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年齢は関係ない!シニア世代こそフリーランスや起業に向いている理由

一昔前は「終身雇用」「定年退職」など、安定した経済状況の中、定年まで企業で勤め上げて老後をゆっくりすごす、という働き方が一般的とされていました。しかし現代ではグローバル化や日本経済の状況によって、そういった働き方や人生設計にも変化が訪れています。

フリーランスや起業といった働き方は性別や年齢の制限を受けにくいため、若い世代からシニア世代まで、全ての年代が自分のライフスタイルに合わせて働くことができます。

今のシニア世代は元気で若々しく、まだまだ働きたい意欲を持っている方が多いため、これまでの経験を活かしたワークスタイルを選ぶ方も増えているようです。

今回はシニアの新しい働き方について解説していきます。

定年という考えはもはや古い

シニア世代を取り巻く現代の労働環境

「シニア」や「シニア世代」という言葉はメディアをはじめ、いたるところで利用されている用語ですが、実ははっきりとした定義があるわけではありません。

国連の世界保健機関(WHO)の定義では、65歳以上の人のことを高齢者としていること(65~74歳までを前期高齢者、75歳以上を後期高齢者)から、一般的には「65歳以上」がシニアにあたると考えてよさそうです。

冒頭でも触れた通り、近年は元気なシニアが多く、シニアの若返り化が進んでいると言われています。そのため、シニア世代の働き方や労働意欲の変化に注目が集まっています。

健康寿命化

テレビやネットで見ない日はないサプリメントや健康食品の広告。健康に対する意識が高まっていることや、医療技術が発達したこともあり、日本では平均寿命と健康寿命が年々伸びています。
健康寿命とは「日常生活に制限のない期間の平均」と「自分が健康であると自覚している期間の平均」から算出されるもので、「健康上の問題で日常生活に制限を受けずに生活できる期間」のことです。

WHOと同じく国連の機関のひとつで、主に人口分野を担っているUNFPA(国連人口基金)の調査結果によると、平均寿命が最も長い国のひとつは日本で、男性は82歳、女性は88歳となっています。男性の世界平均は71歳、女性の世界平均は76歳だそうです。

寿命が長く、健康に暮らす期間が増えているということは、年齢の分だけ生活を継続していくための資金が必要になるということでもあります。

就労は生きがいでもある

これまでは「定年=シニア」というイメージが強かったシニア世代ですが、健康寿命が伸びている今、そのイメージもなくなりつつあります。実際、ポンとオーナースタッフの周りでも定年後、新しく事業を始めたり勤めに出る人は少なくないのだとか。

長年働いてきた方にとっては、まだまだ元気で働けるのに、年齢を理由に仕事を辞めざるを得ない状況になることは非常に寂しく感じられるのではないでしょうか。

実際、日本で仕事をしているシニア世代の4割が、働けるうちはいつまでも働きたいと希望しているという内閣府の調査結果もあるようです。
仕事をすることが生きがい、というシニアの方にとっては、定年後も働く場所があることがより健康寿命を伸ばす秘訣になるのかもしれません。

少子高齢化による労働人口の減少

日本の出生率は低下の一途を辿っています。第1次ベビーブーム以降急激に低下しており、昭和31年に2.22となった後、昭和50年に1.91、平成5年には1.46、平成17年には1.26と過去最低を記録し、令和2年は1.33とやや回復していますが以前低下傾向が継続しているといえます。

一方、前述したように平均寿命や健康寿命は伸びており、少子高齢化が進むことによって日本の労働人口は減少し続けています。そのため、シニア人材の活用が働き方改革の一つの柱として掲げられました。

2017年3月に策定された「働き方改革実行計画」では、テーマの一つに「高齢者の就業促進」が挙げられています。

法案の成立

2020年、「70歳就業確保法」「年金制度改正法」というシニアの働き方に関する2つの法案が成立しました。
「70歳就業確保法」とは企業における定年制度の廃止や定年と定義される年齢の引き上げ、継続雇用制度の導入を指し、主に65〜70歳のシニア対象に就業を支援する制度のことです。
「年金制度改正法」とは、年金支給開始時期を「60〜70歳」から「60〜75歳」に拡大したもので、75歳から受け取りをスタートすると月に受け取ることのできる年金が現状増える、という仕組みです。

シニア世代が働く理由

前項で解説したことからもわかる通り、シニア世代が働くようになった理由としては、元気で働く意欲のあるシニアの数が増えていることだけでなく、少子化対策のために労働人口を確保したい国がシニア人材の活用を後押ししていることもあるようですね。

経済的に心配が少ない現代のシニア

政府が国会に提出している年次報告書「高齢社会白書」では、経済的に「心配がない」もしくは「それほど心配ない」と感じている65歳以上の人の割合が68.5%となっています。
シニア世帯の平均所得金額は312.6万円で、全世帯からシニア世帯と母子世帯を除いた他の世帯の約5割程度となっているようです。生活していくための心配を持っているシニアは約3割強にとどまっています。

また、65〜69歳の労働力人口は410万人、70歳以上は516万人です。これは令和3年の結果ですが、労働力人口総数に占めるシニアの割合は13.4%にのぼるそうです。
人口に占める労働力人口の割合も、65歳から69歳が51.7%、70歳から74歳が33.2%となっています。いずれも平成17年以降上昇し続けていることもわかっています。

経済的に心配がないのになぜ働くのか

現代のシニア世代は経済的に心配がなく、収入の面で働く必要がない方が多いのですが、それでも働きたい、という意欲を持っているのはなぜなのでしょうか。
先に述べた通り、仕事を生きがいとして捉えていることや、人とのつながりを求めているということが理由の一つであると考えられます。

先日、ポンとオーナースタッフがタクシーに乗った際、「定年後、少し休んでみたもののやはり働きたくなって免許をとってタクシー運転手になった」という話を運転手さんから聞いたのだそう。ポンとオーナースタッフは「働くことに意欲的な先輩がたくさんいると、自分も仕事を頑張ろうという気になる」と語っていました。

シニア起業とは

シニア起業という言葉をご存じでしょうか。読んだ通りの意味ですが、シニア世代が起業することであり、特に定年退職後に事業をおこすことを指しているのだとか。

人生において健康に生活できる時間が増えてきた今、シニア世代をどう過ごすか、多くの人々が向き合う時代となりました。
シニア世代には若い世代にはない多くの経験やスキル、人脈があります。これらを活かして起業する人が増加しているようです。このシニア起業に近年注目が集まっています。

シニア層の4人に1人が「起業に関心あり」

会計ソフトのfreeeが2019年9月に実施した調査によると、シニア層の4人に1人が「起業に関心あり」と回答しており、起業したい具体的な時期については、32.1%が「3年以内」と回答しました。

シニア起業に関心を持った理由としては「自由に仕事がしたかった」「収入を増やしたかった」「退職後年金以外の収入も得たいから」などが上位に挙がっています。

「定年後に社会とのつながりが欲しいから」という回答も見逃せません。割合としては16.7%ですが、他の年代と比較して高い結果になっています。

前述した、ポンとオーナースタッフが出会ったタクシー運転手さんは「定年後、家でぼーっとしていると申し訳ない気になった」とおっしゃっていたそうですが、社会に貢献したいという気持ちが強い方も多いようです。
「シニア起業家」は金銭だけでなく、生活を充実させるため、社会に貢献するために起業するのかもしれません。

シニア起業を始めるには?

近年、シニア起業が注目を集めていますが、起業自体に年代は関係ありません。シニアでも学生でも、起業するとなれば同じ手続きを行います。

シニア世代には若い世代にはない多くの経験値や人脈があります。せっかくなら、自分にしかない経験や人脈、スキルを活かした仕事で社会に貢献していきたいですね。

最近はSNSなどでさまざまな世代間の対立が煽られることも多いですが、シニア世代も若い世代もお互いにないスキルや才能を持っています。
敵対するのではなく、若い世代もシニア世代も共存し、お互いに高めあっていけるような社会を目指したいものです。

この項では起業のアイディアから実際に行動にうつすまで、そのヒントをお伝えします。

「何で」起業するか

まず第一に考えなければいけないのは「どんな仕事で」起業するか、です。今までの経歴やキャリアを生かすもよし、今までやってみたかったことやチャレンジしたいことで起業するもよし、です。

多くのシニア世代は収入に困っていないので、利益をどんどん追求していくビジネスより、やりがいをもって社会に貢献できるビジネスに比較的向いていると言えます。

楽しさややりがいをもって継続できるかどうか、社会や人とつながっていけるかどうかに重きを置いて選ぶと良いでしょう。

起業するにあたっての準備や手続き

起業にあたっては、会社を設立するパターンと個人事業主となるパターンがありますが、いずれも届出が必要です。最近では会社設立や開業に向けたさまざまなサービスもありますので、活用してみるのもいいかもしれません。

会社設立には事業資金の準備や事業計画書の作成、競合調査などさまざまな手順があります。セミナーなどに参加してやり方を学ぶというのも一つの手ですが、「起業」となるとやはり少しハードルが高いと感じる方も多いでしょう。

そういう方におすすめなのが、フリーランスとして働くことや、シェアリングエコノミーなどのサービスを利用して、自分のスキルを提供する、という働き方です。

シニアこそ選ぶべきフリーランスという働き方

注目されているシニア起業という働き方は、定年後もやりがいのある仕事環境を自分で作っていける働き方として非常に魅力的ですが、会社設立となるとかなり手間がかかりますし、手続きなど多くの準備が必要です。

もう少し手軽に働きたいというシニア世代のみなさんには、フリーランスとして働くことや、シェアリングエコノミーなどを利用して収入を得る方法をおすすめします。

フリーランスという働き方

フリーランスとは特定の企業に専従しないワークスタイルであり、自分の好きな時間や環境を選ぶことができる働き方でもあります。

その分、収入が安定しないことや社会保障が心もとないことがデメリットとして挙げられますが、現代のシニア世代は収入に不安がない方が多く、収入よりもやりがいを求めるのであれば、フリーランスという働き方ほどシニア世代にマッチしたワークスタイルはない、とも言えるのです。

フリーランスとして働く先を見つけるのは難しいイメージもあるかもしれませんが、社員が全員若いベンチャー企業が相談役などにシニア人材を登用するケースや、一人社長がフルタイムで雇うほどではないけれど事務などをお願いしたいという理由でシニア人材を雇うケースなど、若者世代の社長がシニア人材を必要とするケースは意外と多いものです。

モノだけじゃない!スキルを提供できるシェアリングエコノミー

以前、下記の記事で解説したシェアリングエコノミーは、法人ではなく一般人がモノやスキルを提供して対価を得るビジネスモデルです。

シリコンバレーから生まれたビジネスモデルであり、民泊やカーシェアに代表される、空間やモノを貸すサービスが最も有名ですが、家事代行や語学を教えるといった、スキルを提供するものもあります。

シェアリングエコノミーはインターネットを使うことさえできれば、基本的にはサイトへの登録だけで始めることができます。

シニアに特化した求人サイト

求人の中でも特にエンジニアは性別年齢問わず需要がある職種です。

近年は日本企業のDX化が急がれており、いわゆるレガシーシステムと呼ばれる古いシステムを新しいシステムへと移行することが求められているため、国内のIT人材、特にエンジニアはひっぱりだこ。人件費も高騰しており、好条件の案件を獲得できる売り手市場です。

若い世代のエンジニアの中には古いシステムの言語やコードに慣れていない人材も比較的多いため、経験豊富なシニア世代のエンジニアは多くの企業が求める人材であると言えるでしょう。

例えば、エージェントサービスであるテックシニアフリーランスや求人サイトのSEESでは40代以上のシニア層に特化した求人を取り扱っています。
エンジニア、プログラマー、プロジェクトマネージャーは経験やスキルが問われる業務ですから、シニア世代の腕の見せ所も多いのではないでしょうか。

まとめ

「定年退職」が即引退や隠居を意味していたかつての価値観とは異なり、シニア世代だからといってできることややりたいことを諦める必要がない、という考え方が広がっています。いくつになっても健康で充実した生活を送りたいですよね。

少子高齢化や不安定な社会・経済情勢がきっかけとは言われていますが、自分のペースで仕事を請け負うことができる起業やフリーランスという働き方は、性別や年齢に制限がありません。むしろ、今までの経歴やスキルをそのまま生かしながら働けるという点では、経験豊富なシニア世代に向いているワークスタイルであると言えます。

収入が不安定になる可能性のある起業やフリーランスという働き方ですが、多くのシニア世代が経済的に困っていないと回答していることもあり、こちらもシニア世代と相性が良さそうです。

起業に興味のある方は、神奈川県が配布している、『人生100年時代!輝けシニア起業家』という冊子を参考にしてみてはいかがでしょうか。多方面で活躍するシニア起業家のインタビューが載っています。

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