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小林紗織が描く『魔法の庭ものがたり1 ハーブ魔女のふしぎなレシピ』ーー大人の読書感想画展#3

1冊の本を読んだ後、同じ本を読んだ人はどんな風に感じるんだろう、どんな景色を思い描いたのだろう、と気になったことはありませんか?

もしも、誰かが本を読んで心に描いた景色と、同じものを見られたらー。

『大人の読書感想画展』は、絵を描くお仕事の方にお好きなポプラ社の本を読んでいただき、心に浮かんだ風景を一枚の絵にしていただくマガジンです。

こどもの頃に「読書感想文」や「読書感想画」で知った、読書の感想を誰かと共有する楽しさを、大人になった今、noteでもう一度たのしんでみませんか?


第3回目は、画家の小林紗織さんです。音楽を聴いて、浮かんだ情景を五線譜の上に視覚化して表現する試みを「score drawing」と名付け、ドローイングやコラージュなどの手法を使って、独自の視覚表現を試みています。

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有機的で、時折まるで自然の風景や鉱物のように見える色彩と形態が、絵を見る人の想像力を刺激してくれます。

また、「小指」名義で漫画やエッセイの発表も精力的に行ない、作品集も刊行されています。

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今回、小林紗織さんが選んだのは、小学生から絶大な人気を集め、来年には15周年を迎えるあんびるやすこさんの「魔法の庭ものがたり」シリーズ、1巻目の『ハーブ魔女のふしぎなレシピ』です。いったいどんな読書感想画になるのでしょうか?

まずは、この本についてご紹介します。

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パパの運転する車に乗って、女の子ジャレットは牧草地の丘を走っていました。ママはパパの下手な運転に文句を言っています。3人がこうしてドライブをしているのは、先週、ジャレットの元に「ふしぎな手紙」がとどいたからなのです。


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その手紙には、こう書かれていました。

【ジャレットさまは、2年まえになくなった、いだいなるハーブ魔女トパーズの遺産を相続する権利を持っています……遺産はハーブ魔女トパーズがくらしていた家「トパーズ荘」です。】

まわりの人から「しあわせな子」と言われる自分の毎日に、どこか物足りなさを感じていたジャレットは、これが自分の願いをかなえてくれる「家」だと感じ、両親の反対を押しきって、すぐにトパーズ荘へと向かう決心をしました。


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牧草地の村のはずれにぽつんとたつ、今にもこわれそうな1軒の家。
けれど、ジャレットはこう言いました。
「なんてすてきな家かしら。すごく魔女らしい家!」
ギーッとドアがあくと、そこには手紙の送り主、管理人のガーディ・メープルがいました。

ガーディは、魔女トパーズがこの「トパーズ荘」で魔法のハーブの薬をつくり、村の人をたすけてきたこと、薬の材料になるハーブが『魔法の庭』と呼ばれた、この家の庭で育てられたことなどを話してくれました。
そして遺産相続の方法として、こう言いました。
「相続人は、まず1週間だけ、ここに住むことができます。そのあいだにトパーズ荘に気に入られれば合格です。」


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こうして、ふつうの人間の女の子であるジャレットは、ハーブ魔女の家で1週間くらすことになったのです。
キッチンの棚にならぶハーブをつめたビン、料理用のだんろ、生まれたばかりの6匹の子ねこ、庭の古いカエデの木……トパーズ荘では、ジャレットにさまざまな出会いが待っていました。

やがてジャレットは、この「家」に自分の気持ちをつたえるため、「魔法のの庭」をお手入れし、トパーズ荘を「大そうじ」することを思いつきました……。

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小林さんは、大人が読んでも面白く、優しくてあたたかな物語と、あんびるさんが描く世界観や題材に魅力を感じ、この作品を選んだそうです。魔法の庭や不思議な植物の描写、そしてハーブなどの可愛らしいイラストを、コラージュとドローイングで表現してくださいました。

小林さんのコメントとともにご紹介します。(絵をクリックすると大きく表示されます。スマホの方は画面を横にするのがオススメです)


ー小林紗織さんの作品とコメントー

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物語と作品に登場するひとつひとつの存在が魅力的で、とても想像力を掻き立てられました。そうして感じた世界観のままに、作品の中に登場するねこたちや薬のビン、トパーズ荘の中をイメージしながらコラージュとドローイングで表現しました。
銀皿の上に置かれた手紙の中には、ジャレットとトパーズ荘のこれからの物語が予見されている様子を描いています。

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物語の中のジャレットの「気づき」には、大人の私でも毎回ハッとし、とても共感します。
ジャレットがトパーズ荘を大掃除したように、私も身の回りのものを愛を持ってお手入れできるようになりたいなあと、強く思いました。それが今からでも遅くないと思えるくらい、勇気と希望も貰える素晴らしい作品だと思います。

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▲ジャレットがお世話をする、
6匹の子ねこたちの姿が。


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▲ハーブ薬のつまったカラフルなビンたち。


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▲これは、ガーディの傷をいやした
やけどの薬でしょうか?


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可愛らしさのなかに、不思議さや怪しさを加え、いつまでも見ていたくなるような世界を表現してくれた小林紗織さん。
じっくりと本を読みこんで描かれた作品には、小林さんが「魔法の庭ものがたり」の世界から受け取った感動が宝石のように散りばめられ、絵全体に引きこまれワクワクするような気持ちになります。
すてきな作品をありがとうございました!

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「魔法の庭ものがたり」シリーズ(作・絵 あんびるやすこ)
あんびるやすこさんの、120万部突破の大人気シリーズ。
ふつうの人間の女の子ジャレットが、ある日、ハーブ魔女トパーズの遺産を相続することになりました。ジャレットがトパーズから相続したものは、トパーズ荘、魔法の庭、そしてレシピブック。魔法をつかうことのできないジャレットですが、心をこめてハーブを育て、ハーブの薬をつくっていこうと決心しました。こうしてジャレットは、トパーズのあとをつぎ、「ハーブの薬屋さん」になることになったのです。

★お知らせ★
シリーズ15周年を迎えるにあたり、ジャレットがひとりの生活をはじめ、新しい出会いから友情を育んでいく「はじまり」を描いた1~3巻の物語を収録した、特装版『魔法の庭ものがたり はじまりのものがたり』が11月上旬発売予定。

装丁:佐藤亜沙美
四六判280ページ 函入り 本表紙豪華箔押し 予価:2000円(税別)

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