美しき芸術人 ガウディの世界へ
ガウディとサグラダファミリア展。
こんなにも、インスピレーションや心豊かな時間をいただくとは。
それほどに刺激をもらう、貴重な展示会だと思った。
" 全ては大自然の偉大な本から生まれる。 "
" 生命ある造形的ヴィジョンを作品に与えなければならない。 "
こう語ったのは、あのサグラダファミリアの二代目建築家、アントニ・ガウディである。
その鋭い観察眼と熱心な研究から生み出される美しい造形美が、見る人の心を揺さぶるのは何故だろうか。
宇宙の法則とも言われる..自然界から学んだ、厳格で正確な幾何学法則(と展示の言葉にもあった)とその模様は、もはや人の遺伝子に組み込まれたかのように私達の意識を捉えて離さない。
世界中の過去の歴史的建造物からも刺激を受けたという、作品のアイディアスケッチや作図からも、彼の現す鋭く美しい観察眼が見て取れる。
何より、その作図があまりにも繊細で細かく緻密で美しいのだ。作図に描いたタイトルや表紙でさえも、一つの作品であるかのよう。
ガウディが現す柱には..これまでに存在した円柱、エジプト、ギリシャ、ゴシック、ルネッサンス、バロックなどの描く螺旋模様..様式が余す所なく映されているということ。その類い稀ない知識と美意識たるや。もはや..想像の域を超えている。実際、図書館に入り浸っていたそうだ。
逆さ吊り実験による、逆さ吊り模型から建物を構築していく、という斬新なアイディアも凄かった。あの独特のアーチと安定感は、そんな技術からも生まれているということを知る。
鍾乳洞の空間や鍾乳石の形からも、インスピレーションを受けているのが面白かった。あの独特のフォルムを建築物に取り入れようと思う、その感性が素晴らし過ぎて..ただただ感動するばかり。
色とりどりの鮮やかなタイルで装飾された塔や建物、グエル公園も。
ふと、思い出すのは..宮崎駿さんのジブリの世界を公園にした、あのジブリパーク。昨年伺った際に拝見した、ジブリの大倉庫に作られた中央階段が、まさにあのグエル公園のモザイクタイルアートなのだ。
自然界からインスピレーションを受けているというところから..想像するに、お二人共に創られる作品へ大きな影響を受けているのを感じ取ることが出来る。宮崎監督もまた、ガウディという名だたる建築家から影響を受けているに違いない。(と、私は信じて疑わない。)
大自然から発見し、受け取ったインスピレーションを創造してゆく。その豊かな感性、表現の中に宿る子供のようで無邪気な遊び心を、幾つになっても忘れてはいけないとも思わされる。
この、動物や植物達の柔らかで伸び伸びした彫刻の表情が大好きで。暫しの間、佇んでしまったほど。こんなに豊かなカタチを表現できる、その心が素晴らしいと。この展示会では常々感じたことだった。
(※写真は全て撮影可能エリアにて)
最後の映像では、音楽を担当されている haruka nahamura さんの曲がまた素晴らしかった。彼の音楽は、まさにサグラダファミリアという教会の美しさを絵のように映し奏でていた。今回の展示会で、楽しみにしていたことの一つ。
マリアの塔の星に、夜のあかりが灯る映像と..讃美歌の如し音楽が重なってゆくのを眺めていたら、思わず涙が溢れ出てしまった。
あゝ..美しい。最後までただただ美しさが心あらわれるような、感覚を揺さぶられる展示会でした。
いつかいつか、生命力溢れるリアルな美しい姿に..会いに行くからね。ありがとう。