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2024年からの新規制で道路を走るトラックは減るか? 業界変革のチャンス!!

こんにちは。

私は通勤で毎日のように東名高速を利用するヘビードライバーです。
日頃、車を運転してて思うのは、

「平日の高速道路、トラック多すぎないか?」
「住宅街のこんな道までトラック通るのおかしくない?」

つまり、この日本はトラックの走っている数が異常に多いのではないか、という疑問です。

それで、トラックの年間販売台数を世界の他国と比べてみたところ、2021年の数字ですが

日本 772,642台
イギリス 396,910台
フランス 483,279台
韓国 265,708台
アメリカ 12,058,515台
中国 4,793,283台
インド 671,119台

地理的に同じような面積のイギリス、フランス、韓国などと比べても倍近く多い。
アメリカ、中国とは土地の面積が比較にならないが、なんとインドよりも多い、というのは驚きですね。

これでは、日本の狭い国土に、くまなくトラックが走り回っているのも頷けますよね。

さて、このようなトラック業界における「2024年問題」はご存知ですか?
ニュースでご覧になった方がいらっしゃると思いますが、丁寧に解説しましょう。

2019年4月から施行された「働き方関連法案」で、大企業・中小企業の従業員に2019年(大企業)と2020年(中小企業)から「年間時間外労働時間の上限が720時間」という規制が適用されたのですが、「トラックドライバー」については、ようやく2024年4月から「年間時間外労働時間の上限が960時間」という規制が適用される予定なのです。

まず、色々とつっこみどころがあるのですが、なんでトラックドライバーだけ2023年度まで放置されているのかということですね。

さらには、残業上限時間が一般社会人より240時間多いってどういうこと?という疑問です。

まず、適用時期が延期された理由は「自動車運転業務を含む一部業種では、業務内容の特性上、長時間労働になりやすい業種であること」だからということです。

また、ドライバーの適用上限が960時間という点も同じく「業務の特殊性を考慮」して、ということでした。

同じ人間が働く仕事なのに、特殊性もないだろう、と、もやもやしますが、ここでトラックドライバーの現状の労働時間をみてみます。

まず、全日本トラック協会が現在推奨する1ヶ月の拘束時間の目安は274時間です。

内訳は
法定労働時間(週40時間*4.3週) 172時間
時間外労働 (960時間/12ヶ月) 80時間
休憩時間 1日1時間*22日 22時間

だそうです。

こちらもつっこみどころとしては、まず「目安」というと、普通「標準的な時間」という意味ですが、ここではなぜか「働き方改革適用後の960時間という規制上限MAX数字」を使っているため、この数字は「目安」ではなく「上限」ではないか、ということです。

そして「休憩時間が1日1時間」というのもよくわかりません。特に私のように日常、車を使っているドライバーとしては、大体「1時間半に1回15分くらいは休憩するべき」だし、昼ごはんで30分くらい休憩をとると、常識的に考えて、ドライバーの場合、「1日の休憩時間は2時間から3時間くらい」にはなるはずです。

つまり、ドライバーという「業務の特殊性」を考慮すれば、1日の休憩時間は「2時間または3時間」でしょう。

このように、すでにトラック協会の推奨時間も無理がある数字ですが、労働実態はこの「上限(目安)」さえも超えてしまう場合が多いそうです。

まず、全体の3割強のドライバーは「上限(目安)」の274時間以上拘束されています。
その中でも、月間320時間(残業超過が46時間、年間で552時間超過)している超過酷ドライバーも2.4%いるそうです。また、長距離ドライバーでみると、「上限(目安)」以上に働いている過酷ドライバーは5割近くいるそうですよ!

それでは、早くトラックドライバー向けの働き方改革規制を適用したらいいのでは、と思うのですが、なんと業界からは、規制導入に対して、「2024年問題」などと呼ばれ、大変心配されているようです。

それは、この規制が適用され、トラックドライバーの労働時間が少なくなると、以下のような問題が出てくると予想されているからです。

1.  現在輸送できている荷物が運べない
ドライバーの労働時間が単純に少なくなるため、輸送する全体時間が減り、同じ量の荷主からの荷物を運べなくなる。

2. ドライバーの給料が減る
ドライバーの給与は残業時間量に比例した残業代の割合が大きく、今の給与制度だと単純に月の給料が減ってしまう。

3. 物流企業の採算悪化
上記1で荷物量が減ることで、売上高が減り、その分、新規にドライバーを採用するなど対応することでコストが増え、結果的に企業の採算が今までより悪くなる。

上記の問題について、以下のように考えます。

1. 輸送量の制限
大賛成です。輸送量が少なくなれば、道路を走るトラックも少しは減少するでしょう。また、現在のトラックの積載効率は業界でなんと4割程度なんです。つまり6割は空で走っているということです。
ここはITやDX使って1台のトラックに目的地が異なる複数の荷物を載せて積載効率を上げましょうよ。
また、よくある話として、帰りのトラックにも他社からの荷物をのせて稼働率を上げるべきです。
業界全体で、そうした情報プラットフォームを作る契機です。

2. ドライバーの労働条件
そもそも労働時間や輸送量、さらには残業量にリンクした給与体系は時代遅れでしょう。きちんと基本給をアップするとか、積載した荷物での成果報酬にするとか、してあげてください。

3. 物流企業の採算悪化
日本の物流業界は大手から中小の多重下請け構造と聞きます。中間搾取をなくして、よりフラットな業界構造にして採算を上げたらどうでしょうか。
その際、1の業界共通の積載効率アップ、稼働率アップのための情報プラットフォームができたら、こうした構造も変わるかもしれませんね。

このように私は、2024年からの労働規制を適用することは「大賛成」です。
「2024年問題」を問題と捉えずに「変化するチャンス」と捉えて、物流業界は大きく変わって欲しいと思います。

そして、道路を走るトラックの数も今より減るといいですね。

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