【ライターの仕事】ライターのスキルはコンサルタントに生かせる。ビジネス支援の可能性。
「商品開発のためにライター取材を提案したい」という連絡
知り合いのフリーランス広報さんから「結婚相談所を経営されている女性起業家が今後の事業展開に迷われていて。商品設計が曖昧だから、ライターを入れて今後の事業に使える商品プランみたいなのを作りましょうって提案したんだけど。あなたを紹介してもいい?」と電話がかかってきた。
取り急ぎ、商品提案として「結婚できる魅力的な人間になるための、ブラッシュアップコース」のようなものを想定し、3コース組み立て1コース1000文字×3つ、取材3回みたいな感じでざっくり見積もりを出す。
さらに「私という人間を知ってもらってから発注の可否を決めてもらう方がいいのでは」と感じたので、アポをとって挨拶に行った。
想像している以上に曖昧な状況だったのでひたすらヒアリング
コワーキングスペースをドロップインで利用しながら、初めましてのご挨拶。
女性起業家は、ブライダル業界での勤務経験を経て、一旦は主婦になってから一念発起して起業されていた。個人で結婚相談所を開設するも限界を感じ、高額な入会金を支払って結婚相談所データベースに入会し、成婚の実績も上げている。
しかし、これまで婚活パーティーなどに出入りして集客していたものの、コロナを機にその機会が激減。どうやって集客するか? の手段の一つとしてSNSを考えるも、何を出すのか? どう出すのか? そもそも文章が書けず発信したい内容を表現できない。
そんな悩みを抱えていらっしゃった。
正直なところ、ライターに発注して商品設計することが本当にいい選択かどうかもわからない。そんなところから話がスタート。
受注するかどうかもまだわからないので、とりあえず「そもそもなぜ結婚相談所を始めたのか」「最終目的は」「これまでの集客手段は」「具体的に会員に対してどんな接客をしているのか」などを、しらみ潰しに聞いて行った。
「それはこういうことですか?」と繰り返すことで浮き彫りになる現状と展望
ライターは「うなずく回数が多いほど情報を引き出せる」と考えている。私が喋ってはダメ。私はこの人にとっての鏡。答えはすべてこの人の中にある。
起業した理由とか、経緯とかを聞いていたら、その人が「人生を変えるような結婚をしてもらって、本当に幸せになって欲しい」という熱い思いを持っていることがわかった。
そのために、
会員数を制限してマンツーマンに近いサポートをする
他の相談所のようなダメ出しをせず、「あなたのいいところ」を見つける。例:寡黙でクールだから「無理して笑え」ではなく、クールなままで好きになってくれる人を探す。クールな表情が魅力的に見える髪型や服を探すなど。
カラーコーディネーターなどの専門家を雇うとオプションになるし高額になりがちだが、自分ができる範囲で服装や髪型などのアドバイス
お見合いの約束を取り付けた場合には、相手のプロフィールを読み込み、どんな趣味を持っているか(それに合わせて事前にこの本や映画を調べてとアドバイス)、次のデートスポットの提案と約束取り付けの声かけ方などを綿密にレクチャー
など、手厚いサポートをしていることがわかってきた。※ただ同規模の他の結婚相談所がどのようなサービスをしているか、この時点で私に知識はない。
さらに、実例として、高学歴20代理系男子のファッション、髪型、表情を大変身させ、とても幸せな結婚を実らせた例を見せてもらう(写真も拝見)。
いかにもな眼鏡男子が爽やかイケメンに変身し、多数の見合い申し込みを受けた中から、本当に自分を好きになってくれる人を見つけたのだという(最初はデートで失敗もしたけど、自分らしさを魅せる方法を一緒に追求したのだとか)。
その上でライターとしての提案を行う
これまでの話を総括して、私からは以下のようなことを提案した。
【幸せな結婚に結びつく!選ばれる人になる魅力アップコース】のようなものを設定する。最終目的は「幸せな結婚」。その実現方法として「自分の魅力を高める」コースを商品に組み込む。
①あなたのアピールポイントを探すレッスン。選ばれる人になるための自分の魅力発見プログラム。
人はだいたい自分の魅力なんてわからないし、人からの反応を受け続けることで他者と自分の差異を認識できる。だからレッスン①は自分を知り、自分の魅力を棚卸しして、結婚市場でのアピールポイントを確立する。
具体的にはヒアリングシートを書いてもらう、対面でカウンセリングをすることで、「あなたはこう言うところが魅力です」と定義づけを行うなどなど。
②あなたの魅力を伸ばすためのブラッシュアップレッスン
前出の高学歴20代理系男子の変身例を元にすると、この結婚相談所に入ったことで以下のようなサポートを受けたという。
一緒に服を買いに行き、マネキンのコーディネートそのままを試着してもらって購入。いかにもメガネ男子が韓国アイドル風ファッションが似合う好青年に
「このヘアスタイルをやってもらって」と写真を渡して美容院へ。形容が難しいがとにかく大変身。爽やか!
プロカメラマンに屋外ロケを依頼し、明るいグリーンをバックに笑顔で視線はずしショットを撮影。めちゃくちゃイケメン!
と言う綿密なプロデュースにより、数十人規模のお見合い申し込みがやってきたと。
そして私は思う。「こんなふうにしてもらえたら、自信がなかった人も自分に自信が持てて、自分を好きになれる」と。
これは「結婚」と言うキーワードを軸にした、自分を好きになるためのレッスンだ。つまりコース②では、ファッションやヘアスタイルを含め、あらゆる方法を駆使して自分の魅力を高め、自分を好きになれるようにサポートする。
さらに、提案はコース③につながるのだが、長くなるので割愛。
「ライター取材というよりコンサル?」だと感じる
挨拶だけのつもりが2時間もお話ししてしまった。
この対話によって女性起業家が自分の事業に関する気づきを得たようで「そうよね、みんな自分の魅力を知らないのよね!」とか、「それをアピールポイントの確立として提案できるのね」など言いながら自分のノートにメモをしていた。
そこでハッとするのだが、「事業を行う人は自分を客観視できない」。結婚したい人が自分が婚活市場にアピールするべきポイントがわからないように。
ライターとしての私が相槌を打って取材していくうちに、起業家自身が自分を見直す過程を目の当たりにして、「取材と言う形のコンサルをしているような気分だ」と思った。
さらに自分自身も20年くらい編集やライターをしてきて、それなりに社会を見てきた経緯もあって、合間に自分の知識を踏まえた提案を挟む。編集やライター視点で「言葉という道具を武器にしたライターコンサルというのも、確立できるのでは???」という気持ちに。
現状のホームページの打ち出し方、インスタの見出しの付け方など、「もっと強く」とか「結論を先に」とかいろいろ言ってみたいことはあったが、2時間も経過したのでここはお開きに。
あとは、見積もり内容を受けてくださるかどうかの検討をお願いすることになった。
私の提案が効果的なのかどうか、それはやってみないとわからないのだが。
仕事になるかどうかわからない、ギャランティが発生しない挨拶の場で、私は「ライターってもっと色々できそうだな」という実感を得たのだった。この実感はとても有益だと感じるため、その女性起業家と、声をかけてくれたフリーランス広報さんに感謝している。
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地方の出版社を経てフリーの編集ライターとして活動しています。
○地方でライターの仕事を続けるには
○単価アップを叶えるには
○そもそもライターってどんな仕事?
○編集の視点とライターの視点の違い
などについて、自分なりの解釈をしていきたいと思っています。
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