見出し画像

ビーチボーイズのブライアン・ウィルソンの知られざる真実の物語 「ラブ&マーシー 終わらないメロディー」

こんにちは。

先日、あまり期待せずに「ラブ&マーシー 終わらないメロディー」という映画を観たのですが、結構面白くて、こんなことが現実に起こるのかととても驚いたのでコラムにしたいと思います。

まず、この「ラブ&マーシー 終わらないメロディー」は、あの「ビーチ・ボーイズ」のリーダーであったブライアン・ウィルソンの半生を描いたものです。内容も事実に基づいたストーリーと思われます。

物語は2つの時代を行き来して描かれていきます。

一つは1960年代に人気絶頂であった「ビーチ・ボーイズ」のリーダーとして、精力的に楽曲を制作していた若きブライアン・ウィルソンです。

もう一つは1980年代、薬物に溺れたことで、後見人となった精神科医のユージンの管理のもと、救いのない生活を送る中年のブライアン・ウィルソンです。

若きブライアン・ウィルソンのシーンでは、あの有名な楽曲「Good Vibrations」が作られるシーンなどは面白かったです。
そして、その後、その天才的な感性と内向的性格故に「ビーチ・ボーイズ」の他メンバーとの反目や新曲へのプレッシャーなどから、徐々に精神を病んでいく姿が描かれています。

そして、映画ではスキップしていた1960年代後半からの期間にブライアン・ウィルソンはついに薬物中毒によりベッドから出ることができなくなったようです。

そのため、裁判所から「自分自身の世話や財産管理を行う能力を欠いている」と判断され、「成年後見制度」により、なぜか精神科医の「ユージン・ランディ」という人物が「成年後見人」として選ばれたようです。

その後「ユージン・ランディ」による地獄のような監視生活が始まったとのこと。

この頃のアメリカの「成年後見制度」は、問題が非常に多く、1987年の報道では「後見手続き自体がずさん」という点に加えて、「後見人による虐待や職務放棄」など「被後見人にとって悲惨な状況」が数多く報告されました。

さて、1980年代のブライアン・ウィルソンは、この後見人のユージンによって、過剰な精神薬を投与されて、日常生活を監視、管理され、またレコードにするための曲を強制的に作らされたりしていました。

そんなブライアンがたまたま立ち寄った車のディーラー店で勤務していたメリンダと巡り合ったことをきっかけに、メリンダはなんとかブライアンをこの地獄のような監視生活から抜け出せるように働きかけます。そこに立ち塞がる後見人のユージン……

という感じのストーリーですが、実は映画で描かれたストーリーの後、メリンダはブライアンと無事結婚し、その後のブライアンの音楽業界へのカムバックを生み出しています。

さて、ここで驚くのはアメリカの「成年後見制度」です。

制度が施行されると、なんと被後見人が社会生活をしていくにあたっての当然の権利がほとんど認められなくなるのです。すべての行動に後見人の判断を仰がなければなりません。
映画では、ブライアンがメリンダとデートする権利さえユージンの許可が必要でした。

ひどいですね。

アメリカでは、この「成年後見制度」で、特に高齢者を餌にして悪徳を行う犯罪が多発していた時期もあったそうです。

このアメリカの「成年後見制度」は、その問題意識から、1980年以降に各州で(アメリカでは州によって制度化されている)法改正をして改善してきているようです。

そんな中で、最近、聞く同じような話がブリトニー・スピアーズですよね。彼女も10年間、後見人である父のもとで、全てを監視管理されて生活をしてきたと本人が告発して裁判になりました。ブリトニーの場合も薬物中毒で、この制度が適応され、その後、回復して仕事に復帰しても後見人制度が外れず、大変つらい思いをしたそうです。
ブリトニーも現在は裁判で父親を後見人から外すことができたようです。(まだ争っているようですが)

ちなみに、日本でもこの「成年後見制度」あるんですよ。
日本の場合、以下のように、いくつかの種類に分かれているようです。

1. すでに判断能力が不十分な場合(法定後見人)
 (1)常に判断能力が欠けている→成年後見人
 (2)判断能力が著しく不十分→保佐人
 (3)判断能力が不十分→補助人

2. まだ元気だけど、将来判断能力が不十分になることが予想される場合(任意後見人)
→本人が事前に成年後見人を指名し契約する

このように、日本の場合はアメリカのような一択ではなく、ケースに応じて柔軟に運用しているようですが、やはり法定後見人を適用された後に、「後見人から被後見人に対する犯罪」は結構あるそうですよ。

気をつけないとですね。

それでは。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?