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【新たな農業が日本を救う!?】アグリテックについて解説してみました。農業のIT化が日本を救う!?

こんにちは!PreVenture編集部です!

今回の記事のテーマは「アグリテック」です!ここ10年間でアグリテックはR&Dなどにおける、技術開発に多くのリソースが割かれました。その意味では、アグリテックは現在も実験・研究段階にあると言えます。最近の勢いが止まることを知らないアグリテックですが、具体的にどんなことが行われているのでしょうか?アグリテックについて、そして最後にはアグリテックベンチャーも紹介します!今回の記事は農業に今まで興味がなかった人にこそ読んでいただきたい記事になっています!

日本農業の現状とIT化の必要性

まず始めに、日本の農業の現状について振り返ってみましょう。日本の農業の現状における課題をまとめると3点。「農業人口の高齢化「食料自給率の低下」「異常気象の増加」です。ここではこれら3点に着目して日本農業の現状とIT化の必要性について深ぼっていこうと思います。

・農業に従事する人の減少や高齢化

近年、少子高齢化の影響で労働人口が減少していることが問題視されています。

農業においても、農業に従事する人の減少が問題となっています。農林水産省から発表されている統計データによると、1995年~2015年の20年間で414万人から約半分の210万人に、2020年時点では152万人にまで減少しています。従来のように生産性を維持できなくなると、日本の食卓に必要な農作物が届きにくくなるので、いかに限られた人員で効率的に農作物を生産するかが課題です。

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また、農業に従事する人の高齢化も問題になっています。農業従事者の年齢層に注目してみると2020年における65歳以上の農業従事者は実に69.6%にもなります。労働集約産業である農業ですが、体力や力のある若い世代の人が農業に従事する割合が少なくなることで、仕事の生産性が低下したり、跡継ぎ不足になることが懸念されています。求人を出しても人材が集まらず悩む農家も多く、将来的に日本の農業を維持するためには、若手の農業への参入が不可欠です。いかに農業に若い世代を取り込むかという点も、近年の農業における大きな課題だといえるでしょう。

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・食料自給率の低下

農林水産省によると、カロリーベース(1人あたりの供給熱量)での日本の食料自給率は減少傾向にあり、昭和40年では73%であったのに対して、令和2年度では37%、生産額ベース総合食料自給率は67%という数字が発表されています。

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これは、アメリカの132%、93%や、フランスの125%、83%など世界の国々の食料自給率と比較すると非常に低いことが分かります。自給率の高い米の消費が減って、飼料や原料を海外に依存している「畜産物」や「油脂類」の消費量が増えたことが要因として考えられています。食料自給率が低いと、海外から食料を輸入できなくなった際や海外で食料需要が高騰した際などに、十分な食料を確保できなくなってしまいます。食料自給率が年々低下していることは大きな問題なのです。

そんな食料自給率は、ここ数年では横ばいになりつつありますが、農林水産省は令和12年度のカロリーベースの食料自給率の目標を45%にすると掲げています。この目標を達成するためには、農業に関連する制度を整えるとともに、IT技術を活用した効果的な生産や流通をおこなうことが重要でしょう。

異常気象の増加

近年異常気象による農作物の不作が日本だけではなく世界各地で報告されています。2021年には米国で大型ハリケーンが南部を襲い、ロッキー山脈の西側では旱魃が続き、欧州やアフリカでは豪雨被害に伴って収穫減や農作物の不作が報じられています。冷夏、多雨、少雨など異常気象が発生すると作物の生育が十分でない、作業時機を逃してしまうなどの問題が発生します。日本でも異常気象による農作物の被害のニュースは耳にすることが多くなりました。そういった問題に対しテクノロジーを使った効果的な対応が求められているのです。

このように、日本の農業の現状として、課題がたくさんあることは事実です。それらの課題を効率的に解決するための重要なキーワードが「アグリテック」です。

アグリテックとは?

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アグリテックとは主に農業(Agriculture)とテクノロジー(Technology)を合わせた造語です。

要するに、AIやドローン、ビックデータ、IoTといった最新技術を駆使することによって農業をIT化していこうとする技術や概念の総称をさしています。

近年、日本の農業の衰退が問題視されているなかで、課題の解決手段としてのアグリテックが注目を浴びているのです。アグリテックを導入することで、社会的な問題を解消しつつ生産性を維持できると期待されています。農林水産省も積極的に農業にITを活用する方針であることから、今後も官民が連携してアグリテックの発展に取り組むでしょう。

アグリテックが普及するメリット

では、実際にアグリテックが普及することによって我々が受け取ることができる恩恵にはどのようなものがあるのでしょうか。今回の記事ではアグリテックの普及で生じる四つのメリットを紹介しようと思います。

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メリット1:農業が効率化する

1つ目は、農業が効率化できることです。

アグリテックが普及すれば、これまで人間の手でおこなっていた作業をロボットに任せられます。広大な農地で育った作物を1つひとつ手作業で収穫するのは大変ですが、ロボットが人間に代わって収穫することで、人間の負担を抑えることが可能です。

また、作物がどれくらい成熟しているかをAIが判断できるようになれば、成熟した作物に絞って収穫することもできるかもしれません。未成熟の作物を誤って収穫するリスクを抑えることで、さらに効率的な収穫が可能になるでしょう。

収穫の場面だけでなく、農薬や肥料の散布などの作業でも、ドローンを活用すれば効率的に仕事を進められるようになります。農薬や肥料の持ち運びや補充などの負担を抑えられれば、限られた人員でも効率的に作業を進められるでしょう。

メリット2:新たな働き方を実現できる

2つ目は、新たな働き方を実現できることです。

農業は、一年中休むことなく働き続けるイメージがあるかもしれません。体力が求められる仕事でもあるため、若くて健康的な人でなければ働き続けられないというイメージを持つ人もいるのではないでしょうか。

しかし、アグリテックを導入すれば、作物の様子を遠隔地から観察したり、トラクターなどの農機具を自動運転にしたりすることで、作業負担を軽減できます。人間がおこなっていた農作業をロボットに転換させれば、ライフスタイルにあわせた働き方を実現しやすくなるでしょう。

メリット3:農業に関するノウハウを継承できる

3つ目は、農業に関するノウハウを継承できることです。
農業においても高齢化が進んでいることから、跡継ぎ問題で悩む人も出てくるかもしれません。農業に熟練した人と新たに農業を始めようとしている人をつなぐ機会も持ちにくいため、十分なノウハウがないまま農業に取り組まなければならない人も出てくるでしょう。

アグリテックを導入すれば、熟練農家が培った豊富な知識や経験をデータ化できます。これらのデータをもとに、育成している作物の画像や気象条件、気温や降水量などのデータを組み合わせて分析すれば、より効果的な栽培が可能になるかもしれません。農業に新規参入した人でも適切に作物を栽培できれば、安定的な事業運営や食料自給率の改善などにつながるでしょう。

メリット4:都市型農業の実現

4つ目は、都市型農業の実現です。

以前は、農業として事業を成り立たせるためには、広大な土地を所有する必要がありました。人によっては土地を持っていなかったり、新たに土地を購入する余裕がなかったりして、農業への参入をあきらめる人もいるかもしれません。

しかし、アグリテックが普及すれば、オフィスやビルが立ち並ぶ場所であっても、ビルの屋上や地下、倉庫などの場所でも農作物を栽培できるようになります。限られた場所で農作物を栽培できるだけでなく、栽培した農作物を新鮮なうちに近隣地域で消費できるようにもなるため、事業者だけでなく消費者にとってもメリットになるでしょう。

アグリテックの実用例とその効果・結果

アグリテックはすでに国内外で数多く導入されています。実際に多くの農場で導入されているアグリテックとはどのようなものがあるのでしょうか。

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みどりモニタ(日本)

国内ですでに多くの生産者が導入しているアグリテックが「みどりモニタ」。

自動的に農場の環境を計測、記録し、そのデータを離れた所からいつでも確認することができるモニタリングシステムです。ビニールハウス内に専用のセンサーを設置することで、農産物を育てている環境や状況を自動的に計ってくれます。
難しい設定が必要なく、計測データが見やすいシンプルなデザインのため、誰にでも使いやすいのが特徴です。

また、過去のデータをクラウドに蓄積して栽培に役立てることができるほか、施設内の環境異常を察知して警告してくれることも可能なため、損失を最小限に抑えることができます。

さらには、従来紙で行ってきた管理や、口伝では難しかったデータの共有にも優れており、生産者同士での比較や勉強会など、これまでにできなかった取り組みも可能にしてくれます。

低価格でコストパフォーマンスが良い点も、生産者に支持されているポイントです。

Vegebot(イギリス)

傷つきやすく繊細で、なおかつ収穫タイミングが特に難しいとされる作物の一つにレタスがあります。レタスはその最適なタイミングを見計らうために手作業で収穫を行うことが一般的ですが、これまで人員を割いてきた収穫作業にもアグリテックが活用され始めています。

「Vegebot」は、イギリスのケンブリッジ大学が開発したレタスの収穫ロボットです。まずロボットの内蔵カメラがレタスを検知し、その色から収穫すべきかどうかというタイミングを判断します。そして実際の収穫作業では、レタスを傷つけずに切り取り、所定の位置に移動させることが可能です。独自に開発された機械学習アルゴリズムによって、レタスの画像データから収穫のベストタイミングを高い精度で判断させることに成功しています。

ロボットトラクター(日本)

農業に関わる会社、というと真っ先に「ヤンマー」という企業名が出てくる人も多いのではないでしょうか。実はそのヤンマーも北海道大学と共同研究を行い、2018年には実用化を実現しました。

 タブレットなどで遠隔操作を行うことができる「ロボットトラクター」を開発、実用化することで農業の半自動化、ロボット化に成功しています。

日本のアグリテックの現状と課題

ここで日本におけるアグリッテックの現状と課題を見てみましょう。

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・日本におけるアグリテックの市場規模

日本におけるアグリテックの市場規模は年々拡大しています2018年のスマート農業の市場規模は、約700億円にもなり、2030年には1000億円を超えるのではないかとも考えられています。スマート農業だけでなく、ドローンの分野も成長を続けているといわれており、農業に関連するさまざまな分野が今後も発展を続けていくかもしれません。

また、2020年の時点では、アグリテックに取り組むところは大企業が多いようですが、ベンチャー企業やスタートアップ企業も続々と農業分野に参戦してきています。農業とは違った分野で活躍する企業がアグリテックに参入することも予想されるので、さらにアグリテック市場は活性化していくでしょう。

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・日本のアグリテックの課題

今後のアグリテックの普及に関する課題としては、技術開発導入コスト法整備などが挙げられます。

技術に関しては、農機の完全自動走行や品目共通で利用できる葉茎菜類・果菜類の収穫ロボットなど、開発が待たれる物が多くあります。そして、どんなに便利でも一般の農家が手の届かない価格になってしまっては意味がないため、規格を標準化して開発コストを抑え、現実的な価格を設定することも必要です。さらに、人件費と比較したときに、アグリテックの導入により利益が増えるかどうかも重要なポイントです。

日本のアグリテックベンチャー

日本でアグリテックの事業を行っている企業は大会社からベンチャーまで幅広く存在しています。

農業に直接的に関係していなくても、AIやIoTなどの開発を行っていて、その技術を農業に活用しているという例も多いです。
以下では、その多くの企業の中からアグリテックで有名なベンチャー企業を紹介していきたいと思います。

株式会社アグリメディア

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「都市と農業をつなぐ」をコンセプトに、新しい農業ビジネスを展開している企業です。
農業が抱えている課題を解決し、農業を活性化・効率化するプラットフォームを提供し、日本の農業の発展に貢献することを目標としています。

株式会社アグリメディアのアグリテック
・遊休農地・遊休地の活用
・農業求人サイト「あぐりナビ」
・自治体・法人向け支援


株式会社農業総合研究所

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株式会社農業総合研究所は「農業に情熱を」を合言葉に、ITを駆使しクリエイティブに新しい農産物流通を創造し続ける会社です。この会社では、社長自身が農産物の生産・販売を実践した経験から、新たな農産物の流通ルートを作り出そうとしている企業です。

株式会社農業総合研究所のアグリテック
・アプリを利用した農家の直売所事業
・EC販売を含む様々な流通チャネル

株式会社セラク

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セラクは「インターネットで社会との懸け橋に」をモットーとするITソリューション企業です。手がけるサービスは農業に関する技術だけではありませんが、農業IT部門を中核事業の一つとしています。

株式会社セラクのアグリテック
・モニタリングシステムみどりモニタ
・搭載センサーと計測結果のビッグデータ活用


まとめ

いかがだったでしょうか。今回はアグリテックについて解説してみました。日本では今後人口が減少すると予測されており、労働生産人口も減少すると思われます。そのような中で、生活の大部分を担うのが食です。その食の最も重要なレイヤーが生産です。農業に関する課題をITを用いて解決することが、食料自給率などの、大きな社会問題の解決に繋がります。その点においても、アグリテックの発展は非常に重要です。ぜひ皆さんも調査してみてください!!

最後に。。。

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