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【創作小説】猫に飼われたヒト 第32回 猫騒がせな

慌ててレオを探しにいく3匹。

「レオくーん!!」
「おーい、レオー!」
「レオーー!!」



その頃、レオはフードをかぶって図書館で本を読んでいた。両隣には学生がいる。

そこにアドとフォンスが駆けつけた。

「いた!!さ、研究室に戻るよ!」
「誰かに見つからないように帰ろう!」

レオを挟み、アドとフォンスが図書館を去ろうとした時、背後から声を掛けられた。

「アド?フォンス?それにグッダ先生」

振り返るアドとフォンス。そこには同じゼミ生のマリナがいた。

「ま、マリナ…!」

マリナが近づいてくる。
「そうだ。ちょうどよかったグッダ先生、次の講義の予習範囲についてなんですが…」

「マリナ?グッダ先生なんて今ここにいないけど…」

「え?何言ってんのあんた。じゃあ、あんたの隣にいるのは誰よ」

アドは助けを求めるようにフォンスに目線をやった。
(ちょ、マリナ何言ってんの?!)

フォンスは確信したように頷いた。
(レオの背丈が先生と同じだから勘違いしてんだ。だが、これは使える)

しばらくの後、フォンスが声色を変えて大きな声で言った。

「えっグッダ先生お腹痛くなっちゃったんすか?!」

「え〜!先生!早く医務室行きましょ!ごめんマリナ!質問はまた後にして!」

「ちょ…」

グッダ(レオ)の背中をさすりながら去っていくアドとフォンス。呆気にとられるマリナ。

そこに別行動でレオを探していたグッダが時間差で現れた。

「あれ?!先生さっきアドとフォンスと一緒に…」

「え?……ああ!そうそう!ちょっとな、用を思い出して戻ってきたんだ」

「お腹は大丈夫なんですか?」
「腹?…ああ、大丈夫だよ」
「じゃあ、質問したいのですが…」
「ああ、いいよ」

そんな2匹の会話を、壁の裏で聞くアドとフォンス。

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レックスが授業を終えグッダの研究室を覗く。

「授業が終わったぞ…何かあったのか、3匹とも」

そこには、疲れ果てた3匹と、何事もなかったように読書をするレオの姿。
「「「いや、別に…」」」

レックスがアドとともにレオを自分の研究室に移動させようとすると、レオは嫌がった。
どうやらグッダの研究室の方がいいらしい。

「俺は構わないよ」

すると、隣のレックスの研究室をノックする音が聞こえてきた。

レックスがグッダによろしく、と言い残し自室を見に行く。アドとフォンスも次の授業に向かおうと、グッダの研究室を出た。



レックスの研究室の前には、1匹の女性が倒れていた。

「?!?!」驚愕する3匹。

起こしてみると、レックスには見覚えがあるようだった。そしてその猫も目を開ける。

「レックス先生…」

「君は…キャロルかい?」

そして、キャロルの腹から大きな音が聞こえてくる。

「先生、お知り合いですか?」
「ああ。この子はキャロル。今年の春ここを卒業した、君たちの先輩だよ」

「…うう…」

「腹が減っていて言葉も出ないのかい。仕方ない、どこかへ昼食を取りに行くとしよう…」

お腹が空いているようなので、レックスはキャロルを昼食に連れていくことにした。

「えっ、先生とごはん?!わ、私も行きます!」

「何言ってんだ馬鹿。お前はこれから授業だろ」

フォンスに制され、泣く泣くその場を後にするアド。顔馴染みのようである2匹が外に向かう姿に、嫉妬した。

次回に続く

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