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【前編】ひとりでも多くの子どもを本好きに。東京大学CEDEPの先生方と一緒に、ポプラ社が目指していること。

ポプラ社の想いや取り組みを紹介する「ポプラ社通信」note、今回は東京大学CEDEP(セデップ)との共同研究プロジェクトをご紹介します。

CEDEPは、正式には「東京大学大学院教育学研究科附属 発達保育実践政策学センター」という長い名前です。その名の通り、乳幼児の発達や保育、幼児教育、そのための政策について研究する、2015年に設立された全国で初めての国立の研究機関です。

ポプラ社と東京大学CEDEPは、2019年8月『子どもと‘絵本・本’に関する研究』をテーマに共同研究プロジェクトを立ち上げ、活動を続けています。

共同研究プロジェクトスタートのリリースより

絵本・児童書や学習資料、文芸等の出版社であるポプラ社が、どうしてこのプロジェクトを始めたのか、今どんな活動を行っているのかを、研究を担当する東京大学CEDEPの先生方にもご協力をいただいて、お伝えできればと思います。

“ひとりでも多くの子どもを本好きに”

ポプラ社では大切にしている企業理念に基づいて、“ひとりでも多くの子どもに「本」を好きになってもらえるよう、様々な読書推進活動に取り組んでいます。子どもと本の出会いを応援する「のびのび読み」もそのひとつ。

ポプラ社「のびのび読み」TOP

活動を通じて親子イベント等で絵本について伺うと、読み聞かせの時間や絵本が大好きなお子さんもたくさんいましたが、「うちの子は、絵本にあまり反応してくれなくて。スマホで動画ばっかり見てます。」という声も多く聞かれました。

このままデジタル社会が加速していくと、絵本や本に触れないまま大きくなる子どもが増えていってしまうかもしれない。そういう時代に、“ひとりでも多くの子どもを「本」好きに”するためにどんなことができるだろう。

赤ちゃんの頃からの本との出会いや、楽しい絵本体験を応援する「のびのび読み」も、そのひとつの形です。

出版社で働く私たちは、絵本や本、読み聞かせが子どもにとって良いものであることを、体験として知っています。一方社会のデジタル化が急速に進む中で、ポプラ社が読者に届ける「本」も、紙の本だけでなく、デジタルコンテンツの比重は高まっています。

そういうデジタルメディア時代の「本」を考えたとき、もうひとつ大きかったのが、子どもの発達にとって絵本・本は何がどういいの? デジタルメディアとの違い、それぞれの良さはどういうところ? というそもそもの‘問い‘でした。

プロフィールの記事にも書きましたが、ポプラ社にとって、「本」(「」かぎかっこ付きの本)は、紙の本だけでなく、本から派生する様々な形のコンテンツや体験を含んだものです。

この、‘そもそもの問い‘に科学的な“根拠”があったら、色々な形の「本」をより自信をもって届けていけるはず…。

チームメンバーで考えていた時に、東京大学の産学連携を担当する渉外部門の方を通じて、東京大学CEDEPとのご縁が繋がりました。

CEDEPは保育分野の研究が専門分野ということで、子どもの発育発達や絵本についての知見が大変豊富です。繰り返し先生方との研究内容等の検討が行われ、私たちの知りたかったこととCEDEP側の研究ニーズや強みが合うことが確認でき、2019年8月、この共同研究プロジェクト「子どもと絵本・本に関する研究」がスタートしたのでした。
 
◆共同研究プロジェクト開始のプレスリリースはこちら

デジタルメディア時代の「絵本・本」の価値をアップデート

プロジェクト立ち上げに際して、先生方とミーティングを重ねてイメージした共同研究活動全体の概念図がこちらです。

共同研究全体の概念図

いくつか、この共同研究のポイントとなる考え方をご紹介します。

  • 子どもを取り巻く絵本・本環境を、生態系(エコシステム)として捉える

  • 「実験研究」「調査研究」「事例研究」様々な研究手法を通じて、子どもの読書環境に、多面的・多層的にアプローチする

  • 研究全体として、デジタルメディア時代における「絵本・本」の新たな価値を発見し、子どもの読書環境の改善を目指す

‘ひとりでも多くの子どもを本好きに’と思うと、家庭、園、学校等、どこかひとつの点だけで、なかなか全体を良くしていくことはできません。そのため、子どもを取り巻く読書接点をつなげ、「子どもの絵本・本(読書)環境」をひとつの生態系(エコシステム)として見ていくようにしています。

例えば2019年の調査研究では、赤ちゃん・幼児の頃に絵本に触れるきっかけとなる保育園や幼稚園・認定こども園等、保育施設の所蔵絵本数や購入予算等を調べました(※1)。

その結果、絵本の蔵書や購入予算の少ない園では図書館の団体貸し出し等の利用が多い傾向があったことから、次のステップとして2020年には公共図書館側の児童サービス関連の調査を行い(※2)、施設間の課題をつなげて把握することができています。

これらの調査結果は、リーフレットとして読みやすくまとめ、デジタルブック化して特設サイトで一般に公開しています。

また、「保育施設の絵本環境」に注目してもらうために、「絵本の蔵書数は園ごとの格差が大きい」等の調査結果を記者発表し、多くのメディアに取り上げられました。

2020年2月の記者発表の様子

◆調査結果まとめリーフレットのデジタルブックはこちら
◆記者発表レポートのリリースはこちら

私たちが、もともと体験として知っていた本の価値をアップデートして、デジタルメディア時代に通用する「絵本・本」の価値を再定義していくこと。そのエビデンスを広く社会に発信することで、「子どもの読書環境」そのもの改善につながることを目指して、CEDEPの先生方と共同でプロジェクトに取り組んでいます。

 2020年以降は新型コロナウイルス感染症パンデミックの影響があり、予定していた実験を別の形で新たにやり直したりしながら活動を続け、5年目の今に至っています。

後編では、東京大学CEDEPのパパ研究者2名に登場いただいて、共同研究プロジェクトの現在の取り組みをご紹介していきます。(広報M)

◆後編はこちら
 
※1:保育・幼児教育施設における絵本環境実態調査(2019実査)
※2:子どもの読書環境と公立図書館の役割に関する調査(2020実査)


特設サイトTOP

「子どもと絵本・本に関する研究~デジタルメディア時代の「絵本・本」の新たな価値発見を目指して~」共同研究プロジェクト特設サイトはこちら

※調査結果についての論文等は、以下の特設サイト「TOP」>「研究内容・成果」>「調査結果」にリンクがあります