「伝説になるかも」
リアルな話、かなり筋肉増強剤を服用している。
バキバキな肉体に憧れて、誰よりも強くなりたくて、
試せるものは全て試してきた。
ブルース・リーが使っていたであろう、超音波トレーニングマシン
肌がチクチクしたが、体を動かさずに筋肉に直接刺激を与え、
鍛えることができた。
プロテインも、何種類も試してきた。
腕立て、腹筋、握力、ダンベル、
パンチング&キックを日々の日課にしてきた。
明けても暮れても、トレーニング三昧の日々。
武志(たけし)は、肉体の限界を越えて強くなりたいという意志が、
人一倍強くがむしゃらに信じた道を突き進んでいた。
伝説を生むことになったのは、そう遠くない話。
秋深まるある夜、いつものようにトレーニングに励んでいた。
普段、トレーニング中に電話が鳴っても、全く出ようとしない。
その夜だけは、状況が少し違っていた。
延々と腹筋を鍛えるために、何度も体をくの字に曲げている矢先に、
武志の携帯電話が鳴った。
第六感に訴えかけるように、ただならぬ予感を感じて武志は電話に出た。
すると、腹違いで産まれてきた弟の順誠(じゅんせい)からだった。
「受かったよ、コンテスト」
武志は、何がなんのことか、全く想像も出来なかった。
「なんのこと? コンテスト?」 何度も聞き直す。
少しずつ、声が大きくなっていく。
武志は順誠に、話の順を追って聞くことにした。
〝体バキバキ大会〟 っていう大会が、あるらしい。
自身の鍛え上げられた肉体を競い合う大会が、〝体バキバキ大会〟
年齢や性別・国籍による制限もなく、年に1回開催されているらしい。
弟の順誠が、武志の代わりに申し込んでいたらしい。
一次審査は書類選考、二次審査は水着審査、三次選考はトーナメント制
による対戦で最終的に勝ち抜いたものが勝者となる大会とのこと。
まずは、書類選考をパスしたとのこと。
武志は、最初のうちは、順誠に対して呆れたような態度を示したが、
次第に感謝の気持ちへと、変わっていくのを自分でも感じていた。
次の水着審査に向けて、武志はトレーニングメニューを刷新して
さらに負荷を掛ける種目を追加した。
まるで、トライアスロンやS A S U K Eに出るかのような、
達人しかクリア出来ない種目を追加したのであった。
そうこうしている内に、水着審査をパスしてトーナメントへコマを
進めることになった。
初回の対戦相手は、翔子(しょうこ)という女性だった。
ボルダリングで鍛え上げられた肉体の持ち主、ベンチプレスは100kgを
優に越えていた。
試合開始の合図と共に、二人は対戦した。
危うい場面もあったが、辛うじて、武志は勝つことができた。
二戦目もなんとか勝ち、最終戦まで漕ぎ着けることができた。
最終戦の相手は、ストロングというアメリカ人だった。
名前の通り、筋骨隆々の強靱な体の持ち主だった。
パンチとキック、どちらも得意としていて中でも、
至近距離での、後ろ回し蹴りが得意な選手だった。
試合開始のゴングが、鳴り響く。
武志は、少し遠めの間合いをとり構えていた。
ストロングは、お構いなく間合いを詰めて寄ってきた。
荒い息遣いが聞こえてきて、汗が飛び散って一発触発の緊張感が
漂っていた。
意外にも、試合結果は、あっけなかった。
武志が、「えいっ!」と気合を入れて放った、寸勁が当たって
ストロングの体が、一瞬にして弾け飛んだ。
たった1発の寸勁、まともに食らった形になった。
内臓まで、ダメージが残るような威力のある中国拳法の奥義。
本大会の、覇者となった武志の物語。
伝説は、語り継がれることになるかも知れない。
※本作に登場する人物は架空の人物で、物語はフィクションです。
寸勁の参考書籍 ↓
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