見出し画像

引越しで仕事の効率アップ?テレワークに最適な部屋の条件とは

以前からテレワーク・リモートワークという勤務形態は存在していましたが、世界的パンデミックの影響により、「会社に行って勤務する」という働き方が見直され、テレワーク・リモートワークが注目されるようになりました。

テレワークとリモートワークは一般的に「オフィスから離れた場所で情報通信技術を利用して業務を行うこと」を意味する言葉で同義語として扱われていますが、「テレワーク」は厚生労働省が使用している呼び名です。

株式会社リクルート住まいカンパニーによる「新型コロナ禍を受けたテレワーク×住まいの意識・実態」調査では、2020年4月時点でテレワーク実施の会社員や公務員は47%と、前年の調査に比べて30%も増加したそうです。さらに、テレワークを今後も継続したいと答えた方の割合は84%にのぼります。

その影響は賃貸業界にも。住みたい地域としてランキング上位を占めていた都心エリアを求める傾向は軒並みダウン。むしろ、「都心周辺エリア」に関心が高まっているそうです。

今回は、テレワーク向きの物件について解説していきます。そもそも、テレワークに向いている土地や環境とはいったいどのようなものなのでしょうか?アンケート調査による実際の声を参考にしながら理解を深めていきましょう。

テレワークに求められる間取りや条件

やむなくテレワークをせざるを得なくなった、という方もいらっしゃるでしょうが、コロナ禍によって推進されたテレワークは多くの企業に普及し、一般的なものとなりつつあります。

テレワークが普及することによって、これまでと住む場所に求める条件が変わってきており、今住んでいる場所への不満を漏らす人も増えてきました。
「新型コロナ禍を受けたテレワーク×住まいの意識・実態」調査では、自宅への不満として「オンオフの切り替えがしづらい」「仕事専用スペースがない」「仕事専用のデスク/椅子がない」という意見が上位3位までを占めています。

今年初めに引越しをしたポンとオーナースタッフは、フルリモートのフリーランスとして働いているため、物件を探すにあたって一人暮らしとしては少し広めの条件で探したそうですが、同じ条件で探す人が多く、なかなか物件が見つからなかったとか。

一言でテレワーク向けの物件と言っても、一人暮らしなのか、二人暮らしなのか、家族で住んでいるのか、など住む人のライフスタイルはさまざまです。次の項ではライフスタイル別の人気ランキングを見ていきましょう。

テレワークの普及で変化?人気の住まいの条件とは


アットホームが2020年に発表した「テレワークにおすすめの住まいの条件ランキング」によると、ライフスタイル別のランキングはそれぞれこのようになっています。

シングルに人気の条件は「インターネット接続料無料」

シングルに人気の条件としては、「インターネット接続料無料」を希望条件として挙げる回答者が7割に上りました。インターネットを長時間にわたって利用するテレワークが普及したことにより、インターネット回線の利用料を節約できる物件であることを重視する人がこれまで以上に増えたようです。

一人暮らしの場合はプライベートに配慮する必要はないので、「スペースの確保」を条件に挙げる回答者は4割を下回りました。

カップルに人気の条件は「ネット利用料」と「間取り」

カップルの場合も条件として「インターネット接続料無料」を挙げる回答者が多く、インターネット利用料金を節約したいのはシングルもカップルも同じのようです。

カップルの場合は「テレワークスペースを確保できる間取り」を挙げる回答者が5割を占めており、二人が同時にテレワークを行うことを考慮すると、広さよりも間取りが重要だと考えているようですね。

ファミリーに人気の条件は「テレワークスペースを確保できる間取り」

ファミリーの場合は「テレワークスペースを確保できる間取り」が1位となりました。続いて「インターネット接続料無料」となっており、どちらも5割程度の割合でした。
カップルのケースと似ていますが、お子さんがいる場合は特に家族のスペースと仕事のスペースを分ける必要があるため、仕事の場所をしっかりと確保したい、と考える方が多いようです。

コロナ禍より前に一戸建てを建てた筆者の知人が、書斎を作ろうと考えたけれど当時は子供部屋を優先してしまったそうで、コロナ禍になって書斎を作っておけばよかった、と後悔したという話を聞いたことがあります。誰も当時はこの状況を予想できなかったので仕方ないこととは言え、持ち家だと簡単に引越しもできないので大変ですね。

希望の物件を見つけるには

ランキングを見ると、どのライフスタイルにおいても「ネット環境」が重要なのがテレワーク向けの物件の条件ですが、複数名で暮らしている場合は「間取り」を重視する人も多いようですが、間取りを考えるならそれなりの「広さ」も必要です。
「ネット環境」「間取り」「広さ」全てを兼ね備えた物件となると、家賃もそれなりに高額になってしまいそうですよね。

そこで、あえて「駅からの距離が遠い物件」を選択してみるのはどうでしょうか。毎日通勤する必要がないテレワークなら、駅から近い物件を選ぶ必要もありません。

賃貸の特集では駅チカなどが魅力的な条件としてランキング上位にあがりますが、テレワーク中心の生活であれば絶対条件ではありません。むしろ、外出時に歩く習慣ができるので、運動不足解消だと考えてみるのはいかがでしょうか?

同じエリアでも間取りを増やそう、専有面積を広げようと思うと、単純に家賃は高くなっていきますが、徒歩10分以内の物件と30分の物件とで比較してみるとかなり違うことがわかります。

前述した、最近引越しをしたポンとオーナースタッフは、前に住んでいた場所よりも駅からは遠くなったそうですが、目の前にシェアサイクルがあったことに引越してから気づいたそうです。シェアサイクルは最近増えていますから、そういったものを利用することで駅から遠いというデメリットも払拭されるかもしれません。

また、一般的に新生活シーズンは家賃が高騰するため、あえてオフシーズンに物件を探してみるのも一つの手です。

テレワークに適した部屋のチェックポイント

部屋を選ぶ際に注意しておきたい仕事の効率をよくするための6つのポイントも抑えておきましょう。
必ずしも全てに該当する必要はありませんが、こういった条件が整うと仕事の効率が上がりやすいと言われていますから、参考にしてみてください。

ワークスペースの天井が低い

天井が低い部屋は実は仕事に向いていることをご存じですか?一見すると、「天井が高いほうが開放感があってよいのでは?」と思われるかもしれません。しかし、「テレワーク向けの」となると話は別です。

心理学で「カテドラル効果」という言葉があるのですが、適度な低さがある方が集中力やよい意味での緊張感が発揮され、仕事の効率が上がると言われています。一般的に、2.3mくらいの高さがよいと言われています。

角部屋

一般的に角部屋は窓が多く、光を多く取り入れることで目に優しい環境になります。テレワークだとパソコンや書類などを凝視することが多く、座りっぱなしの姿勢は血行も悪くなり、目の疲れが進行しがちです。

なるべく自然光を取り入れられる部屋で作業をすることで、少しでもリラックスできる環境を作りましょう。

北側の部屋

必ずしも「北側の部屋がおすすめです!」というわけではないのですが、北側の部屋は書斎・ワークスペースに適した穴場物件です。

一般的には南側の部屋の方が日当たりがよいため、部屋も広めにとられています。一方で、北側の部屋はより小さく設計されることが多いとされています。しかし、書斎のための部屋なら、必ずしも広大なスペースが必要というわけではありませんよね。閉塞感なく机が置ける広さがあれば十分でしょう。

また、南向きの部屋は暖かくなりすぎて頭がぼーっとしてしまうため、北向きの寒い部屋の方が仕事の効率が上がるという話もありますし、北向きの書斎は風水的によい、という説もありますね。

眺望

眺望がいい部屋は仕事の合間に窓の外を眺めることでリフレッシュができます。遠くまで見渡せる景色は、単純にリラックス効果を高めてくれますし、遠くを見ることで視力低下を防ぐ効果もあるといわれています。
階数や環境にもよりますが、緑が多い風景ですと、さらにリフレッシュ・リラックス効果もアップしますね。

インターネット環境

テレワークはパソコンやタブレットなどを利用して行う方がほとんどでしょう。そのため、安定したインターネット回線はテレワークの必須条件です。
インターネットへの接続に不都合があると仕事に影響が出てしまいますし、それがストレスに繋がることも。
そのため、「光回線の有無(ない場合は引き込みが可能か)」と「回線スピード」、「モバイルWi-Fiの貸与がある場合はきちんと電波が受信されるか」、この3点を確認するようにしましょう。

部屋数の多いマンションの場合は、多くの部屋で一斉にインターネット回線を利用すると速度が落ちることなどもあるため、注意が必要です。

騒音

どんな環境であっても無音の中で生活するのは不可能ですが、物件を選ぶ際には騒音にも注意が必要です。

幹線道路、線路沿い、工場、商業施設、幼稚園、保育園、学校、飛行場などの近くは騒音が発生するリスクが高いです。しかし、これらは事前に周辺環境を確認しておくことで回避できますし、近隣に騒音が発生する施設がある場合は物件がそれに対応していることも。防音性についてはしっかり確認しておきたいですね。

近隣住人の騒音については、前もってわかる場合はその物件を避けることができるのですが、引越してみないとわからないというケースも。マナーが悪い人もいれば、構造上の問題で音が響いてしまうケースがあります。特に賃貸の場合は分譲よりも住人の入れ替わりが多いため、ずっと落ち着いた環境が保障されるわけでもありません。

絶対ではありませんが、近隣の騒音は最上階・角部屋・戸建て賃貸など、面している部屋が少ない物件を選ぶことで軽減できます。また、鉄筋コンクリート造は騒音が少ないとして好まれる傾向にありますが、床や境壁の厚さによっても異なりますし、場合によっては隣室との壁が鉄筋コンクリートではない場合もあります。

その結果、鉄筋コンクリートのマンションの中部屋より木造アパートの三方角部屋の方が、静かであるケースは珍しくないとも言われています。騒音ばかりは実際に行ってみないとわからないことも多いので、できるだけ内見することをおすすめしますが、内見できない場合は周辺環境だけでも見に行ってみることと、不動産業者にしっかりと確認するとよいでしょう。

賃貸マンションをオフィス利用したい場合

オフィス利用を禁止している居住専用マンションは多いため、オフィスとして利用したい場合はオフィス利用可のマンションを選びましょう。

ただし、居住専用のマンションでも、個人で業務を受託し自宅で仕事をすることはできます。気を付けなければならないのは、居住専用のマンションでは自宅の住所で開業したり法人登記したりすることができないという点です。

共有ワークスペース付き物件を探す

テレワーク人口が比較的多いと思われる都心部であっても、事務所として借りることのできるマンションの数は全体の10%程度だそうです。
そのような場合は、共有ワークスペース付き集合住宅を探してみるのも一つの手です。

集合住宅の共用スペースをコワーキングスペースにすることによって、自宅の間取りに関係なく、仕事のスペースを確保することができる物件が登場しています。分譲マンションに多く見られるようですが、最近は賃貸住宅でも共用ワークスペース付きの物件が出始めています。

コピー機など自宅にない設備が利用できることや、コワーキングスペースを借りるよりも安価に利用できることが大きなメリットです。もちろん、通勤時間も交通費も発生しません。

これから引っ越しやマンションの購入を検討されている方は、共用ワークスペースの有無を物件探しのポイントにしてみるのもよいかもしれませんね。

まとめ

テレワーク化が進み自宅兼職場という環境が珍しくなくなった今、テレワークに適した住居というものが求められるようになってきました。

「ネット環境」「間取り」「部屋の広さ」が人気の条件ですが、部屋の位置取りや周囲の騒音、共有ワークスペースのある賃貸を探すなど、より快適に過ごすためのポイントにもさまざまなものがあります。

毎日過ごす自宅だからこそ、住居としても職場としても快適に過ごしたいですよね。物件情報サイトでも、テレワーク向けの情報が多く掲載されています。そのような情報も参考に、快適な環境づくりを目指してみてはいかがでしょうか?

この記事が参加している募集

#リモートワークの日常

9,783件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?