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歌詞集

31
ここでは詩のなかでも歌詞っぽいものをまとめています。
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#文学フリマ

夜の遊園地

夜の遊園地

誰もいなくなった
夜の遊園地
空っぽのおもちゃ箱みたいだ

そう、キミがはしゃいで
ボクは微笑むだけ
道化は二人もいらない

流転する日常は
びっくりハウスのように
視界だけ移り変わって
自分の価値観さえ
分からなくなる

灯りが消える観覧車
星も見えない静かな闇
キミの声が風に途切れて
一瞬の魔法が解けていく

時間が止まった
夜の遊園地に
木枯らしが吹き抜ける

目まぐるしく変わる
季節の移ろ

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火炎舞踏会

永遠に焼かれる業火の中で
高らかに笑う誰かがいる
燃える身体など気に留めず
素顔を覆い隠している

炎に焦げる痛みすら
楽しんでいるかのよう
優雅に飛び廻る
赤銅のマスカレイド

記憶を失い、這い上がる
術を忘れても
煤けた心を躍らせる
狂おしいほどのカリスマ

マスカレイド…
両手を広げ、物憂げに俯き
口ずさむ天使のメロディー
彼を知る者はいない

嗚呼、マスカレイド…
埃積もった開かずの部屋

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ジオラマガール

果てしなく続く水平線
向かう少女の
足取りは深い海の底
その素顔は
もう二度と知る事のない
秘密のスクランブル

学生証に挟まれた家族の
ポートレート
肩までのポニーテール
スカートの丈は膝下で
キラリ、光る
セイコーの時刻は
正午を過ぎた頃

ジオラマガール
感情を表に出せないまま
幸せそうに見えた世界は
フィクションだったの?

ジオラマガール
本当の世界を見せてよ
なんて、愚痴をこぼしても

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