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【必見】ダウンラウンドについて!ダウンラウンドについて簡単にまとめています!さらに、2022年のハイライトと2023年の予想も!!

こんにちは!PreVenture編集です!

12月にnote社が大幅なダウンラウンドで上場したことが話題となったように、2022年は各メディア・SNSなどで「ダウンラウンド」という言葉が多く聞かれました。

今回の記事では、そんな「ダウンラウンド」について簡単にまとめたいと思います。

・ダウンラウンドとは何か
・何が起こっているのか
・ダウンラウンドすることによるデメリット

などを中心にまとめています。

さらに、2022年のハイライトと2023年の予測もまとめています!

ネット記事等でダウンラウンドを見かけてもイマイチ理解できないといった方に読んで頂きたい記事となっています!

ダウンラウンドとは

ダウンラウンドとは前回の調達時よりも低い株価で株式を発行した資金調達のラウンドのことを指します。

スタートアップでは、非連続な成長を狙いエクイティファイナンス(第三者割当増資など)による資金調達を実施することが当たり前になってきました。プロダクト開発や事業拡大など、企業のフェーズに合わせて、くり返し資金調達を行います。その際、シード、シリーズA、B、Cなどと企業価値(バリュエーション)を上げ、株式を発行して資金調達を行います。

ここで、企業価値を上げるために株式価格の設定金額を上げながら資金調達が行われています。

しかし、この株式価格が前回の調達時よりも低い価格で設定され取り引きが行われることがあります。これがダウンラウンドです。

ダウンラウンドは、企業価値の評価が下がった際に使われています。

エクイティファイナンス=自社の株式を発行する資本政策
バリュエーション=企業価値

ダウンラウンドが起こるわけ

健全な企業経営を展開していても、市況の悪化によってダウンラウンドせざる負えない状況に追い込まれることもあります。

また、過去の資金調達時に企業価値を高く設定しすぎたことが理由でダウンラウンドするケースもあります。

2022年は米国のビックテック企業の株価が低下したことが影響し、ダウンラウンドせざる負えない状況に追い込まれたケースも多かったとされています。

ダウンラウンドは外部環境によって引き起こされることもあり、ダウンラウンド=悪であるとは言い切れません。

ダウンラウンドによる影響

しかし、一般的にダウンラウンドは問題視されています。そのため、いくつかの場面でダウンラウンドしたことによる影響を受けることがあります。

企業の成長性が疑われる

企業価値が低下することで、経営において問題が生じたのではないか、今後の成長が右肩下がりになるのではないかといった懸念が生じます。

ダウンラウンドはクライアントとの取引に影響が出る可能性があり、契約が難航し思うような企業経営やサービス展開ができなくなるかもしれません。
また今後投資家からの資金調達も難しくなる可能性もあります。

企業は成長を続け、利益を出し続けることが求められています。成長が止まったという印象を持たれることは危険です。

従業員のモチベーションが低下

ダウンラウンドが従業員のモチベーションを低下させる恐れがあります。

特に、ストックオプションを行使している場合、ダウンラウンドは従業員にとっても損失となります。そのため、企業価値を上げていくというモチベーションが保てなくなります。今後企業が衰退するのではないか、企業が不安定な状況にあるのではないかという不安を従業員に与えることになります。それが、離職に繋がることも考えられます

また採用活動にも影響をもたらすかもしれません。

ダウンラウンドによって感じる、企業の成長性への不安が、

・成長が止まったのではないか
・給与が上がって行かないのではないか
・企業内で何か問題があるのではないか
・最悪の場合、倒産することもあるのではないか

などの憶測に繋がるおそれもあり、優秀な人材の獲得が難しくなることもあり得ます。

ダウンラウンドしたことによる不安が広がると、従業員の離職や採用活動に影響をもたらすこともあり得ます。

既存株主にも影響が

そしてダウンラウンドによる影響の中でも大きな問題が、既存投資家の損失にも繋がるという点です。

そして、ダウンラウンドをしても既存株主に損失が出ないようにするための施策が「希薄化防止条約」です。

既存株主への影響

ダウンラウンドをすると、既存株主が最終的に受け取ることができる配当金が当初の想定よりも低くなる可能性があります。

ダウンラウンドにより株式価格が低下します。すると必要とする金額を調達するためにより多くの株式を発行することになります。

A社が10000円の資金調達を実施

A社(10,000円で100株発行)が10,000円を調達したい場合で考えてみましょう。
調達後の資金は20,000円となりますが、株式1あたりの金額が異なります。

株式価格を200円で設定した場合(一般的な増資)、既存株主は全体の2/3の株式を保有することになります。

200円×50株=10000円

50株発行し、全体の株式発行数は150株は、1株当たり200円です。そして、最初に100株持っていた既存投資家は全体の2/3(66.7%)の株式を保有していることになります。既存投資家の取り分は13,340.0円です。

一方で株式価格を50円で設定した場合(ダウンラウンド)、既存株主は全体の1/3の株式しか保有できないことになります。

50円×200株=10000円

200株発行し、全体で300株となり、もともと100株持っていた既存投資家は全体の1/3まで株式の保有率が下がります。

20000万円の1/3の6,666.7円が取り分となり、10000円出資したのに、帰ってきた金額は約6700円ということになります。

持ち株比率とは、対象企業が発行している株数のうちの自分が保有している株の割合です。

A社が株価を下げ、その分多くの株式を発行するとA社が発行した株式の数が大幅に増えます。全体の株式発行数が増加すると、相対的に既存株主が保有する株式の持ち株比率が低下してしまいます。

持ち株比率は経営権にも影響します。そのためVCなどの投資家たちは持ち株比率も重視しています。

希薄化防止条約について

このようにダウンラウンドは既存株主にも影響が出ます。

そこで、既存株主へのダウンラウンドによる影響を防ぐために用意されているのが「希薄化防止条約」です。希薄化防止条約を発動することで既存株主の権利が希薄化することを防ぐために、一定のルールに従って株式数が調整されます。既存株主の持ち株数が増加するように調整されるため、既存株主が不利益を被ることを防ぐことができます。

しかし、希薄化防止条約を発動すると、起業家の持ち株比率が低下することになります。起業家の持ち株比率が低下すると、起業家が持つ経営権にも影響をもたらします。投資家の言うことに従わなければならなくなり、本人の意思に反して資本政策を見直差なければならないといった事態になることもあります。

ダウンラウンド実施のポイント

ダウンラウンドをするときは、株価をいくらにするか、起業家は希薄化防止条約を発動するか否か、そもそも資金調達するべきなのかなど、多くの事柄に向き合う必要がありかなりの時間を要します。

また、企業のイメージ低下を防ぐためにも、原因の所在を明確にし、自社の現状を正しく発信する必要があります。また、社内に対して将来性を約束する、今後の成長予測を伝えるなど社員のモチベーションを下げないような施策も必要です。ダウンラウンドを避けるための方法も

スタートアップファイナンスにはダウンラウンドを避けるための資金調達手段もあります。

それがブリッジファイナンスです。ブリッジファイナンスとは、「つなぎ融資」とも言われ、次の資金調達でダウンラウンドの可能性がある場合に、借り入れを行い次の資金調達を状況が安定するまで延長させる方法です。

2022年のハイライト

2022年にダウンラウンドが相次いだと言われています。シリーズB、Cなどのレイタ―ステージのダウンラウンドやダウンラウンドによるIPO上場が多く見られました。

特に、note社の大幅なダウンラウンドでの上場は話題となりました。

2022年は米国のアメリカでテック企業の株価の急速な下落が起こり、それが原因で投資家が保守的になったと見られています。市場の落ち込みは、スタートアップにも大きく影響しました。

一方でシードラウンドやシリーズAなどのアーリーステージでは堅調に推移し、レイタ―ステージほど大きな影響は見られませんでした。しかし、レイタ―ステージの国内テック企業をクライアントとするスタートアップも多く、市場の冷え込みの影響は少なからず受けています。

2023年の光と影

2023年も引き続き、市場の冷え込みは厳しくなるとの見方が強く、資金調達市場も過酷な状態が続くと予想されます。

これまで以上に、ビジネスとしての強みや、確実性が重要視されるでしょう。

前向きな動き

一方で、この状況を打開する可能性のある動きもいくつか起こっています。

ストックオプションの税制優遇期間の延期

一つ目がストックオプションの税制優遇期間を10年から15年への延長です。岸田内閣が力を入れているスタートアップ支援の一つに税制改正案があります。そこで、ストックオプションの税制優遇期間が15年に延長されます。

これまでは、ストックオプションの行使が10年以内なら非課税、それ以降は課税の対象となっていました。そのため、ストックオプションを付与している企業は付与から10年以内にIPO上場をする必要性に迫られ、小型のIPOになってしまうケースが見られました。

15年に延長されることで、事業を十分に拡大し、大規模でのIPOを目指すことが可能になります。

セカンダリーマーケットの構築に期待

さらにセカンダリーマーケットの構築を進める動きも起こっています。セカンダリーマーケットとは、投資家同士が株式の取り引きを行う市場で、米国では既に構築されています。セカンダリーマーケットでの取り引きが活発になることで、スタートアップへの資金の流入も活発になります。

日本では、まだセカンダリーマーケットが構築されておらず、一部でセカンダリーマーケットの構築を急ぐ動きが起こっています。

まとめ

いかがだったでしょうか。今回は「ダウンラウンド」について解説しました。

ダウンラウンドとは、前回の調達時よりも低い株価で株式を発行した資金調達のラウンドです。ダウンラウンドは企業のイメージを下げ、マイナスな影響をもたらします。そのため、極力避けたいところですが、市場の冷え込みなど、外部要因に左右されることもあります。

特に2022年は米国のテック企業の株価下落に大きく影響されました。しかし、ダウンラウンド=悪ではなく、適切な対応をすることで乗り越えることができます。

そして、ダウンラウンドになってもなおメリットの方が大きいと判断し、ダウンラウンドを実行するスタートアップもあります。

ダウンラウンドについては、その要因や、実行した目的・狙いなども含めて判断することが大切です!

最後に

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