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「その風は、どんな桶屋をどう儲けさせるのか?」妄想するのはけっこう楽しい (エッセイ)

「もしも《真の》男女平等が実現したら」と題する下記のショートショートで、《人工子宮》の開発によって男性の妊娠・出産が可能になった世界を描きました。
このエポックメイキングな発明は、大きく世の中を変え、《マタニティー背広》《授乳用模擬乳房》など、一連の革新的商品群が付随的に開発されます。Noterさんのコメントから、乳母めのと》という古典的サービス業の《復活》も示唆されました。

以前、学生に「こんな商品が《あったらいいな》」を考えてもらう宿題を出した話を書きました。
この場合は、いわば、その《前提》あるいは《お題》にあたる《開発品/新システム》が実現した場合を想定して《「あったらいいな」想像》をするわけですから、《想像》はより容易であり、より具体的になるはずです。

多くの企業が、
「この規制が撤廃されたらどんなビジネスが生まれるか?」
「次世代通信が実用化されたらどんなサービスが可能になるか?」

など、まあ、普通にやっていることではあります。


少し前から《小説家的に》考えているのが、《自動運転》それも《レベル5の自動運転》が実用化されたら、どんなビジネスに逆風となり、どんなビジネスが生まれるか、ということです。

自動運転レベル5(完全運転自動化)とは、
「運転自動化システムが全ての動的運転タスク及び作動継続が困難な場合への応答を持続的かつ無制限に実行し、作動継続が困難な場合、利用者が介入の要求に応答することは期待されない」
つまり、
「人間が運転に関与することは、どこであろうとまったく不要」
というモビリティーシステムです(あえて《システム》と書いたのは、自動車とインフラの協調必要性がありそうだからです)。

運転不要になった車の中で、人は何をするのでしょうか?

ドライバーは運転に関与する必要がないので、例えばアメリカの高速道路沿いのモーテルがどんどんつぶれるでしょう。寝ている間にかなり遠くの目的地に着いてしまいますから。
夜のうちに到着するから、運賃が高価な航空機の利用も減るでしょう。

さらに妄想を膨らませれば、日本では、いわゆるラブホが経営不振に陥るかもしれません。クルマの中だけでコトが済んでしまうとしたら、わざわざ降車してチェックインなんか、しないよね。
一方、車体側には、内部が快適なカップル用ベッドと化すバージョンが生まれるでしょう。内装を考えると、いろいろ妄想が膨らみます。

しかし、ラブホにはベッドだけでなく、シャワールームも重要な要素です。これは米国の街道沿いモーテルにもあてはまる。

水は重いので大量車載には不適当ですから、ガソリンスタンド(その頃は充電スタンド?)のような場所で、車を停めれば自動的にお湯が供給され、車内がシャワールームと化す設備が設けられることでしょう。
車載ベッドは防水の必要がありそうです。
下水も接続する必要があるので、キャンピングカーパークのようなインフラが必要になります。でも、駐車利用はせいぜい1時間程度ですから、キャンプ地よりはるかに回転がいい。EVなら、充電時間にシャワーを使えます。

しかし、上記サービスはカップルでないと使えないのか、という命題が生じます。
いえいえ、と、おそらく《移動前提》の各種マッチング・サービスが生まれることでしょう(詳細はご想像いただくことにして)。


数年前にモーターショーに行ったら、車体メーカーや部品メーカーが、おそらく自動運転を前提に、車室内空間の《リビングルーム化》や《オフィス化》モデルを展示していました。

でも、ひそかに《ラブホ化》も考えてるんじゃないかな、と思いつつ、でも、そのモデルを展示したらコンパニオンは……などとセクハラ的妄想を膨らませていました。

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