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『あるとしか言えない』

もし君が、絵に目覚めて、僕には絵の才能があると周囲に触れ回り、実際にコンクールに応募するが、箸にも棒にもかからなかったとしよう。

君は、素直に「僕には才能がなかった」と言って絵をやめずに、僕には才能があるんだけど、家庭の事情とかもあるし、年齢とかのことも考えて、これ以上続けてたら親とかにも色々言われそうだからやめます。でも、僕ちゃんには才能はあるんだからね!と言ってやめたとする。

周囲はなんと見苦しいやつだと触れ回るだろう。君の株はだだ下がりである。でもかつて、これを臆面もなくやった男がいる。

糸井重里である。

この「あるとしか言えない」という言い訳じみた言葉は、なかったものをさもあるかのごとく演出するのにうってつけだった。さすがの名コピー。願わくば、今からでももう一回やってほしい。

子どもの頃このテレビ番組を観てワクワクしていたが、埋蔵金がみつからなかったときは、がっかりした。そして降り掛かってきた言葉が

「あるとしか言えない」

もう一度言う。

「あるとしか言えない」

この言葉は、欺瞞の言葉として僕の頭にインプットされ、大人になってもたびたび思い出すこととなる。

ノストラダムスの大予言で有名な五島勉さんもこう言ってればよかったんだ。

「(恐怖の大王が)来たとしか言えない」


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