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クレジットカードはもう古い!世界のEC決済方法トレンド

コンビニやスーパーで買い物をする時、カフェやレストランで食事をする時、皆さんはどのように会計を支払っていますか?

現金?
クレジットカード?
それともスマートフォンやスマートウォッチをピッとかざす?

オンラインショップで買い物する時はどうでしょう?

代金引き換えかコンビニで現金払い?
クレジットカード?
PaypalやPay Payのような決済サービス?

私、実はだいぶアナログタイプでして…。
実店舗では、未だに現金で支払うことの方が多いです。

普段のスペインでの生活で、例えば近所のスーパーに買い物に行くと、大多数の人はクレジットカード、もしくはデビットカードを器機にかざすなり差し込むなりするか、iPhoneのWalletのようにスマートフォンにクレジットカードの画像を表示して、器機にかざして支払っています。

「えーっと、たしか小銭があったはず。ちょっと待ってて…。」なんてモタモタ支払っているのは、もしかしたら私ぐらいなものです。

スペインでの日常生活で思いつくのが、もうひとつ。

友人たちと食事に行って割り勘で会計する時、「Bizum持ってる?」とよく聞かれます。

Bizumとは、スペイン国内の銀行サービスと提携している決済サービスプロバイダーです。
各銀行アプリにBizumを登録する機能があり、登録をしておけば、PaypalのようにBizumでEC決済することができますし、Bizum所有の友人間で自分の銀行口座から友人の銀行口座に即時送金することもできます。

Bizumは自身の銀行口座と直結しているため、ECサイトにクレジットカード番号などを入力する必要がなく、また、個人間で送金し合う場合も相手の銀行口座番号を教えてもらう必要がありません。

ちなみにスペイン以外のEU他国の友人とキャッシュレスで割り勘する時は、私はRevolutを使っています。
Revolutは自身のRevolut内の残高から即時送金や決済ができます。

Revolutは、イギリス ロンドンに本社を置くネオバンクです。
日本でもサービスが展開されているようなので、利用されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

割り勘すらもキャッシュレスでその場で簡単にできるようになった現代。

今回は、イギリスのフィンテック(*1)専門誌「THE FINTECH TIMES」から世界のEC決済方法のトレンドを紹介します。

ECビジネスでは支払い方法についても、販売者は考えるべき重要なポイントです。購入者のニーズに合わせた選択肢を多く用意していた方が、取引をスムーズに成功させることができます。

越境ECビジネスの場合は、ターゲットとする国や地域の人々のニーズも考慮しなければなりません。
今日紹介する記事は、そのヒントになると思います。

*1:Fintech(フィンテック)とは、Finance(金融)とTechnology(技術)を組み合わせた造語であり[1]、Financial technology(ファイナンシャル・テクノロジー)を略したものです。



ローカル決済の急速な浸透でbokuが地域別Eコマース決済トレンドを分析

「Cash is king」「If it ain’t broke don’t fix it」は、決済業界でよく聞かれるフレーズだ。しかし、デジタル決済がこの分野に与えた影響は否定できず、地域別決済ソリューションのグローバルネットワークであるbokuの新しい調査によると、従来のカード決済の市場シェアは減少し続けている。

Juniper Researchと共同で作成された、2024 Global Ecommerce Report(変化する決済の世界)と題されたbokuのレポートは、10,500人の消費者を対象に調査された。世界37の主要市場のデータを分析し、世界、地域、国別の傾向を明らかにした。調査結果では、Eコマース決済において、消費者が従来のカードネットワーク(および新興国では代金引換)から、デジタルウォレットなどのローカルな決済手段へと大きく、かつ急速にシフトしていることが浮き彫りになった。

Juniper ResearchのFintech市場調査担当VPであるNick Maynard氏は次のように述べている。

本レポートのためにbokuが行った調査では、Eコマースの継続的な力強い成長を背景に、グローバルなカードスキーム(クレジット、デビット、カード連携ウォレット)は、地域やローカルな決済手段にシェアを奪われ続けていることが浮き彫りになりました。これは、世界全体レベルで見られる傾向ですが、世界のあらゆる地域でも同様です。

A2A決済の出現

さらに、ブラジルのPIX、インドのUPI、オランダのiDEALなど、口座間(A2A)決済(即時決済および銀行送金)が、Eコマースで最も急成長している決済手段であることが明らかになった。A2A決済は今後2倍以上に増加し、Eコマースで最も急成長しているローカル決済手段になると予測されている。A2A決済は、2028年までに世界全体の電子商取引件数の18%を占めるようになる(2023年の8%から増加)。

さらに、インスタントA2Aやカードにリンクしていないウォレットは、2028年までに世界の電子商取引額の50%以上を占めるようになるだろう。

カード取引の減少、ローカル決済手段の増加

また、同レポートによると、2028年までに取引額に占めるカード利用額の割合は19%に減少する(2023年の31%から減少)。取引額では、カード決済は2028年にはEコマース取引の30%を占めるに過ぎない(2023年の41%から減少)。

2028年には、ローカル決済がEコマース取引額の58%を占め(2023年の47%から上昇)、オンライン取引額の過半数を初めて占めるようになる。またbokuは、4年後には世界の全個人の37%が現地の決済手段を積極的に利用するようになると予測している。

若い世代が道を切り開く

世界中の消費者にとって、支払い方法の選択は重要な鍵を握っている。カードネットワークへのアクセスや親和性が低い今日のモバイルファースト世代は、デジタルウォレット、キャリアダイレクト請求、インスタントA2A決済による支払いの利便性とシームレス性を優先している。多くの新技術が普及するのと同様に、若い世代や人口が地域化された決済ソリューションを取り入れることで、年配の消費者が採用する道が開拓されつつある。

bokuのStuart Neal最高経営責任者(CEO)は、次のように述べている。

我々の調査によると、世界のオンライン取引の方法は急速に変化しており、その変化の主因は、デジタルウォレット、キャリアからの直接請求、口座間送金など、便利でシームレスな支払い方法に対する消費者の嗜好にあります。

販売業者は今、将来のグローバルな成長と成功の鍵が、消費者により多くの決済手段を提供できるかどうかにあることに気づいています。bokuでは、世界最大の販売業者に、ローカライズされた決済ソリューションのグローバルネットワークへのアクセスを提供することで、顧客が世界のどこにいても、好きなものを好きな方法で、より簡単に支払うことができるようになることを楽しみにしています。

地域別の特徴

アフリカ&中東
アフリカと中東は、M-PESAやMoMoなどのサービスが好調に普及し、ローカル決済とモバイルマネーのサクセスストーリーとして既に多くの点で成功を収めている。そのため、販売業者はこれらの市場で継続的な成果を上げるために、高度にローカライズされた決済戦略を必要としている。

アジア太平洋地域
アジア太平洋地域の決済要件は急速に変化している。2028年までに電子商取引における決済額の約3分の1がカード決済となるなど、カード決済が引き続き大きな割合を占める一方で、ローカル決済が急速に普及し、カード決済から市場シェアを奪っている。

欧州
特に欧州ではカード離れが劇的に進み、電子商取引に占めるカードの割合は2023年の53%から2028年にはわずか30%に低下する。A2A決済は、仲介業者を介さずに資金を移動させることができるため、2023年の取引量の16%から2028年には25%へと大幅な成長を遂げるだろう。

極東・中国
極東・中国は、WeChatやAlipayのような「スーパーアプリ」に大きな比重が置かれ、モバイルウォレットが支配的な市場である。電子商取引の決済方法は、すでに市場が確立されているため、予測期間中、使用される決済方法にはほとんど変化がなく、これとある程度一致した状態が続くと予想される。

ラテンアメリカ
ラテンアメリカは動きのある市場である。電子商取引の支払い方法は急速に変化しており、販売業者は受け入れ戦略を変更しなければならない。PIXは明らかに初期の成功例だが、メキシコのCoDiやコロンビアのPSEも勝者である。

北米
北米はEコマースが発達した市場であり、消費者の大半が銀行口座とプラスチックカードを利用している。北米のEコマース消費者の最大の関心事の1つは、シームレスなチェックアウトが可能であること、また分割払いが可能であることであり、その結果、Buy Now Pay Later(BNPL)、A2A決済、カードにリンクしないウォレットなど、摩擦の少ない支払い方法が成長している。

インド亜大陸
インド亜大陸ではローカル決済への移行が進んでおり、特にA2A決済が勢いを増している。2028年には、ローカル決済が決済手段に占める割合が大幅に増加し、2023年の58%から増加し、Eコマース取引額の72%に相当すると予想されている。

インドは、インド亜大陸の中でも取扱高、取扱額ともに最大の牽引役であるため、大成功を収めたUPIスキームが現地での決済を促進し、今後の成長の雛形となっていることは驚くにはあたらない。

Source:Boku Breaks Down Regional E-commerce Payment Trends as Local Payment Popularity Soars(THE FINTECH TIMES)

おわりに

いかがでしたか?
各地域の決済方法は個人的にもとても興味深く読みました。

A2A決済とは

文中にあったA2A決済とはAcount to Acountの略で、クレジットカード会社やPay事業者などの決済サービスを仲介せず、口座から口座へ直接引き落とす決済方法です。
仲介業者が入らないため手数料がかからない、もしくは低コストで決済することができるため、特に手数料が高い海外では急激に普及している決済方法と言えます。

冒頭で話したスペインのBizumは、まさにA2A決済サービスですね。

日本のキャッシュレス普及率は?

日本の経済産業省では、キャッシュレス決済比率を2025年までに40%程度にするという目標を掲げ、キャッシュレス決済の推進に取り組んでいます。
2025年には大阪・関西万博がありますから、私の友人のように日本の現金を用意することなくキャッシュレスで来日する外国人も多くいるのではないかと思います。

1人2人ならともかく、万博見物に多くの外国人が来日するとなると、日本もサービスのキャッシュレス化は急務です。

そんな日本のキャッシュレス普及率は、現在どのぐらいなのでしょうか。
また、海外に比べると日本はどのぐらいの普及率なのか、調べてみました。
一般社団法人キャッシュレス推進協議会が昨年8月に発表した「キャッシュレス・ロードマップ 2023」によると、2022年のキャッシュレス決済比率は、2021年の32.5%から3.5ポイント上昇し36.0%(111兆円)となりました。

出典:キャッシュレス・ロードマップ 2023

電子マネーやコード決済は少額取引で利用する場合が多く、金額としてはクレジットカード決済に比べると圧倒的に低いようです。

しかし支払い件数(利用件数)を見ると、特にコード決済は2020年から急激に普及率が上昇しています。

出典:キャッシュレス・ロードマップ 2023

コード決済とはいわゆるQRコードなどを読み取って支払う決済方法で、日本ではLINE PayやPay Pay、楽天ペイなど、いろいろありますよね。

世界と比較した時の日本のキャッシュレス普及率

出典:キャッシュレス・ロードマップ 2023

世界主要国の中での日本のキャッシュレス普及率(2021年)は、上の図の位置です。世界の視点で見ると、日本は依然として低い水準にあります。

そういえば去年の年末、イギリス在住の友人が東京・大阪・京都へ旅行に行ったのですが、友人はなんと自身のクレジットカードとスマートフォンにインストールしてある決済ツールのみで滞在し、日本の現金、お札もコインも触ることすらなく旅を終えてきました。
これらの表を見ると、イギリスの普及率に比べたら断然低い日本へキャッシュレスで旅行した友人は、かなりのチャレンジャーだなと思いました笑。

日本でのキャッシュレスが普及しにくい理由として、現金を好む国民性という社会情勢が考えられると、経済産業省の「キャッシュレス・ビジョン」では以下のように分析しています。

【社会情勢】キャッシュレス支払が普及しにくい背景
(1) 盗難の少なさや、現金を落としても返ってくると言われる治安の良さ
(2) きれいな紙幣と偽札の流通が少なく、現金に対する高い信頼
(3) 店舗等の「POS(レジ)の処理が高速かつ正確」であり、店頭での現金取扱いの煩雑さが少ない
(4) ATM の利便性が高く現金の入手が容易

出典:キャッシュレス・ビジョン(2018年、経済産業省)

上記は2018年まで(パンデミック前)の社会情勢を分析したもので、その後パンデミックによって、非対人型・非接触型のシステムやEC市場が急速に成長した現在は、事情もだいぶ変わってきました。
それ故の2021年以降のキャッシュレス決済比率の急速な上昇と言えます。

いずれにしろ、今後日本も世界もキャッシュレス化がますます進むのは間違いないでしょう。
国や地域独自の決済サービスが確率されつつあるこの現状も、いずれは淘汰されたり、国をまたいでも簡単に低コストで利用できる新しい決済サービスが今後も増えていくのではないかと思います。


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