宣伝美術あれこれ ~戯曲を書きはじめるスイッチのはなし
来春上演予定の『No. 1 Pure Pedigree』。上演台本を本格的に書きはじめたのは、12月29日のことです。前日にデザイナーの羽田さんとおはなしをしたことで踏ん切りがついたというか、そろそろONのモードに切り替えてみてもいいんじゃないかなと思えるようになったんです。
羽田さんには演劇公演のたびにキービジュアルを作成していただいています。もはや羽田さんなくして公演をおこなうことはできないというくらいに。
(『No. 1 Pure Pedigree』2020.05)
(『9.807』2019.10)
(『夢の旧作』2019.7)
僕はビジュアル作成のための打ち合わせで、彼女とおはなしする時間が好きです。もはやビジュアル作成のための打ち合わせとは単なる口実に過ぎないのではないか――僕たちはデザイン案よりも作品自体のテーマについてはなし、多くの時間を割きます。
もちろんその時点では台本は書き上がっていないので自然とピントが合っていないようで合っている、ぼんやりとした会話になりますし必然的に脱線もします。でも二人とも「もっと具体性を」とか「論点がずれている」とかいちいち指摘せず、純粋に相手のはなしに反応していく、そんなことをしているうちに気づけばお別れの時間を迎えます。
帰りの電車のなかで、脱線した話題と話題をわざとらしく点でつなぎ合わせたりなんてしません。カキフライを食べたあと鼻に抜ける磯の香りみたいに、残るのは対話の充実感だけ。台本を書きはじめたときにやっと今回も羽田さんとの対話のなかで思考が醸成されていたことを知るんです。
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