【必見】クイックコマースの可能性と課題について!!国外の様子や、クイックコマースの課題について解説します!
こんにちは!PreVenture編集部です!
今回の記事のテーマは「クイックコマース」です。
Qコマース」とも呼ばれることがあるクックコマースですが、数十分という短い時間での配達を実現していることから注目を集めています。
実際にクイックコマース事業は、消費者のニーズもあり国外でも成功している例のある注目の領域です。一方で欧米では多くの課題も。
今回はそんなクイックコマースのリアルに迫ります!!
クイックコマースについて
まずはクイックコマースについて確認しましょう。
クイックコマースとは
クイックコマースとは「注文から数十分以内に商品を届ける」サービスです。即時配達サービス、または即配サービスとも呼ばれるこのサービスは、Eコマース(EC) の一環として、欧州を中心に発展しました。すぐに商品を受け取れるという利便性から注目を集めています。
ダークストアを拠点とする
クイックコマースには、ダークストアと呼ばれる配達の拠点があります。
ダークストアとは、直接販売を行わない店舗のことです。ダークストア内では実店舗と同じように商品が陳列されています。しかし消費者が直接、そこで買い物をすることはありません。ダークストアでは、商品の陳列からピッキング・梱包・発送などを行います。
ダークストアを各地に配送することで、受注後すぐに配送することができます。
注文が入り次第、配達員がダークストアから商品を配達します。24時間いつでも自由に購入することができるということもクイックコマースの特徴のうちの一つになります。以下ではクイックコマースが普及するにはどうすればいいのかというテーマで記事を書き進めていきます。
フードデリバリー企業の参入も
ユーザーが、アプリ等を通じて注文すると、配達員の専用アプリ通知が入り、配達員が商品のピックアップからお届けまでを行う。このモデルは、フードデリバリーサービスと類似しています。
そこで、フードデリバリー企業が、自社のリソースを活用しクイックコマースに横展開する動きが見られます。
クイックコマースにおいて、短時間での配達を可能にするには、短時間での配達に対応できる配達員が欠かせません。フードデリバリー事業ですでに配達員を確保している企業は有利になります。
クイックコマースの普及の背景
クイックコマースが普及し始めたのには、どのような理由があり、普及することによってどのようなメリットがあるのでしょうか。
クイックコマースが普及した原因はやはりコロナ禍によって人々の生活習慣が変わったことが挙げられるでしょう。不要不急の外出を避け、巣篭もり需要が増えたため、家から出る必要なく欲しいものを手に入れることができるクイックコマースは普及したのだと考えられます。
では、クイックコマースの発展によっておこるメリットとはどのようなものが挙げられるのでしょうか。クイックコマースが普及することによって、人々の利便性はさらに向上することでしょう。現代人は50年前の人々に比べて確実に多忙になっています。そんな現代人にとって、買い物に行く30分を毎日減らすことができるとしましょう。これは1年続けるとかなりの時間の節約にもなります。また、クイックコマースは配達員という雇用も実現するので、失業者の削減にも貢献することができるでしょう。
クイックコマースの課題
このように注目を集めているクイックコマース事業ですが、同時に課題も生じています。
高コスト体質
クイックコマースは高コスト体質です。
短時間での配達を実現するには、十分な数のダークストアの設置と配達員の確保が必要です。
まずそこで、多くの資金を必要とします。
ダークストアの維持費や在庫の管理にコストがかかります。また、配達員の確保にも資金が必要です。
配達員は、より賃金の高いサービスを利用します。より多くの配達員を確保するには、高い水準の賃金が必要です。配達員のパフォーマンスを担保するためにも、質の高いサービスを提供した配達員に対して、追加の報酬を払う、優先的に依頼を受けられるようにするなどのインセンティブ設計が見られます。
このように、十分な数のダークストアと配達員の確保にはコストがかかります。
また、配達の経費が商品と見合わないケースも考えられます。短時間での配達となると、ユーザーは小さな買い物でも依頼します。そのため、配達にかかる経費の方が大きくなり、結果的に損をしていることもあります。
これらの高コスト体質をどのようにカバーするのかが、クイックコマース事業では大切です。
サービスの差別化が困難
クイックコマース事業では他のサービスとの差別化が困難です。
自社のサービスを利用してもらうためのプロモーションとして、初回無料や値引きなどのプロモーションが多く見られます。しかし、このプロモーションをいつまでも続けていくわけにはいきません。
また、初期の頃は目当たらしさで利用するユーザーも多くいますが、そのようなユーザーは時間が経つにつれ、利用頻度が減少します。
そこで、継続的に利用してくれるユーザーの確保が必要になります。また地域の特徴やユーザーの暮らしぶりに合わせたサービスなどで自社のサービスを確立させる必要があります。
フードデリバリーサービスでは、、、
このような課題は、似たモデルのフードデリバリーサービスでも起こっています。国内では、Uber eatやwoltなどの海外資本がよく見られます。また、food pandaが日本市場に参入後すぐに撤退するなどのニュースもありました。一方で、出前館やレアゾン・ホールディングスのグループ会社が運営するmenuなどが、中心となっています。
しかし国内市場にはそれだけでなく、それぞれの各都道府県ごとの地域で異なるフードデリバリーサービスが展開されています。
フードデリバリーサービスでは、配達エリアを限定することで自社のサービスを確立する動きが起こっています。
データドリブンな経営がカギを握る
クイックコマース事業では、データドリブンな経営がカギを握ると言われています。
効率的で短時間の配達を実現するためのダークストアの位置や配達距離などのサービス設計は緻密に計算する必要があります。
闇雲にサービスに投資するのではなく、計画的に事業を拡大していくことができるかどうかがクイックコマース事業のカギを握ります。
クイックコマースの様子
特徴をあげて紹介してきたクイックコマースですが、現状国内、そして世界ではどのようになっているのでしょうか。今回は国内、欧米、東南アジアに分けてクイックコマースの現状を紹介します。
国内
まずは日本国内のQコマースについて迫っていきます。2021年後半から日本市場には出前館やUberなどのフードデリバリー企業が増え始めています。2022年1月にはZホールディングスが本格的に参入すると発表したことが注目を集めました。日本市場も拡大の動きを見せていて、今後にかなり期待できそうと言ったところです。
市場規模
国内のクイックコマース市場規模については、新興分野であるため市場が確立していない状態です。
経産省が公表した令和3年度電子商取り引きの市場調査から、ECの市場規模を見ていると
クイックコマースでも取り扱う商材を含む、物販系のBtoC-ECの市場規模が
・2020年で12兆2,333億円
・2021年で13兆2,865億円
とされています。EC化率も上昇しており、これらの商材をインターネットを通じて購入することが浸透してきています。
クイックコマースもこの市場を中心に拡大してくことができれば十分に可能性が感じられます。
国内のクイックコマーススタートアップ
ここで国内のクイックコマーススタートアップをご紹介します。
クイックゲット株式会社
クイックゲットは2017年設立のクイックコマース領域の企業です。国内ではかなり早い段階でこの市場に参入していて、すでに正式版の提供も始まっています。現在都内3箇所に構える拠点数を3年で200カ所まで広げる方針で、今後もかなり勢いのある企業になるとみられています。
OniGO株式会社
OniGO社は2021年6月創業のクイックコマース領域スタートアップ企業です。東京都内の一部エリアを対象に“10分で食料品や日用品を届ける宅配スーパー”を展開してきました。配送料は一律300円で注文から最短10分で届くというスピード感を売りにしています。
株式会社Mesh
Meshは2021年設立のクイックコマース企業で、2021年にはダークストア型のスーパーを始める資金としてCoral Capital、デライト・ベンチャーズ、W ventures、堀井翔太氏から総額約2億円を調達したと発表しました。UberやZホールディングスなどの資金力がある企業の中でどのように生き残っていくのか、それとも淘汰されてしまうのか、注目です。
dely株式会社
動画レシピサイト「クラシル」を運営するdely株式会社もクイックコマース事業に参入することを発表しました。
同社はサービス名を「クラシルデリバリー」と名付け、生鮮食品から日用品まで普段スーパーで購入するような商品を取り扱っています。
欧米
欧米、特にヨーロッパ地域ではたくさんのクイックコマース領域スタートアップが生まれています。
中には2020年の設立にもかかわらず創業からまもない段階で数十〜数百億円規模の資金を集める企業も増えているようです。欧米では日本よりもコロナウイルスの影響を受けた国がたくさんあります。日本と同じように巣篭もり需要が増えたこともクイックコマースの発展の原因でしょう。
一方で設立当初から資金調達をくり返し事業を急速に広げたものの、数年で事業撤退や倒産に陥る企業もあります。
欧米では早い段階でクイックコマースが注目された分、次の壁にぶつかる企業も現れています。
欧米のクイックコマーススタートアップ
ここからは欧米アジアでクイックコマース事業を展開する企業を紹介します。
Getir(トルコ)
Getirはトルコの日用品配送プラットフォームです。設立から5年半で評価額26億ドルに達し、トルコ国内で2番目のユニコーン企業となったことで話題になりました。2015年に設立され、イスタンブールを拠点にモバイルアプリを通して食料品や日用品などを自宅に配送するサービスを展開しています。数年以内に他のヨーロッパの国々にも進出していく予定であるようです。
Gorillas(ドイツ)
Gorillasは2020年5月に設立されたデリバリー企業です。恐ろしいことにこの企業は昨年10月19日にデリバリーヒーロー(Delivery Hero)が主導する資金調達ラウンドで約10億ドル(約1140億円)を調達したと発表しました。国内ではみたことがないと言ってもいいほど高額の資金調達で、現在すでに9つの市場に180のダークストア(小規模な配送センター)を開設し、注文から10分以内に生鮮食品を届けています。1000億円という資金調達額はこの企業に向けられた機体の大きさを表していると言っても良いでしょう。
Gopuff(アメリカ)
Gopuffは日用品を24時間、配達料金約215円で届ける「インスタント」宅配サービスを行う企業です。フィラデルフィアに本社を置くアメリカのスタートアップ企業で、お菓子や市販薬、アルコールなど基本的にコンビニで買えるような商品を30分以内に配達するサービスを提供しています。独自のネットワークを持っていて、これにより24時間いつでも迅速な配達ができるのです。
Glovo(スペイン)
コロナ禍で非常事態宣言が長く続いたスペインで頭角を表したクイックコマース企業がGlovoです。アプリを開くと「朝食・おやつ」「飲食店」「薬局」「ショップ」「スーパーマーケット」のアイコンが現れ、それぞれのアイコンをタップすると、Glovoと提携しているお店と購入可能な商品が表示されます。購入することで素早く家に購入した商品が届けられます。Glovoの配達員の移動手段は自転車かバイクのため、配達できる商品は重さ約9kg、大きさは約40cm×40cm×30cm以内という制限がありますが、道路の状況次第ではクルマやトラックよりも素早く移動することができるという利点があるようです。
Wolt(フィンランド)
Woltは2021年に設立されたクイックコマース領域のスタートアップ企業です。現在1道1府8県の計170店舗で配達サービスを提供していて、OTC医薬品をはじめ、食料品や日用品など2300品目を対象に、注文から約30分で自宅や職場に届けています。
東南アジア
現在、アジア圏におけるスーパー、コンビニ等の小売店舗の現状は変わろうとしています。デリバリーネットワークを強化し、クイックコマースのサービスの質、量の向上に注力しているのです。
店舗密度が高いことを逆手にとって、消費者により早く届けるというスタイルにアジア全域で浸透しています。
特に、インドのQコマース市場は昨年3億ドルであったのに対して2025年までに50億ドルに達するとみられているほど激しい広がりを見せています。。
東南アジアのクイックコマーススタートアップ
次に東南アジアでクイックコマース事業を展開する企業を紹介します
FLASH GROCERY PTE. LTD.(BeepBeep!)
東南アジアでサービスを展開しているFLASH GROCERY PTE. LTD.は「BeepBeep!」というクイックコマースサービスを提供しています。商品の洗濯・支払い・配送の受取までオンラインで完結することができる上に15分で配送という圧倒的なスピード感を武器にしています。
Blinkit
Blinkitはインドに拠点を置くQコマースの企業です。インドでは近年、食品配達サービス業界が盛り上がりを見せています。この企業はソフトバンクグループが支援していることもあり知っている方もいるかもしれません。インドでは交通ルールの脆弱性、道路のもろさなどが相まって配達員に対する重圧があることが課題となっているようです。
まとめ
いかがだったでしょうか。今回の記事では「クイックコマース」について紹介してきました。すでに世界中でクイックコマースが大きな動きを見せています。
クイックコマースにおいては他のサービスとの違いをどのように生み出していくかが今後のポイントになりそうです。また、データドリブンなどのITを上手く活用した経営が求められています。
ニーズはある一方で、多くの課題もあるクイックコマース事業では地に足のついた経営が求められています。
最後に。。。
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