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官民連携で地域の「健康寿命」を伸ばす。多様な組織・職種の壁を越え、瀬戸市で生まれる新たな動き

こんにちは!愛知県瀬戸市に本社を置く大橋運輸です。

私たちは愛知県にある「せともの」の地域で、運輸業や生前整理・遺品整理事業を展開。「仕事を通じてお客様や地域に貢献する」という企業理念のもと、「健康経営」「ダイバーシティ経営」「地域貢献」の3つを中心に、さまざまな取り組みを実践してきました。

 3つの中でも、力をいれているのが「健康経営」。「治療より予防」という観点から、管理栄養士や産業医による健康サポートや食育、運動習慣づくりなど、さまざまな取り組みを行っています。8月4日(木)の「栄養の日」には、市民向けのセミナーを開催しました。

本記事では、セミナーのレポートとともに、登壇いただいた山手クリニック院長の垣花将史医師と、弊社の管理栄養士である太美善へのインタビューも紹介できればと思います。

多様な主体が持つノウハウを掛け合わせ、地域課題の解決へ

「人生100年時代 セト84(えいよう)セミナー」と名付けられた今回のセミナーは、8月4日(木)14〜16時にかけて、瀬戸市文化センターで開催されました。

人生100年時代といわれるなか、できるだけ長く健康で楽しい生活を送るため、毎日の食生活や運動習慣を考えることを目的に行われています。当日は、

山手クリニック 垣花将史院長:生活習慣病のもたらす脳・心血管病「高血圧とは」
瀬戸市役所 管理栄養士 伊藤里穂さん:「セトで発見!”栄養”の取り組み」
大橋運輸 管理栄養士 太美善:「いつまでも自分の足で歩こう」

と3つのプログラムが用意され、生活習慣病の基礎知識や瀬戸市の栄養に関する取り組みを知ったり、ときには身体を実際に動かしたりしながら、学びを深めていきました。

70〜80代を中心に44名の方々が参加し、アンケートでは「人生100年健康でいるためにできることから実行したい」「忘れていた栄養の大切さを再認識できた」といった声が寄せられました。また、これから実践したいことには「ピーナッツを1日20粒食べる」「鮭には多くのビタミンDが含まれているのを知ったので広く周知したい」などが挙げられています。

講演をする瀬戸市役所伊藤様

今回、特徴的なのは瀬戸市と社会福祉協議会、瀬戸旭医師会、警察署と共催で実施したことです。弊社としては「治療より予防を」を掲げ、これまで健康経営や地域活動に取り組んできました。セミナーを通して、所属先を超え「できるだけ長く楽しい生活をおくれる人を増やしたい」という同じビジョン持つ医師や市の管理栄養士の方と、健康の大切さをより多くの人に伝える機会が持てたことを嬉しく思っています。

超高齢社会がせまる中、「健康寿命を延ばす」という地域課題に対して官民連携で取り組む意義はどこにあったのか。イベント終了後、各担当者の方にも聞いてみました。

瀬戸市役所様「今回のようなセミナーは、行政単独でも実施できますが、官民連携によってそれぞれの強みを生かすことにより、企画立案から実施までを迅速に取り組むことが出来たと感じています。今回の事例を展開し、さまざまな企画を開催していきたいと思います

社会福祉協議会様「行政も民間もそれぞれの経営資源だけでできることには限りがあります。多様な主体がそれぞれ持ち合わせるノウハウを活用することで、地域課題への対応力をより高めることができると考えています。さらに立場や目線の違う多様な主体がつながり合うことでさまざまな気づきや信頼、連帯が生まれます。地域課題の解決に向けた官民連携での取り組みを通して、顔の見える関係づくりにとどまらず、新しい社会価値の創造や企業価値の創造という好循環も期待しながら、地域福祉の推進につなげたいと考えています」

※記事下部に 各所コメントの全文を記載

組織や職種の壁を越えて連携することで、より多くの人に

セミナーの後日、登壇した医師の垣花先生と弊社・管理栄養士の太にも、官民連携で地域課題に取り組む意義を伺ってみました。

弊社の産業医も務める垣花先生は、もともと大学病院で心筋梗塞や狭心症といった病気の治療をされていた医師です。当時、充実感はあったものの、それらの病気の根本には生活習慣病があり、「予防」の観点から啓発する必要性を感じたといいます。そこで、地域に寄り添った医療を提供すべく、2003年に山手クリニックを開業しました。

講演をする垣花先生

セミナーでは、高血圧の仕組みや予防法などについて解説いただいた垣花先生。参加した市民の方々からの反応について、次のように振り返ってくれました。

垣花先生「日常の診察では、どうしても一人の患者さんに数分しか時間をとれません。そのため、いつも簡単な説明しかできないのですが、今回は『高血圧とは何か』『こういうものを食べると良い』といったことを長い時間かけて、伝えられたのが良かったです。

嬉しかったのは、参加者の約3分の1が患者さんだったこと。終わった後に、『普段はこんなに丁寧に説明してくれないよね(笑)』とか『今日先生の話を聞けて本当に良かった』と声をかけてもらえて、楽しい時間を過ごすことができたと思っています」

弊社から登壇した太も、治療よりも「予防」の大切さを感じ、管理栄養士を志した一人です(詳しいストーリーは、下記記事をぜひご覧ください)。企業に所属する管理栄養士として、LINEによる健康情報の発信や外部向けの講演活動などに取り組んでいます。

セミナー当日は「いつまでも自分の足で歩こう」というテーマで、転倒を予防するための栄養の取り方や、筋肉を保つため家でも簡単にできる運動方法などを紹介しました。

太さん「大橋運輸は、これまでも地域の方々が健康相談できる場を定期的に設けてきました。しかし、そうした場に自分から聞きに来る方はそう多くありません。また、健康のためにバランスのとれた食事や運動が大切だと皆さん分かっていても、どのように始めたらいいか分からない方もいるでしょう。今回のように、組織や職種の壁を越えて、多くの市民の方々に大切な情報を届けられる機会がつくれたのは、大きな一歩になったと感じています」

10年スパンで継続し、健康意識が高まる状態をつくりたい

これまで組織や職種の壁を越えた官民連携の施策を実現させるのは、なかなか困難なことでした。例えば、行政機関が一民間企業が連携するのはなかなか前例がなかったり、医師や管理栄養士といった職種間では横のつながりが生まれにくいこともあるためです。

今回のような機会が実現したのも、超高齢社会を迎えるとされている「2025年問題」に向けて同じビジョンを持ち、連携する必要性を互いに感じているからだと考えています。愛知県内の人口10万人以上の市で、高齢化率が一位となっている瀬戸市。垣花先生と太さんは、今後について「初回の開催で終えず、継続していくこと」の重要性を語ります。

垣花先生「医師として初めて官民連携の場に参加したのですが、これだけ地域の方々と近い目線で関われる機会はないので、今後も続けられるといいなと思っています。

こういった場があることで、参加者は普段聞けないことを聞けるきっかけにつながりますし、今回は高血圧の話でしたが、他にも知ってほしいことは多くあります。継続して開催していくことで、市民の健康意識が高まっていくという状態をつくれるのが理想ですね」

太さん「1回セミナーの内容を聞いて、大事なことが分かっていても、実行に移すのは簡単ではありません。何度も聞いたり、新たな知識を蓄えたりすることで、小さな一歩が生れていきます。健康には幅広いテーマがあるので、継続して伝える場が必要だと考えています」

地域でのバランスボール教室

地域貢献や健康に関する取り組みについて、中には「事業活動でなく利益にならないため、なぜ一企業の大橋運輸が取り組むのか分からない」と感じる方もいるかもしれません。

もちろん、企業は利益がなければ存続できません。しかし、急速な勢いで高齢化が進んでいる地域に根差す中小企業として、地域のことを地域で支えていけるような社会を多くの方々と共につくらなければ、企業も地域も持続可能な形を継続するのは難しくなるでしょう超高齢社会という地域課題に向けたアプローチとして、弊社としても今回のような取り組みを10年スパンで継続していく必要性を感じています。

何よりそうした地道な積み重ねの先に、市民の方が弊社のことを知ってくれて生前整理・遺品整理サービスの利用につながったり、地域の生の声を聞くことで事業展開に反映させたりと、さまざまなプラスの効果が出ることも考えられます。持続可能な地域社会をつくるため、利益だけでなく社会の役に立つことを目指し、今後も官民連携で頑張っていきます。

【瀬戸市役所様・社会福祉協議会様 コメント全文】

■栄養の日イベントの実施を前向きに進めることができた理由
瀬戸市役所様:行政単独ではなく、企業(大橋運輸)、社会福祉協議会と連携し、それぞれが持つ“強み”を生かしながら一緒に企画を進めていくことができたことが、今回のような新しい取り組みでも前向きに進めることが出来たと感じています。行政が苦手とする広報やPRの部分では、大橋運輸が普段から活用されている様々な媒体を通して広報活動をされており、短期間の間に多くの方へと今回のイベントを周知することが可能になったと感じています。
社会福祉協議会様:鍋嶋社長をはじめ、管理栄養士の太さんや瀬戸市の職員とともにイベントの目的を共有し、同じ方向を向いて準備を進められたことが一番の理由と考えます。また、これまでにない「栄養」に特化したイベントであったことも大きな要因ではないでしょうか。

■実施の感想
瀬戸市役所様:参加者の方々からも、非常に満足いただけたように感じています。約2時間にわたる講演でしたが、多くの方が一生懸命耳を傾けており、栄養や健康に関する情報を吸収しようとされているように見受けられました。イベントの準備段階では、参加特典に魅力を感じて参加される方も多くいるのではないか、特典をもらったら帰ってしまうのではないか、と心配していた部分もありました。しかし、参加者のほとんどは講演内容に興味を持ってイベントに参加していることを実感し、開催してよかったなと感じています。
社会福祉協議会様:多様な主体が協働で進めることで実施できたと思います。その結果として、参加者の方々からも好評を得ることができたので大変良かったと感じています。

■今回の栄養の日を含め、地域の方に伝えたいことやこれからの展望など
瀬戸市役所様:今回は8月4日に合わせて“栄養の日セミナー”を開催し、地域の方にも栄養の日を知っていただき、栄養について考えるきっかけ作りが出来たのではと感じています。セミナーを通して、地域の方の健康意識の向上につながり、いつまでも元気に過ごしていただくヒントを見つけていただけたら嬉しく思います。官民連携を通して、多くの方に知っていただく機会を作ることが出来たので、継続して連携を進めていきたいと思います。
社会福祉協議会様:超高齢化・人生100年時代と云われる中で、健康寿命を延ばすことや生活環境を今以上に整えていく取り組みは社会要請として大変重要です。個々で取り組むことはもちろん重要ですが、社会課題として誰一人取り残さない取り組みにしていくことが肝要です。
本会では、地域の生活課題に向き合い、様々な社会資源を活用しながら、地域に住まう人々がつながり合い、支え合う取り組みを活動の柱に据えています。住み慣れた地域で健康で安心して暮らし続けられるよう、行政、地域住民、福祉団体等はもとより、民間企業はじめ多様な主体と連携協働し、活動の基本理念に「気づき、よりそい、手をつなぐ 私たちのまち せと」を掲げて福祉のまちづくりに取り組んでいきたいと考えています。


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