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南天
2024年4月22日 20:20
というわけで、フルーメンは初めてキッチンに立つことになった。本棚から料理本を取り出してきて、簡単に作れそうなものを選ぶ。人間は雑食だから、なんでもいいだろう。だが、適量、ひとつまみ、キチンと計量できないものの単語の羅列に悪戦苦闘。「初めての一人暮らし」という料理本を棚から引っ張り出してくる。(適量ってどれくらいだ…?ひとつまみ?そんなの猫によって量変わるだろ…)フルーメンは顔をし
2024年4月6日 08:04
研究所にて。「今日からお世話になります!給仕係のキャロルです。雑用でもなんでもやりますので、どうぞよろしくお願いします!」研究所にはヒソヒソ声が響き渡った。なぜ急に給仕係というものが設けられ、猫が一匹新しく入らなければならなかったのか。ティオ「おいメガネ。これ、一昨日急に決まったんだって?」メガネ「はい…そうですよ…」ティオ「しっかり見惚れちゃってんじゃん…」ティオ「先
2024年4月4日 13:44
フルーメンは唖然とした。「助けて」メスの人間。それは体も身につけている衣服もボロボロで、大粒の涙を流していた。「…まさか、そんな…」そして、フルーメンは人間の背後に倒れている猫の足らしきものを見つけた。慌ててそれに駆け寄る。するとそれは。アウラの死体だった。「アウラさん…!!」アウラの死体の頭部には、何かで殴られたような痕があった。「君は…君が…やったのか」
2024年4月2日 10:07
レックスとキャロルは昼食を終え、研究所に向かった。研究所には、新入研究員のメガネしかいなかった。ぽつんと1人席に座るメガネに、レックスは驚いた。メガネはひとりぼっちである理由を説明した。「新人を1人放っておいて社員旅行だなんて信じられない。すまなかった。今日は私も夜までここにいるから」キャロルもレックスの言葉に同意した。「そうですよ。それに、なんでレックス先生もお呼ばれしなかった
2024年3月29日 13:40
大学近くのカフェ。レックスとキャロル、2匹の元にドリンクが運ばれてくる。「先生もこのカフェ使うんですね。私も学生の頃は、大学に近いからよく友達とここを利用してました」レックスはキャロルに食べたいものを食べさせた。よほど腹が空いていたのか、キャロルは勢いよくご飯を食べ始めた。なぜそんなにも腹が空いていたのか、レックスは尋ねた。キャロルは俯いた。そして…「う…ぐすっ…先生、ど
2024年3月7日 22:33
慌ててレオを探しにいく3匹。「レオくーん!!」「おーい、レオー!」「レオーー!!」その頃、レオはフードをかぶって図書館で本を読んでいた。両隣には学生がいる。そこにアドとフォンスが駆けつけた。「いた!!さ、研究室に戻るよ!」「誰かに見つからないように帰ろう!」レオを挟み、アドとフォンスが図書館を去ろうとした時、背後から声を掛けられた。「アド?フォンス?それにグッダ先生」
2024年3月4日 13:05
研究員たちは朝早く研究所の前に停まっている中型バスに乗り込んでいた。今日は研究所の社員旅行の日だ。最初の行き先は、隣町の花畑。今の季節はコスモスが見頃ということで行き先の候補に上がったのだった。ネイサン「よし、全員乗り込んだね?じゃあ運転手さん、お願いします」ティオ「…ていうか、本当にレックス所長誘わなくて良かったんすか?」ネイサン「いいんだよ。僕はまだ彼をうちの社員だと認めて
2024年2月27日 14:45
2530年の12月某日、18歳になった私はアウラさんから呼び出された。「フルーメン」「はい、なんでしょう」「お前は、日頃から研究所の中心となって職務を全うしてくれている。だから、お前を主任に命じ、私の右腕となって今後も役立ってもらおうと思う」「…本当ですか!」「ああ。今後は外部との連携や研究所の研究目標についても一緒に相談し、人間の未来のために一層精進していこう」「ええ…も
2024年2月15日 23:52
小さい頃から他人と群れるのが苦手で、いつも1人で過ごしていた。他人に全く関心がなく、友達は当然いない。友達は勉強だった。周りからは変わり者と言われて育ってきた。しかし、そんな僕が唯一興味を抱いた猫、それがアウラさんだ。アウラさんの生い立ちは僕に似ていた。他人と馴れ合うことなく、勉学に励み自分の実力だけで名を馳せていった猫。アウラさんは人間に関する研究で社会に名を馳せていった。