『記憶の彼方から聴こえてくる幻影』

眠れない夜

頭の中で追いかけ続ける

昨日も今日も

見ない夢想を繰り返す

真夜中のYouTube

雫がじわりと流れ落ちる

言葉なく観た映画

スクリーンから漏れたセリフ

恐れからか恋から逃れ

一度も愛おしさを言葉にすることなく

愛していると心に誓うこともしないで

眠れない夜にお気に入りの音楽を聴く

たとえ全てが幻影であったとしても

この先ずっと叶わない夢で終わろうと

半ば閉ざされた私の中に入ってくる音霊

今夜も気だるい心をノックしてやまない

誰も何も言わない決して咎めない

過去の記憶が交錯して、あなたへの想いが募る

好き、大好き、愛している、ずっと側にいたい

今となっては遅い感情、言葉にするにも遅過ぎる

仕舞い込んで、記憶の奥底に眠っていたもの

眠れない夜に呼び覚まし、追いかけてみる

今の私が出来る、せめてもの償いかのように

一つ一つ、断片を繋ぎ合わせて心を潤わせる

小刻みに震える我が身を、そっと抑えて

ギラギラとした陽光を迎え入れ、重たい瞼を擦る

今まさに、今日と言う日が始まった

愛しています