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私たちは子どもに何ができるか? 【@毎日1冊「教育」本チャレンジ9日目】

9日目です!!!

今日はポール・タフさんの「Helping children succeed 私たちは子どもに何ができるのか」を読んでみました!!


先日、NewsPicksのWEEKLY落合という番組の中で、現在コロナ騒動により家庭での学習時間、親と過ごす時間が増えているが親によって「非認知能力」の認識において差があり、それにより大きな差が生まれるという内容を話されていました。

それを聞いて恥ずかしながら、「非認知能力」について全然知識がなかったものですから、今回急いでこちらの本を購入して、読んでみました!!
「非認知能力」について書かれるとともに「動機づけ」について興味深い考察が述べられていて、非常に興味深い一冊でした。


【忙しいあなたに】Yuki's Summary📚
教育の役割とは果たして「テストの結果」でわかる「学力」を育てるだけなのか?その疑問に対して「非認知能力」が注目されている。「非認知能力」とは学力などテストによって測りきることのできない能力であり、粘り強さ。誠実さ、自制心などの「性格の強み」を表す能力である。
研究の結果「非認知能力」は「環境」が生み出す産物であり、特に幼少期の親とのコミュニケーションが大切であることが明らかになった。アメリカでは貧困地域に対して行った「親へのコミュニケーションの指導」などにおいて精神的安定などの効果が見られたというケースが多数報告されている。
現在は学校現場において、教師は「行動主義」により指導を行うケースが多い。例えば、子どもが悪さをした時に、原因を「自分の行動結果を理性的に考えて、代償よりもその行動による利益が大きいと考えたから」と捉え、代償を強化、つまり罰を大きくすることで行動を抑制しようと試みる。しかしながら、これは悪い行いが本当に理性的な打算であった場合のみに通じるものであり、多くの場合、特に学年が低い子どもは理性ではなく精神やホルモンの影響を受けているケースが多いという。そのため「行動主義」による指導には限界があり、「非認知能力へのアプローチ」が求められている。専門的な調査から、非認知能力を育てるのに長けている教師は一定数いることが分かったが、問題はその結果が数字として見えないために、評価がされづらいという点にある。結果として「行動主義」に頼る教師に変わってしまうケースが少なくないのが現状だ。


非認知能力

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幼少期における親とのコミュニケーションがどれだけ「非認知能力」を強くするかわかりました。

本書では教育格差についての課題解決を模索することが一つのテーマでしたが、
調査の結果から幼少期における積極的な支援は、コスト面でもかなり有効的であり、解決への糸口になると書かれていました。

その中で、見ていただきたいのが下のグラフです。
アメリカの公的資金がどの年齢に使われているのか調べたものになります。

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「Helping children succeed 私たちは子どもに何ができるのか」より


こちらを見ると、0歳〜2歳における公的資金は6%しか使われていません。
しかし、作者はのちの成功に及ぼす脳の発達が3歳までに激しく起こる事を取り上げ早い段階からの支援が必要と述べていました。


まとめ
・早い段階における、公的な支援が子どもの「非認知能力」を伸ばし格差の改善につながるのではないか?



内発的動機づけに関する興味深い真実

実は、本書で自分が一番参考になったのはこの「内発的動機づけ」に関する部分でした!

登場するのがエドワード・デシとリチャード・ライアンの「自己決定論」です。

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二人が研究を開始した1970年代は「行動主義者」が優勢の時代であり、人は「褒美と罰」により動くとされていました。

そんな中二人が考えたのは「内発的な動機づけ」であり、パズルを用いた実験は「報酬による動機づけ」の限界を問うものでした!


詳しく書かれていたページがあったので参考までに!


本書では「動機づけ」に関して彼らの研究を元に、さらに詳しく書かれていました。

動機づけに関して、「人間は生まれながらの学習者で、子どもたちは産まれつき創造性と好奇心を持っており、学習と発達を促進する行動をとるよう、内発的動機づけがなされている」という前提が出発点です。

つまり、生まれながらにして「内発的な動機」を持っているというのです。
しかし、それを複雑にしているものは「退屈さ」だと述べます。

勉強に励む際、どんな勉強をするのにも「反復練習」が必要です。
学びに対する動機はあったとしても「反復練習」自体は満足できるものではありません。

ここで、「内発的動機」つまり内なる満足に頼らない「外発的動機づけ」が必要になります。

その中で、重要な点を3点示しており

【自律性】
生徒自身が自分で学ぶものを選んでいるという意識
【有能性】
課題が容易には解決できない内容であり、解決した際に満足感が得ることのできるものであること
【関係性】
教師に好感を持たれていることを実感し、心理的安全が保証されていること

です。こうした点を抑えることで効果的な動機づけが可能になるといいます。


これはめちゃくちゃ参考になりました。
教育学部の授業で「内発的動機づけ」を学ぶ機会はあったのですが「外発的動機」に頼らなくてはいけないといい意味で妥協をしたこの理論はものすごく参考になりました。


まとめ
・人は生まれながらにして学びに対して内発的動機を持つ
・学びに不可欠な「反復練習」に対して、「外発的動機づけ」が必要となることが多い
・抑える点は3点あり、より効果的な動機づけを目指すことが可能になる




読んでみての感想

教育の格差に対して「非認知能力」的な支援を早い段階で行う解決策は、非常に魅力的だなと感じました。
その上で、「非認知能力」が親とのコミュニケーションが大きく関係することを踏まえると、教育が「学校」のみならず「地域」「社会」で取り組まないといけないことを再確認します。

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本書では、小学校での教育格差の是正のための「探求学習」の導入に対して、課題点を挙げていました。

・貧困地域における親の「探求学習」に対する理解が乏しく、学校に対してはもっと「基礎的な知識の習得」を求めている点
・「探求学習」に理解がある教員の配置が富裕層の地域の学校に偏っている点

など、なかなか深い問題だなと感じました。

また、探求学習に関しては決めたテーマを調べぬく「レジリエンス(耐久力)」が必要になります。
これは先日、読んだ「学校をつくり直す(苫野一徳)」でも述べられていることで、今の子どもたちに必要な忍耐力とはこういった高次の忍耐力であると述べられていました。
「非認知能力」であるレジリエンスが幼少期に十分に備わらなかった子どもに対する「探求学習」は難しい課題になってしまいそうです。






9日目無事に終了しました!!

「非認知能力」に関する本は今後も追っていきたいなと思うので、オススメを紹介いただけると嬉しいです!!

最後までお読みいただき、ありがとうございました!!!🙇‍♂️


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