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担当編集に聞いてみた

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担当編集者に、自分が編集した本のこと、担当している作家さんのことを(なるべく居酒屋で)聞いてみるというコーナーです。
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企画から編集・営業まで同時に行う「兼務」だからできた企画とは?~益田ミリさん『おとな小学生』新カバー~

企画から編集・営業まで同時に行う「兼務」だからできた企画とは?~益田ミリさん『おとな小学生』新カバー~

会社で働かれているみなさん、兼務ってされたことありますか?
社内の複数の部署に所属し、それぞれの部署での仕事を融合させてフットワーク軽く動く働き方――兼務。
ひとつの部署の仕事だけでいっぱいいっぱいなのに、複数の部署の仕事を同時にこなすなんて、僕は目が回ってしまいそうです。



ここに、益田ミリさんの『おとな小学生』という特別な本があります。

ちょうど最近、本屋さんで並んでいるのを見かけたこ

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「読書」を好きになってもらえる本を目指す――児童書の出版社だから作れる「文芸」とは

「読書」を好きになってもらえる本を目指す――児童書の出版社だから作れる「文芸」とは

小説にはいろんなジャンルがあります。
文芸、ライト文芸、ライトノベル、ほかにもいろいろ……。

それらに明確な基準はありません。刊行されているレーベルや表紙の雰囲気など、いろんな要素でなんとなく判断されることも多いですが、その中でも「文芸」はとても広いジャンルだなあと思います。
純文学のような深いテーマ性を持っている一方で、エンターテインメント性もある。

それが「文芸」
……ではないか、と思って

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世界の「現実」ではなく「真実」――ノンフィクションが突きつけるものは、何かを変えられるか。

世界の「現実」ではなく「真実」――ノンフィクションが突きつけるものは、何かを変えられるか。

もしもあなたが、祖父母を殺して金を持ってこいと言われたら。
もしもそれを言ったのが、実の母親だったとしたら――。

2014年3月、17歳の少年が祖父母を殺害し、キャッシュカードなどを奪う事件が起きた。少年は強盗殺人容疑で逮捕され、裁判で懲役15年の判決が出て服役している。
事実だけ見ると、とても凶悪な少年犯罪だ。でも、その背後には深い闇が潜む。
加害者の少年は実母や義父に虐待を受けており、特に母

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はじめての翻訳書は800ページ超!全米138万部突破、大注目の法廷劇『SMALL GREAT THINGS』担当編集に聞いてみた。

はじめての翻訳書は800ページ超!全米138万部突破、大注目の法廷劇『SMALL GREAT THINGS』担当編集に聞いてみた。

この「担当編集に聞いてみた」というコーナーでは、校了直前のピリピリしている時期か、校了後の最高にハイな時期の担当編集に、その本の読みどころや苦労話を(なるべく居酒屋で)聞いてみようというコーナーです。担当の本音を通して、その本に興味を持ってもらえたらいいなと思っています。

今回取り上げるのはポプラ文庫の5月刊『SMALL GREAT THINGS』。この新刊、二つの点でポプラ社的に異色です。

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