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創作短編集

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私が書いた創作短編をまとめたマガジンです。 今後記事が増えたとき、こちゃこちゃするかもしれないと思ってまとめてみました。
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2023年2月の記事一覧

【短編小説】少なくともあなたよりは

 X国の木彫り人形は伝統工芸品として国内外から非常に人気のある芸術品である。その木彫り人…

【短編小説】或る昼下がりのこと

 公園のベンチで本を読んでいたノアは、子供の泣き声に顔を上げた。  魔術学校初等部の子供…

【短編小説】学習成果バレンタイン

 バレンタインデーが近づくと、女子は女子で浮かれて、男子は男子で浮かれる。それとは逆に、…

【短編小説】様子のおかしい住人たち -最終話-

こちらの続きです  唖然とするアングイス。何事かと身構えるノアとラスター。そして、何が起…

【短編小説】様子のおかしい住人たち -3話-

こちらの続きです 「よく似合っていますよ、お二人とも」 「はははー」  ナタリアの褒め言葉…

【短編小説】様子のおかしい住人たち -2話-

こちらの続きです  護衛日は明後日。残された時間は少なすぎたが、二人は即座に動いた。  …

【短編小説】様子のおかしい住人たち -1話-

 ナタリア・ヨーカー氏講演!  テーマ:これからの社会に充てて~ルーツの方々との歩み~  ……等と書かれた紙がラスターの手の中で綺麗に折られて、お見事な鳥の形になった。ギルドの応接室で目をキラキラさせる女がそのナタリアとやらである。この胡散臭い講演は先日実際にあったイベントで、当然ながらノアもラスターも参加していない。 「私たちに護衛依頼をしてほしいとお聞きしましたが」 「はい。私は魔術師でもありますが、同時にルーツの人権擁護活動をしています」  彼女の発言にラスターは思わ

【短編小説】水面から顔を出して

 足音をわざと立てて歩くのはわりと疲れる、とラスターは思った。盗賊兼情報屋兼何でも屋とい…

【短編小説】丁度捨て時

「これ、すごいでしょ?」  交際三ヶ月の彼女、桃花が嬉々として見せてきたのは一冊の雑誌だ…

【短編小説】奇跡の子 -後編-

↓こちらの続きです 「ヴィダル……というと、あの」  ノアが小さくため息をついたことに、…

【短編小説】奇跡の子 -中編-

↓こちらの続きです  治療といっても、八つ当たりのようにして患者の身体を切りつけるだけで…

【短編小説】奇跡の子 -前編-

 酒場・髑髏の円舞がやたら賑わうとき、大抵ロクなことになっていないというのはラスターの経…

【短編小説】傷ついた「憎悪」

 優秀な画家がいた。彼の作品は常に世間から注目されて、今回の新作は五億、前回は二億六千万…

【超短編小説】いつもみてるよ

「なぁ、お前大丈夫か?」  夜十時三十二分。友人から電話がかかってきた。推しのVtuberの放送中は電話に出ないと言っているのだが、今回ばかりは理由が推察できるので素直に電話を取ったのだ。佐々木尊の推しVtuber、水上みなの生放送は炎上していた。ゲーム実況中に男の声が混ざったからだ。水上は「おにいちゃんだよー」とごまかしたのだが、もしも妹のことを「ただいまぁ、みぃなたんあいしてるよぉ」と甘い声で呼ぶような兄がいたらそれはそれで問題だろう。 「大丈夫、って炎上のことか?」 「