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94年生まれ、ホタテ・ポットの感想

日記96日目。

アニメにハマってから映画離れだったが、最近少しずつ見るようになってきた。

今回は、初の韓国映画。
「82年生まれ、キム・ジヨン」

社会の中で女性が感じる困難を、主人公キム・ジヨンの半生を通してリアルに描いている韓国の小説が原作の作品。
見いってしまい2時間あっという間だった。
久しぶりに良い映画を見たときのあの満足感が得られたので、noteに残そうと思った。


あらすじ

結婚・出産を機に仕事を辞め、育児と家事に追われるジヨン。常に誰かの母であり妻である彼女は、時に閉じ込められているような感覚に陥ることがあった。そんな彼女を夫のデヒョンは心配するが、本人は「ちょっと疲れているだけ」と深刻には受け止めない。しかしデヒョンの悩みは深刻だった。妻は、最近まるで他人が乗り移ったような言動をとるのだ。ある日は夫の実家で自身の母親になり文句を言う。「正月くらいジヨンを私の元に帰してくださいよ」。ある日はすでに亡くなっている夫と共通の友人になり、夫にアドバイスをする。「体が楽になっても気持ちが焦る時期よ。お疲れ様って言ってあげて」。ある日は祖母になり母親に語りかける。「ジヨンは大丈夫。お前が強い娘に育てただろう」――その時の記憶はすっぽりと抜け落ちている妻に、デヒョンは傷つけるのが怖くて真実を告げられず、ひとり精神科医に相談に行くが・・・。

映画「82年生まれ、キム・ジヨン」
オフィシャルサイト
https://klockworx-asia.com/kimjiyoung1982/


94年生まれの私の感想

私は未婚で子供もいない。
世代的なものなのか、今まで巡りあってきた環境のおかげか、私の感度が低かっただけなのか、女性差別を受けた経験がほとんど無い。
しかし、そんな私でもきっと結婚や出産となると、必ず女性を意識せざるを得なくなるだろう。この映画を見て、少しこわくなっていろいろ想像した。
将来、結婚するとしたらパートナーとの関係性はどんなのが良いだろうか。
私は結婚しても家族以外のコミュニティを持ち続けたいので、パートでも良いから働きたいと常々思っているが、本当に働けるだろうか。
同じ職場の幼い子持ちのお母さんたちはフルタイムで働いているが、本当に大丈夫だろうかなど。
私が出産をする頃の日本は一体どうなっているだろう。

視聴者のジェンダー意識が問われる

主人公の夫であるデヒョンはとても優しく、ジヨンを休ませようといろいろと気遣うのだが、どれも空回りでもどかしかった。
他の方のレビューを読んでいると、デヒョンの優しさは間違っているという意見をたくさん目にする。
例えば、家事や子供の世話に対して「手伝うよ」という表現を使ったり、「僕が育休を取るよ。本を読んだり勉強したいと思ってたんだ」と言って育児を休暇のように捉えてしまっていたりする。
鑑賞中の私はこれらの表現に全く違和感を感じていなかったことに恥ずかしくなった。
以前から感じていたが、私はジェンダー意識というものにかなり疎い方だと思う。
職場の2つ年下の女性の後輩が性差別を批判する発言をする度に、自分はおかしいのではないかと不安になることがある。
こういう作品に触れることで意識をアップデートしていかないと、知らない間に誰かを傷つけてしまうかもしれない。
教訓としてここにも恥ずかしながら記しておく。


産後うつとどうき合うか

少しネタバレになるが、夫はなかなかジヨン本人に症状のことを話さない。彼女の家族にもだ。もっと早く伝えて向き合っていれば、違っただろうか。
放っておいたら夫まで病んで、共倒れしてしまう未来もあったのではないかと思う。
母親も父親も関係ない。周りを巻き込んで誰かに助けや協力を求められるかがやはり大事なのではないかと思う。
それが難しい場合もあるが、この映画の場合はもっと早くできたのではないかなと。
世間体や、伝えたあとの彼女の反応や家族への心配などいろいろ考えてしまうことはあるだろうけど。


幸せとは何か

どんなに時代が変わったとはいえ、やはり私たち親以上の世代からの圧力みたいなものは変わらない。
夫の母親のように、女が家事をして旦那は働いて出世して稼がなければいけないという考えに固執する親も少なくない。
そういう人たちが一定数いる中で、私たちはどうやって生きていけばいいのだろうか。
この作品で救いだったのが、ジヨンの母親や女性の元上司が寛容であったことだ。
しかし、彼女たちも同じように圧力や偏見と戦ってきて、妥協したことがあった。
印象的だったのはジヨンの元上司の女性のシーン。
職場のチームを引っ張るチーム長として出世しており子育ても経験している。
そんな強そうな彼女も男性上司に差別的発言をされ、一旦は言い返すも怒った上司にそれ以上は何も言えなかった。
このチーム長とジヨンとのやり取りの回想シーンが良かった。
ネタバレになるが、ジヨンは自分がチームに選ばれなかった理由をチーム長に尋ねると、「力不足だからではない。女性は結婚や出産のせいで休まなければならなくなるので負担になるから」と言われる。ジヨンは「私は頑張れます」と答えるが、チーム長は「私、幸せそう?どの辺が?」とジヨンに質問で返す。
私はここで何故だか涙が止まらなくなった。
チーム長の苦労や抱えているものがどれだけ大きいか想像させる台詞で、とても辛くなってしまった。彼女もいろいろ悩んだ末に、割り切って今の立場にいるんだなと。
そして、場面は現在に変わり、仕事を辞めて専業主婦をしているジヨンが娘をひとりで保育園に送るシーン。
子育てか仕事かどちらかの幸せしか手に入らないのだろうか。
どちらか片方を選んだとして、それは本当に幸せと呼べるのだろうか。



この映画、まだまだ考えさせられることがたくさんある。
小説はまた少し違うようなので、また読んでもっと思考を深めたい。
経験不足な私には辿り着けない思考もあるかと思うので、ぜひ既婚者の方や子持ちの方、男性の方で見たことある方はぜひ感想をお聞きしたい。
女性の方ほもちろん、男性の方にもぜひ見ていただきたい作品だ。
それでは。

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