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「社畜」になる人/ならない人

今回は「社畜になる人/ならない人」というテーマで話していこうと思います。

「社畜」とは何か

「社畜」という言葉は、日本で使われている俗語です。
会社員がまるで家畜のように会社で働いている状況を指す言葉で、特に過剰な労働や自己犠牲を伴う働き方を表現しています。
主に仕事とプライベートのバランスが取れていない人という意味で使われているようです。

「社畜」とはどんな状態?

次のような状態がいわゆる「社畜」と言われています。

・拘束時間が長い
・働く時間が不規則
・トラブルが多い
・ワンマン経営
・身体的負荷が高い
・給料が安いなど

ルフィの仲間は「社畜」?

漫画「ワンピース」を知っていますでしょうか?
読んだことがあるかはさておき、名前くらいは聞いたことがあるという人がほとんどだと思います。
主人公のルフィは海賊王になるという目的を果たすために、麦わら海賊団を結成し、ワンピースという財宝を探しにいく冒険をする物語です。
冒険の途中で仲間を集め、仲間とともにワンピースを探す冒険を続けます。

ここで問いかけたいことは、この麦わら海賊団の仲間は「社畜」かということです。

何を言ってるんだ?と思ったかもしれないですが、よく考えてください。
この船に乗ると24時間365日拘束されます。夜勤(見張り)もありますし、嵐や敵襲などのアクシデントにも対応しなければいけません。行き先は船長が決めます。命懸けで戦うこともあり、安全は保証されていません、大ケガもします。給料は旅先で得た財宝からお小遣いをもらう(成果報酬)程度です。途中で飢え死にしそうな描写まであります。

これって先ほど述べた社畜の特徴に当てはまっていませんか?
でも、このお話を読んでみんな「社畜だ!可哀想!」と思いますか?

むしろ、登場人物を好きになり、応援しているのではないでしょうか。

「社畜」だと思うのはやりたいことをやっていないから

麦わら海賊団の仲間はみんな自分の夢や目的があって、それを叶えるために仲間となっています。
例えば、
・世界一の剣豪になる
・世界地図を描きたい
・勇敢な海の戦士になる
・全ての食材が集まる海を見つけたい
・なんでも治せる医者になる
・世界を旅して真の歴史を明らかにしたい
・自分の作った船がゴールまで行けることを見届けたい
・世界を一周して、待っている仲間と再会を果たすなど

みんななりたい自分や目的があって、そのための手段としてこの船に乗っています。
つまり船の行き先と個々人の目的が一致しているのです。
もし、毎日穏やかにのんびり暮らしたいという登場人物がルフィの船に乗ったらどうでしょうか?
そのキャラはおそらく自身を社畜だと思うでしょう。
自分の目的はこの船のゴールにはないからです。
社畜かどうかは乗船するキャラによって違うということです。

「社畜」は乗る船を間違えている

ここでいう船は現実でいう会社や組織のことです。
会社や組織の行き先となりたい自分がマッチしていないから社畜と感じるのです。
自分が社畜だと感じているのであれば、それは会社の問題ではなくミスマッチということです。

もちろん違法な労働を強いるようであれば会社が悪いと思いますが、それはそもそも社畜かどうかを考える前に辞めるべきではないでしょうか?

やりがい搾取

よく聞く「やりがい搾取」という言葉もここからきていると思います。
会社は社員一人一人のやりたいことが会社の目的と一致している前提で事業を運営しています。
一致していない人はそもそも入社させていないと思っているからです。
だからこそ、自分の夢や目的のためにも頑張ろうよ!というコミュニケーションをとるのです。
それが一致していない社員からすると、なんでその目標で無理して頑張らないといけないんだ?となるわけです。

ワンピースの例で言えば、平和に暮らしたいタイプが麦わら海賊団に乗船していると、
なんで命懸けで空や海底まで行こうとするんだ!
ワクワクなんかしないよ!
やりがい搾取やめろ!となるわけです。

なりたい自分が明確ではない

私は立場上よく面接官をします。
その時に必ず聞くことは「あなたはどんな自分になりたいですか」という質問です。
これを聞くのは、自社の向かう先とその人の目的が一致しているかを確認するためです。
意外とこれが明確ではない人が多いです。
そもそも、自分の目的が明確ではないままに乗る船を決めている人が多いということです。

仕事選びの前に自分はどうなりたいのか、そのためにやるべきことは何かを明確にしてから乗る船を選ぶべきです。
それが明確でないのに、ある意味ランダムに入社して社畜にさせられているというのは違う気がします。

会社とマッチしていない人

例えば、とにかく市場価値を高めて、個人の名前でも働けるようになりたいという人がいたとします。
その人にとっては、多くの仕事を担当して、その分経験値が得られる環境が乗りたい船でしょう。ハードワークを望んでいるタイプだったりします。

一方で、仕事よりもプライベートを充実させたいという人もいるでしょう。
この人は仕事はそこそこに定時で帰れる職場が望ましいわけです。

プライベートの充実を望む人が向上心高めの人向けの会社に入るとミスマッチが起きます。
このミスマッチが起きた状況で入社すると「社畜」が生まれるわけです。

逆も然りです。
もっと成長したいのに、たくさん経験値稼ぎたいのに、超ホワイト企業で仕事も簡単、残業なしとなるとそれはそれで辛いわけです。
これはポケモンで初期の草むらでずっと低レベルの野生ポケモンと対戦させられているのと同じ状況です。

企業の目指すゴールはどこに書いてあるか

会社の目指すゴールは「企業理念」という形で表明されています。
この会社がどのようなやり方で社会貢献していくかを表したものです。

面接で必ず聞かれる「志望動機はなんですか?」という質問。
履歴書にも記入欄ありますよね。
「いや、働かないといけないから、雇ってくれていい感じのところに入社するだけよ、そんなこといちいち聞くなよ」と思いますよね?
これにはちゃんと意図があります。

この質問で聞きたいことは企業理念とその人の目的が一致しているかということなのです。

例えば、ルフィ海賊団に入るための志望動機は次のようなものです。
ーーーー
御海賊団の企業理念は「世界に平和と平等をもたらす」とあり、そのための手段として「ワンピースを見つけることで、世界に認められる海賊王となり、世界で一番影響力を持つ」とありますが、私個人としても世界平和を望んでいます。
なぜなら、私の生まれた島は昔から〜〜という海賊団に支配されていて、困窮した生活を強いられています。そのような状況を打開し自分の故郷も含め同じ思いをしている人々を救いたいのです。
ーーーー
このように自分の目的が企業理念と一致していることを伝え、そう思った理由も添えることができれば、企業もお互いに目的が一致しているなと思えるわけです。

自分がどう貢献できるのか

目指す場所が一緒と言えるだけでは仲間にはなれません。
自分がその船で貢献できる必要もあります。
航海士やれます、コックやれます、狙撃手やれます、医者やれますなど。

目指す先は同じですという上で、自分を仲間にするメリットはこれですと面接ではアピールする必要があるわけです。
逆に言うと、目的一致で貢献もできると説明できたら、よっぽど性格が悪いとかでない限りは、採用しない理由がありません。

みんな誰かの役に立ちたいと思っている

こういう話をすると「やりたいことなんてない/働きたくない」と言う人がいますが、これは違います。
心理学的に、人は皆誰かの役に立ちたいという気持ちを持っています。
その人がまだそういう働き方や仕事に出会えていないだけで、根本はみんな誰かの役に立ちたい、認められたいと思っています。
人間はそう感じるようにプログラムされています。
世の中にある仕事で知っているものが少なく、やりたいと思えるものに出会っていないだけです。

社畜という人達も自ら無給で労働している

私はゲームをしていてふと思うことがあります。
これは労働と何が違うのだろうと。

例えば、マインクラフトというゲーム。
整地というフィールドの凸凹を整えたり、地面の質を統一したりという作業があります。
ひたすら地下深くに潜って鉱石を掘り続ける人もいます。いわゆる地下労働ですよね。
鶏や羊を繁殖させて食料を作ったりもしますし、それを電気回路の概念を使って、自動化させたりもします。

これを休日や空き時間でずっとやっている人がいます。
睡眠時間を削りながら夜通しやっている人もいます。
しかも無給で。
どれも現実に存在する仕事とやってること近いですよね?
それを仕事ではなく、ただやりたくてやっている。

MMOではアイテムのために同じマップを周回したり、クラフト系のゲームではひたすら素材を集めたりします。
私のゲーム友達で、夜中の2時に家に帰ってきてからゲームにログインして、雪山にある石をピッケルでひたすら掘っている人がいました。
本人は半分寝ています。ボイスチャットの先から寝息がときどき聞こえてきます。
もう寝たらと言っても、寝ていないと言い張り、石を掘り続けます。
これを無給でやっているわけです。

私は大学生の時に「どうぶつの森」というゲームにハマっていました。
どうぶつの森はカワイイ感じにはなっていますが、ストーリー自体は借金を返していくゲームです。
果物を集めたり、魚を釣ったりしてお金を稼ぎ、借金を返済していきます。

当時は学生だったので、アルバイトを週5、6とかでやっていた時期だったのですが、そのバイトが終わってからの時間にどうぶつの森をやってて、ふと思ったのです。
なんで余暇のはずのゲームでもお金を稼いでいるんだろうと。
しかも返済のために。
やめませんでしたが。
それでも、やりたくなるのがあのゲームのすごいところです。

「社畜」と嘆いている人もゲームはするのではないでしょうか?
これって労働と全くの別物と言いきれますか?
むしろ給料なしで働いている方がすごいと思いませんか?

ゲームをやっているような感覚で働けるなら、それが本人の向いている仕事ではないでしょうか。
そういう仕事は本当にないのか、それとも自分の知っている世界が狭いだけなのかは今一度考えてみると良いかもしれないです。

会社は利用するもの

会社に所属して時間で働いて、給料をもらうだけなのはもったいないです。
会社に所属することによるメリットは、もちろん安定した収入が得られることもありますが、最大のメリットは個人ではできないような仕事をするチャンスが得られるということです。
個人の名前や信用ではとても受けられないような仕事も、会社に所属することで担当することができます。
会社に所属し、個人ではできないような仕事に挑戦し、経験値を稼ぐことで自分をレベルアップさせていく。

大きな経験値を稼げるというのが会社に所属するメリットなのです。

明日の糧と未来の種

私は働く時に「明日の糧と未来の種」を意識しています。
「明日の糧」とは毎月もらう給料です。これがないと生きていけません。
「未来の種」は、5年後10年後のような将来に向けた自己投資のことです。

会社に所属する際には、これらを50:50でバランスが取れると良いと考えています。
自分の貢献できることで明日の糧である給料をもらい、
一方で、未来の種となる経験もさせてもらうのです。

例えば、次のような考え方です。

【なりたい自分】
組織の中で常にお手本となる存在でありたい

【明日の糧】
自分の持っている専門の技術スキルは会社にはまだないもので、これから必要になっていきます。そのノウハウを会社に提供しつつ人材も育成していくことで貢献します。

【未来の種】
代わりにマネジメント業務を経験させて欲しい。
マネジメントの経験は今後のキャリアでもプラスになるし、まだやったことがないのでこの機にチャレンジしたい。
組織でお手本となるという自分の目的とも合致している。

これなら会社に所属する上で、明日の糧と未来の種のバランスが取れているのではないでしょうか?
この場合、マネジメント業務は自分にとってのチャレンジなので、この業務で苦労することがあってもそれを「社畜」とは思わないはずです。

もちろん、ただやりたいというだけではダメです。
貢献できるだけのスキルがあることが前提ですし、できることの延長線で未来の種を蒔く必要があります。
極点な話、私が今からサッカー選手を目指すと言っても難しいわけで、できる範囲の経験を会社に要求することは前提です。
もし、貢献できるスキルがないのであれば、まずはそれを身につけることから始めるべきです。

給料を稼ぐだけでは不十分

世の中の変化のスピードはどんどん早くなっていて、今の仕事内容が数年後にはガラッと変わっていたりします。
現在通用している働き方や自分の職種でも通じなくなる可能性は十分あるのです。
特にAI革命が起きている今、働き方に大きな変化が起ころうとしています。

国はこのような事態に備えて「リスキリング」という言葉のもと、再教育を促すプログラムを押し進めています。学び直しの助成金という形で予算を組み、労働者の再教育を狙っているのです。

このように今できることに満足するのでなく、次の働き方に向けて学んだり、成長機会を得ることを未来の種と表現しています。

みなさんは明日の糧だけになっていませんか?
未来の自分のために今から種蒔きをしておいた方が良いのではないでしょうか。

同じ船には居続けられない

同じ職場にずっといられるという人はレアだと思います。
実際に企業の平均寿命は23.3年という調査結果も出ています。
これは現役で働く年数より短いです。

どこかで船を乗り換える時がくると思った方がいいです。
ワンピースの世界でも解散する海賊団もいて、新しい船に乗ったり、自分で海賊団を立ち上げたりと何かしらの形で乗る船を変えるということは起きています。

となると、いざ自分が乗る船を変える時に、乗りたいと思える船に乗せてもらえるように、今から自分を成長させておく必要があります。

厳しいようですが、毎日目の前の仕事をなんとなくやるだけではダメなのです。
新しいチャレンジをすることで経験値を稼ぎに行ったり、自分のできることを広げるために新しい分野の勉強を始めたりと、未来の種を蒔くことも必要なのです。

最後に

「社畜」という言葉は私は好きではありません。
確かに、仕組み上こういう働き方をせざるを得ない人が出てくることもあるでしょう。
でも文句を言ってるだけで誰かが現状を変えてくれるわけではありません。
環境は変えられない、変えられるのは自分だけです。

そこから抜け出すには自分が成長するしかないと思っています。

私が新卒で入社した会社はいわゆるブラック企業でした。
当時は法人営業として働いていましたが、毎日定刻で帰ったことにさせられ、実際は終電近くまで働いていました。朝7時にはオフィスに来いと言われていました。給料は良くないですし、残業代なんてもらったことありません。
特に営業を教えてくれるベテランがいるわけでもなく、足で稼げと根性論で発破をかけられ、毎週売上売上と詰められる日々を4年間続けました。
当時の営業メンバーはほぼ全員辞めています。

これは被害届ではなく、良かった経験として紹介しています。
自分で望んで飛び込んだ環境です。
最終的には担当顧客は101社、最終年度は億以上の成績を残すことができました。
おかげで多くのスキルを早いスピードで身につけることができましたし、
「社会的に強い自分」というなりたい自分に近づくこともできました。

当時の自分を客観的にみるといわゆる「社畜」だったと思います。
でも当時は必死で、そんなことを考える余裕もなくがむしゃらに頑張っていました。
まだ貢献できることも少なかったのでとにかく頑張りました。
今となっては、その時の経験がものすごくタメになっていることを実感しています。

苦労をすることは成長する上で必要ですが、その苦労の先になりたい自分があるか、これが「社畜」であるかどうかの違いなのかなと思います。

もし現状をよく思わない人がいるのであれば、今一度なりたい自分と頑張る方向性を見直してみてはいかがでしょうか。

きっと見える景色も変わってくると思います。


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