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「日本語の勉強で一番難しいのは《英語》!」 やがてややこし《外国語》(2/3) (再勉生活)

〈1/3からつづく〉
すみません。2回完結の予定でしたが、長くなって3回完結に変更します。

ところでその頃、景気の良くなかった米国では、東アジアの言語を修得していると就職に有利と言われており、《日本語》学習がちょっとしたブームだった。
大学で日本語を習っているアメリカ人学生に、《日本語》のどこが難しいか尋ねたことがある。
「漢字、ひらがな、カタカナ、と3種類も文字を憶えなくちゃならないとか、文法に例外が多いとか、いろいろあるけど、なんといっても一番難しいのは《英語》だな
「はあ?」
「例えば、料理で《シチュー》ってあるじゃない? 誰もそれが《stew》のことだなんて思わないだろ? タオルとかラジオなんてのもそうさ。本来《英語》なのに、わざわざ妙な発音を憶えなくちゃならないのが、バカバカしくて大変だ」
(……なるほど。日本人が《着物》の英語を妙なイントネーションで《キモウノウ》と発音しなきゃならないイメージか!)

この学生は、ちょうどいい所にJapaneseがいるぜ、とばかり、
・なぜ1本[pon]、2本[hon]、3本[bon]、と数える時、同じ「本」を異なる発音で読むのか?
・なぜ「する」の過去形は(「すった」ではなく!)「した」なのか?
・どうしてひとつの漢字に複数の意味があるのか?
など、怒涛のごとく質問を浴びせてきた。
当然、どれにも満足に答えられない。
(日本語を話しているのに、日本語のことを全然知らないのだ!)
それは《逆も真》だろう。ひょっとしたら、日本人はアメリカ人より英文法に習熟しているかもしれない。


 「君は3年もあちらにいたのに、英語の《聴き取り》ができないようだね」
再勉生活が終わり、日本に帰るとよく言われたものである。
確かに、外国から客が来ると、会話のさなかに何度も聞き返す。ハリウッド映画を見ていても、役者の科白がよく聴き取れないので、日本語キャプションばかりに目がいってしまう。
「 ── 言いたいことを英語で話すのは、それほど苦手じゃないんですけどね」
と言い訳しながら重大な事実に気付いた。
私は、
日本語も、話すのは得意だが、聴くことが苦手だったのであーる!》
会社では上司の指示や説教をうわの空で聞いていてわけがわからなくなることがよくあったし、家庭でも何度も聞き返すので妻に叱られる。

(うーむ、母国語と外国語はあざなえる縄のごとし

高校時代の英語教師で、《three armors》はよろい、《two crabs》はかに、と《正しい単位》で訳さないと点をくれない奇妙な人物がおり、彼がいつも、
「英語の能力とは、日本語の能力なのです」
と言っていたことを思い出す。

〈3/3につづく〉

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