コンビニおにぎり〜『梅雨のプール』SS
この物語は、『梅雨のプール』(榎戸鍵著)番外編となるショートストーリーです。
コンビニおにぎり
春だ。
その日、理日斗は午前中にバイトを終え少し軽やかな足取りで外に出た。
自転車をこいで家に向かう途中ふと河原の桜を見たくなる。以前ならばあの薄桃色の花からは目を逸らしていたはずなのに随分と前向きな自分の変化に頬が緩んだ。
心のなかで鼻歌まで歌いながらのんびりと自転車を進める。
そうして到着した河原の桜はあまりにも鮮やかで美しくて────、
ああこの景色を、彼に見