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†私らしい働き方† 様々な研究を様々な肩書で行う独立系ポートフォリオリサーチャー

私らしい働き方;研究者のニュータイプ

私らしい働き方は、様々な所属で研究を楽しむことです。

 私は今、企業の研究会開発職、個人で作った研究所の所長、研究のコンサルタント、独立系URA(リサーチアドミニストレーター)、解析受託機関の代表、研究費の審査員、研究費申請支援会社の社長、科学技術を使用した探偵業、大学教員、NPOメンバー、学会の評議委員、大人や子供向けの研究塾などなど、かなり自由に様々な所属で研究を謳歌しています。研究に関連する新しいジョブや職業をデザインして、小さくても実行していくのが私流です。この感覚は、新しい面白そうな漫画を見つけたら読んでみるというのに似ています。面白そうなジョブが作れそうだからやってみるわけです。
 世の中で言われる、ポートフォリオワーカー/パラレルキャリア/副業といったエッセンスを都合良く取り入れさせて頂いています。

なぜそんな働き方をしているのか?

①職業自体が研究と創造の対象だから。

 研究は何か分かっていないことが分かったり、ないものを創れたりするところが一番楽しいです。きっと、私がこのような変な働き方をしているのは、新しい働き方を創りたいという気持ちがベースにあるのだと思います。私にとって、職業そのものが創作の対象ということです。研究に関わる働き方がアカデミアだけだという一部の人が持つ概念を革新し、さらに多様な働き方があることを示すことが、研究に関わる人口を増やし、多様な自己実現の姿を創ることに繫がるのだと思うのです。やむを得ない理由で研究キャリアを絶たなければならなかった人へのセカンドキャリアを創る手助けになればとも思っています。

②研究が大好きだから

 私の1日の働き方は、時間の縛りもあまりなく、各所属のジョブが達成できるように、一日の時間を割り振って、好きな研究をしています。(そうはいっても、やっぱり雇用先の仕事が今は一番やりがいがあるし、自分の夢と重なる部分があるので今は最重要視しています)好きなときに休みをとれる環境をつくっています(といってもかなり多忙になってしまうのですが)。やろうと思えばしばらく週3休みでもいけます。やっている研究に飽きたら、気分転換に違う研究をします。休み時間にスマホゲーム感覚で、また別の研究をします。結局、研究が好きで好きで仕方なくって、こんな変な働き方をしているのかもしれないですね。

③イノベーションを起こしやすいから

 研究というのは、いろいろな分野で、いろいろな人と付き合った経験が、混ざり合い、響き合い、新しいモノを育むのだと信じています。私は、鍋のように、経験や人材や技術を、私や私が関わる組織という器の中で煮込み、結びつけ、新しいモノや組織を生み出す宇宙のような状態を、職業としたいのです。多くの視点を持つ別の自分を持つことによって、自分自身が技術や人の交差点になり、るつぼになり、触媒になります。現に、自分を雇用する会社に、自分が経営する研究所の技術を横展開したり、それぞれの職場の人脈をクロスさせて新しいコラボを生み出したりなんていうのはよくやっています。

研究テーマとジョブの選定基準

研究テーマは、子供の自由研究レベルから、国家プロジェクトレベルまで。

 個々のテーマは語りませんが、夢と情熱を持って取り組んでいます。研究に関する業務の受託も行っていますが、私にとって、お金になるかとか、依頼人の地位とかは正直どうでもいいと思っています。そこに自分の命を消費してする価値ややりがいがあるかどうかを基準としています。昔、週刊少年ジャンプの漫画で謎を食べる脳噛ネウロという魔人の話がありましたが、この魔神にはシンパシーを感じます。私にとっては、楽しい研究ができて、世の中の役に立てて、その結果として研究者の新しい世界・可能性が広がれることが大切です。暮らしが変わるようなイノベーションも、もしかしたら将来イノベーションを興すかもしれない科学者の卵の育成も、同じくらい魅力的なテーマだと思うのです。

働く場所;会社や作業場

①会社は覚えていない

 そんなんだから私は、自分が所属している会社を厳密には覚えていません。所属する組織は手段であって、目的でないからです。年末に源泉徴収票やら支払い調書が様々ところから届くと、今年は、こんな会社に所属していたのだなぁと改めて認識するのです。私は様々な機関でプロジェクトごとのジョブを経験しているが、派遣社員さんのように言われたことをやっているわけではありません。ときには、独立系研究者、研究室主催者、あるいは独立系契約者(インデペンデントコンストラクター)として、研究をオーガナイズしています。

②作業場は決めてない

 私はどこで仕事するか決めていません。ノマドと言ったらそれまでかもしれないですが、ふと遠くの都市にいったり、テントを張って生活したりしています。ワーケーションは私にとってはとても嬉しい流れです。新しい都市での新しい経験がが、新しいアイデアを生み出す原動力になると考えてます。研究は今は山の上でも、海の上でもできるようになりました。効率がどうこうは関係なく、今テントで研究をしている人が、世界で私だけかもしれないから、やるのだと思います。誰かがやっていないからやってみる。それが実験であり研究だから。

研究費について

 そんな私は、公募する権利のない研究者に属します。大学のポストも常勤ではありません。しかしそれでも、平均的な大学の研究室以上の研究費を扱っているといえますね。特に自慢とかではなくて、アカデミアでなくても、私のような働き方をしてても、そこそこ研究は進められるんですよってことを示すことができたらと思っています。学問の自由は、所属に限定をかけるべきではないと思います。大学に属さなければならないという固定概念から離れ、どのように学問に関わるかに多様性が生まれれば、経済的な理由で大学にも通えない人や、夫の都合で退職を余儀なくされた女性の方などに新しい研究者のライフプランを提供できるかもしれません。この先、研究における職業の差別を解消されることを願っています。

 私は研究をする会社を作っているので、その研究費を自腹で払うと経費になって、節税になります。自分で使っても、自分の関係者が使っても、結局同じだと思うんですよね。拘りません。どうでもいいです。そして、この境地まで来ると、「お金というのは稼ぐモノでなくて、流れるモノだと思うようになります。キャッシュフローという龍のようなものが、様々な企業と自分と、自分が作った組織の間でうねりをつくり、流れていく。」その流れを汲みとると、生活費になり、使用すると経費になるわけです。好きに、自由に年収を調整し、自分で好きなこと(研究)にお金が使う流れが作れるかもしれません。

独立系研究者・独立系URAとして

 いろいろな先生の研究をベースに、新しい世界を思い描くのが好きです。

 URA(University Research Administrator)いう職業があります。私は珍しい独立系のURAでもあります。URAは、大学等で、研究者の研究活動の企画・​マネジメント、研究成果の活用促進を補助するのですが、私はこのURAを極限まで研ぎ澄ました職業のデザインに挑戦しています。勘違いされる方も多いのですがURAは総務ではないのです。本来同格の研究者でなければならないと思います。

 でも、大学が抱え込むURAは、私的には閉鎖的だと思います。一人一人の専門性が研究を自体を辞めたことによって、丸くなってしまっています。先生の研究に寄り添いすぎてしまって(意向を大切にしすぎて)、先生の分野を一緒に革新しようとは動けない。革新とは時に壊し、再生させる過程を伴います。わたしは、先生方のシーズを元に、最先端の技術・適切なパートナーを紹介し(マッチングと言います)、それによって拓かれる世界を提案します。そしてその実現に向けて時に自分自身も共同研究者として参加し、研究費も調達します。それによって、お互いに研究者としても成長し、共同研究者も私も新しい世界を見ることができるのです。
 URAをやっていると、公募資格がなくても、毎年研究費に申請できます。あと、評判を聞きつけて、審査も舞い込んできます。審査を経験するほど、通すためのノウハウが蓄積されていくので、そのノウハウを使って自分の申請の通過率を高めていくことができます。審査して、申請して、審査して、申請して、正のスパイラルが生まれるのです。

あとがき

 公式で”自分らしい働き方”についての記事の募集をしていたので、自分の状況を振り返ってみました。厚労省は副業兼業を推進する考え方を近年示し始めました。そして、コロナ禍は世界の仕組みを大きく変えました。副業兼業の推奨と、コロナ禍における多様な働き方の獲得は、職業にとって進化の機会を与えられていると言えます。この大きな波に乗って、研究者やエンジニアの新しい働き方を、自分自身を研究材料に開発していくことが、当面の私らしい働き方と言えるかもしれません。


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