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産後うつなんて便利な言葉があったのか

私が「産後うつ」という言葉を知ったのは、初産から4年後、すでに2人目を出産し1年以上が経ってからでした。

産後うつ病とは、分娩後の数週間、ときに数カ月後まで続く極度の悲しみや、それに伴う心理的障害が起きている状態をいいます。
https://www.shinsei-kouseikai.com/column/sango_utsu.html

振り返れば私は完全に初産のあと「産後うつ」でした。自信を持って断言できます。

当時の私はというと、まさに野良の母猫状態でした。
自分以外は全部敵。我が子を脅かす敵。半径1m以内に近付こうものならシャーッと牙を剥くレベルで野良猫化していたと思います。

産後一ヶ月は実家にお世話になっていましたが、実母も夫も全員敵で、唯一心開けたのは年の近い独身の妹ぐらい。

それでも、家族でムードメーカーだった私は、変わらぬ私でいることもありました。
でも赤ちゃんの世話のことになると、感情のコントロールがうまくいかない。育児書だけが私の理解者。静かに自分の殻に籠っていきました。

幸い、産後2か月でそういったこともなくなったのですが、
「産後うつ」の存在を知るまで、なんと私は4年間もその状態は自分の気性の激しさや神経質な「性格」のせいだと思っていたのです。

当時、世話になっている両親を困らせ、母とは言い合いになることもしばしば。一方、優しい言葉には目頭が熱くなり、どんなに扱いにくい奴だったことかと思い返すだけで自分にガッカリしました。
どうして嬉しいはずの出産まで、こんな思い出がついてくるんだろう。親になったのに私ってダメな奴…自分を責めてヘコんで呆れるばかり。

しかし!
その状態が私の性格や人間力ではなく、産後の疲れやホルモンバランスに原因があり、さらにその状況に医療業界で通じる正式名称があったなんて!!

この件で、幾度となく振り返っては胸がチクチクしていた私にとって、「産後うつ」の存在が知れたことは大きな救いとなりました。

今では当時のことは笑い話です。唯一大丈夫だと思っていた妹からも
「あの時のお姉ちゃんどう接していいかわかんなかったよ!笑」
と言われ、君にも気を遣ってもらってたのかと今は一緒に苦笑いしていますが、当時はこういう情報に簡単に辿り着けなかったのだと思います。

そして逆に知っていたならば、家族の受け止め方も、私が私にしてあげられたことも、きっと違ったんだろうと思うのです。

初産から13年経った今、私は周りで妊娠や出産があると、この話を進んでしています。

もちろん最初からキラキラママ道を突っ走り、順風満帆にことが進んでいく方もいるでしょう。難なく楽しい育児ライフを送るかもしれない人にまで、不安を煽るような言葉を送るのは若干ためらいますが、初めての出産や育児はわからないことと経験したことないことだらけ。準備しておいた知識や、育児書に書いてあることで全てカバーできるとも限りません。

考えてみると、初めての状況下で体や心の中まで自分の経験したことのない状態になっているというのは実はすごいサバイバルなことですよね。

しかしそのことに気付けずに、子育てでは
「私がママなんだから自分の力でしっかりやらなきゃ!」
「うまくいかないのは自分の力が足りないせい!」
とこれまでと同じように頑張ってしまうママが結構いるのじゃないかなと思うのです。
(実際、2人目出産の時に同室で喜怒哀楽がめちゃくちゃになっている産後ママを何人か目にしました。「多分あの時の私と一緒だ!」と思っても初対面の方にそんな話を切り出すのはできませんでしたが…)

なのでせめて気心知れた人達ぐらいには、不安を煽らないようにそこは話し方とノリで笑い話にして伝えています。
もし、同じ状況になった時にふと私の話を思い出してもらったらいいだけ。

「もし辛くなったらそれはあなたのせいじゃないんだよ!」
「私も一緒だったから辛くなったら電話してね!」

ただのおせっかいなメッセージではありますが、経験から知っているのと知らないとでは、本人も周りもできることが変わってくると思うからです。

私のように4年間も微妙に無駄に自分を責め続けることがないように(笑)
そして、赤ちゃんとの生活をいい思い出にしてほしいという願いをこめて。

筆者:ミイ







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