を受けたブラジル映画。
リオデジャネイロの中央駅(セントラル・ステーション)で代筆業を営む中年女性と、孤独な少年との心の交流を描いた、笑と涙のヒューマンドラマです。
描かれるのは、ドーラとジョズエのロードムービー。性格キツめのドーラは子どものジョズエにも迷惑そうに毒づきますが、ジョズエもドーラに劣らず、ズケズケ言うタイプ。怖そうなオバさんと、小生意気な子どもとの容赦ない舌戦に思わず笑ってしまいます。
衝突ばかりの2人ですが、ドーラはジョズエを放っておけず、ジョズエもドーラを頼りにしています。でも、2人が本音を口に出さないのは、求める人に忘れ去られる哀しみを知っているから。そんな哀しみを味わうくらいなら、人を求めずに距離を保つ方がいい。ドーラが屈折した理由には切ない過去の経験があったのです。
そんな孤独な2人が波乱続きの道中での経験を通し、次第に打ち解けていきます。
終盤、もしジョズエの父親が見つからなければ、独り身のドーラと一緒に仲良く暮らせばいいのでは? とさえ思うほど自然な2人なのですが、ドーラはどんな決断を下すのでしょうか。ラストシーンは必見です。私は温かい涙がこぼれました。
ドーラを演じたフェルナンダ・モンテネグロはベルリン国際映画祭で銀熊賞(女優賞)に輝きました。
時代設定はわかりませんが、代筆業があるほど読み書きのできない人がいることや、ラテン系とも言うべき、ドーラとジョズエの気性の激しすぎるキャラクター、そして、旅の途中に見える岩肌むき出しのブラジルの荒野など、日本の裏側にあるブラジルのワイルドな現実に驚かされます。
荒々しさの中に繊細さを秘めた、不思議な味わいのあるブラジル映画です。
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