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伝説の教壇に立って!

『3年B組金八先生 伝説の教壇に立て!』

「これまでに遊んだゲームソフトの中でこれだけは忘れられない・絶対に遊んだほうがいい、というオススメの作品があれば教えてください」

ゲーム業界のインタビューや一般の方からの質問や新入社員などの若手から同様の質問を受けたときも、私はずっと一本のゲームソフトを名指しで(20年間変わらずに)お答えしてきました。

それが2004年に発売されたPlaystation2専用ゲームソフト『3年B組金八先生 伝説の教壇に立て!』です。

発売は当時のチュンソフトであり、現在のスパイク・チュンソフトです。

当時の私はサイバーコネクトツーの代表でありゲームディレクターでありながらも、発売された他社のゲームソフトは片っ端から購入して遊んでまた次のソフトを遊ぶという研究を続けていくということをやっていて、そんな中でこの作品と出会いました。

この頃の私にはゲームクリエイターとしての目標があって、それを実現するために様々な映画や漫画やアニメ、そしてゲーム作品を研究していました。

「ゲームソフトが他の娯楽やメディアと違っていて、最も優位な部分はインタラクティブ性から生まれる没入感。で、あるにも関わらず本当の意味で感情を揺さぶられるようなゲームソフトが存在しないのは何故なんだろう?その感情の揺さぶりこそを中心に持ったゲームソフトをいつか自分自身の手で設計して生み出したい」

そんなことを考え続けていた時期だったんですね。

のちにそれは自分自身が手掛けるゲームソフトでも実現することに成功はしたのですが、このころはまだ未達成でその実現に向けて研究したり悩んだりしていた時期だったのです。

そんな時なんです、ちょうど2004年に発売された本作『3年B組金八先生 伝説の教壇に立て!』と出会い、プレイしてまさに心を揺さぶられる体験をして、夜中に一人で遊びながら感動して涙を流しました。

生まれて初めて、ゲームソフトを遊んで泣いたのです。

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初めてゲームソフトを遊んで泣いた

これまでに遊んできたどんな壮大なRPGでもADVゲームでも全く涙を流すことはありませんでした。

「おお~」と感動することはあっても、涙を流すような感情にはならない。

シーンとしてはお涙頂戴の場面でもどこかチープというか、現象としてキャラクターが死んだり石になったりしているだけで、まるで感情は揺さぶられることが無い。

正直、茶番にしか見えない。

ゲームソフトにはプレイする人の感情を一気に没入させるだけのパワーがあるはずなのに何故それを設計に組み込めないんだろう?

自分自身が手掛けるゲームソフトにそれを組み込むにはどうしたらいいんだろう?

まさにそんなことをグルグルと考えていた時期に『3年B組金八先生 伝説の教壇に立て!』をプレイして、そのシステムと物語の見事なまでの融合に衝撃を受けながら感動して震えながら泣きました。

「この手があったのか」

私が思い描いていた手法とは全く異なるギミックで設計されていながらも、まさに「こんな方法があったのか」と頭の中でパリンとガラスが割れる音すら聞こえてきました。

それと同時にフツフツと自分の中に悔しい気持ちも生まれてきていて、頭の中では感動の涙とは別に「なんで自分はこの領域にたどり着けなかったのか」と震えながらエンドロールを睨みつけて最後に表示されたその名を凝視していました。

『監督 イシイジロウ』

最後に表示されたその名前を私は睨みつけながら「絶対に忘れないぞ、この名前を、そしていつか出会って直接ありがとうを言ってやる!」と心に誓いながらささやかな復讐の炎を燃やしていたのでした。

それから4年ほど経ったある日にイシイジロウとは出会うことができました。

ちょうど彼の次回作であるゲームソフト『428 封鎖された渋谷で』のプロモーションをやっているタイミングで、人の紹介で会うことが叶ったのでした。

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2024年6月24日イベント開催

実際に会ったイシイジロウは一見すごく人当たりも良くて朗らかな人物ではあったのですが、やはり話を掘り下げていくとその身体と頭の中心には狂気じみた熱を持っている人間で「あぁ、間違いない、この人こそがあの『金八』を生み出した人間だ」と感じ取ることができました。

それ以降は同じゲーム業界で闘う強敵であり仲間であり同志としていろんなイベントや誌面などでご一緒する機会も多くなりましたし、ご飯を食べたりお酒を飲んだりすることも多かったです。

(完全に友人となったわけですね)

ただ、それ以降もどんな現場でも誰が相手でも「これまでに遊んだゲームソフトの中でこれだけは忘れられない・絶対に遊んだほうがいい、というオススメの作品があれば教えてください」と聞かれれば、私は迷わずに『3年B組金八先生 伝説の教壇に立て!』と答えてきました。

それはこの20年間ずっと変わりませんでした。

「『金八』が発売されて20周年!を記念して非公式のイベントを企画しようと思っているので、松山さん、良かったら手伝ってくれませんか?」

イシイジロウからそんな相談があったのは2023年末のことでした。

まぁ、詳細なんか聞くまでもなく「もちろんですよ」と即答して、イシイジロウが自分でいろんな人や企業に根回しをして、ようやくイベントの告知が出来た、というのが今現在なわけです。

ということで、2024年6月24日に『伝説の教壇に立って!20周年記念 2004年の3年B組同窓会』というイベントが開催されます。

(上にあるイシイジロウの告知ツイートを参照ください)

ぜひ皆さん会場に足を運んでください。

告知されている通り、チケットが無くなる前にぜひお買い求めいただいて、懐かしくも今なお色あせることが無い本作の魅力についてたっぷりとお話ししましょう。

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ということで、ここまではイベントの告知と私が登壇することになった経緯の話だったのですが、ここからはもう少しだけ裏側の話をしておこうと思います。

当時の週刊ファミ通の話も含めて、ゲームソフトを売るという販売戦略のジレンマというか苦しさについても触れておきます。

もちろん私の主観であるということはあらかじめご了承ください。

購入者の96%が感動

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