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ショートショート「ヤクザとメリーさん」
ある日の昼下がり、1本の電話があった。
「はい、こちら〇〇組事務所」
「私メリーさん、今、ゴミ捨て場にいるの」
「…あ?」
プー。プー。プー。
電話が切れた。
暴力団らしからぬ事だが、俺は突然の電話に怯んだ。
メリーさんの物語は知っている。
捨てた人形から電話が掛かってきて、場所を言って、最終的に後ろにいるってやつだったような。
ただ、その物語が実際に自分に降り掛かるとは思わなか
ショートショート「罪人」
愛していた女を殺した後、死体を埋めた。
愛していたからこその決断だった。
決断を下した後、僕は怖くなって山から逃げようと思った。
山の中を走り抜けていると、足元には1匹の蜘蛛がいた。
人間を殺したのに、僕は何故かその蜘蛛を踏んでは行けないような気がした。
微塵の道徳心なら僕にも備わっているみたいだ。
山の中を走る。
不思議なもので、完璧な殺人事件だと確信していたのにも関わらず、常に誰