海外への憧れ

海を越える

高校生の頃、初めて日本から海外へ飛び出した。

アメリカに行ったのだが、税関で英語で話しかけられることに一々ビクビクしていたことを鮮明に覚えている。

全てが今まで生活してきた日本とは異なり、どの経験をしても赤子の如く僕には新鮮に映った。気がつくと、アメリカの全てを賛美し、日本の全てを蔑む自分がいた。俗にいう、"アメリカかぶれ"と言えよう。

その後も、日本の魅力に目を向けることなく、海外に行くこと自体が目的になっているとも自分では気づかず、中国・タイ・インド・アメリカ等々、色んな国に行き、ただただ海外旅行を消費していた。

ヨーロッパ旅

その延長で就職活動を終えて早々にヨーロッパ70日間の旅を決行した。世界史を勉強していたこともあって、ヨーロッパには並々ならむ憧れを抱いていた。

今までは数泊数日という短期旅行が主だったが、今回は生活自体が海外になる。まさしく夢を叶える行為そのものだった。

当たり前だが、数十日もすると慣れが生じてくる。帰国したくもなる。そんな時に自分を見つめ始める。「自分は何がしたいんだ?何のために生きているんだ?この旅に意味はあるのか?...........」と次々と自問されるもの一つ一つに真摯に向き合って答えていく。

色々な答えが出た中でも特に、「海外旅行を楽しむことだけに終始することは一つの醍醐味かも知れないが、僕の中ではその意義を問い、学びを得ることこそが大切だ」という結論に至った。

目を覚ます

だからこそ、今となっては海外旅行は羨望の的ではないし、むしろ身近な日本を相対化することを通じてその魅力を学び、文化や歴史などに触れることが最近の生活の楽しみの一つである。

海外にもう行かないと言っているのではなく、海外渡航が目的から手段になったということ。例えば、僕は長い間漠然と海外で働きたいと思っていたが、今は海外で働くことが目的でなく、何か自分のやりたい仕事が海外で実現できるなら海外渡航を選択するといった感じ。目的と手段を見誤ってはいけない。

日本人が海外に憧れを抱くのは島国という性質上、仕方のないことである。就職までのこの春休みに同級生もこぞって海外旅行している。(かくいう僕もイギリスにいるわけだが。)

過去の自分のように、海外を神格化し過ぎるあまりに日本を見下してしまう人も多い。そうではなく、海外への色眼鏡を外し、日本を含めた世界をありのままに感じ、それぞれの魅力を見つけていくことが生きることに彩りを与えるのではないかと思っている。

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