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東京ゲームショウの歩き方

今年も開催!東京ゲームショウ2024!今年も盛り上がりましたね。

毎年のように世界中から20万人以上(今回は27万人と報道)の人が訪れる世界有数のゲームイベントで、特に最近は日本のゲーム企業だけでなくアジアを始めとした色んな国のゲーム企業が出展されるようになって実に国際色豊かになってきました。

ゲームビジネスがワールドワイドビジネスである(とっくにそうですが)、ということがより顕著に表れてきている感じがします。

さて、今回は少し趣向を変えて、ゲーム会社の人間(私ですね)がこの東京ゲームショウというイベントに対してどう向き合っているか?ということをお話していきたいと思います。

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ビジネスデイとパブリックデイ

まず、ゲームショウは木曜日から日曜日まで4日間開催されますが、ビジネスデイ(木曜日&金曜日)とパブリックデイ(土曜日&日曜日)に分かれていて、当然ながらビジネスデイは一般の人は入場することが出来ません。

たまにゲーム会社に知り合いがいてチケットを貰ってビジネスデイに入場している一般の人もいらっしゃいますが、本当はダメです。

完全にゲームビジネスに従事している人たちのための二日間となっているので、基本的には出展を行っているゲームメーカーやそれらのゲームソフト開発を行っているゲームディベロッパーの開発者や、営業や流通や宣伝を含めたゲームビジネスを行っている人たちが商談をするために用意されているのがビジネスデイです。

なので一般日(パブリックデイ)が1日で10万人近くの来場者が来るのに対して、ビジネスデイはだいたい3万人から4万人くらいです。

関係者しかいませんので、まぁそりゃそうです。

また大手ゲームメーカーの偉い人たちはだいたいこのビジネスデイにしか来ません。

規模にもよりますが、メーカーによっては数億円もかけて出展&展示を行っていますのでその視察に来られるわけですね。

で、我々ゲーム会社の人間は基本的にビジネスデイを狙ってその大手ゲームメーカーの偉い人たちへの挨拶回りを行う感じです。

「よぉ、久しぶり、元気?活躍はメディアで拝見してますよ」

なんてことを挨拶しながら話したり、新しい名刺をお互いに渡しあったりするわけですね。

まさにビジネスって感じです。

一方でパブリックデイの土曜日&日曜日に会場にいるゲーム会社の人間はだいたい宣伝担当や新人しかいません。

ファン向けのステージイベントなどに登壇するプロデューサーはもちろん会場にいますし、ステージも頑張りますが自分の出番が終わったらだいたいサッとみんな帰ります。

一般日であるパブリックデイはまさにゲームファンのための二日間ですので、どちらかというと業界人よりも出展されているゲームソフトの方が主役という考え方が強いのです。

なのでファンが喜んでくれるようなステージイベントは実施しますが、それが終わったら用済みだということなので、本当にサッと消えます。

ゲーム業界の人間同士のコミュニケーションはビジネスデイに済ませていますからね。

ちなみに(私を含めた)サイバーコネクトツーは少し考え方が異なります。

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サイバーコネクトツーの出張ルール

ビジネスデイは私や副社長の宮崎などがゲーム業界の人間とコミュニケーションをとってビジネスの話を中心に行いますが、開発スタッフはパブリックデイに来て、実際にゲームをプレイされているお客様の姿を観察しています。

これはサイバーコネクトツーが福岡に本社を構えているゲーム企業であることに起因しているのですが、東京ゲームショウに参加するスタッフは当然ながら出張として東京に来ていますので会場以外に行くところもありませんし、実際にゲームをプレイされるお客様の姿を観察するために来ているので基本的に2日間ブースに張り付いていることになります。

このへんはウチ独自の文化のようなものですので、パブリッシャーであるバンダイナムコエンターテインメントやアニプレックスやセガにも理解をしてもらったうえでサイバーコネクトツーの開発スタッフがそれぞれのメーカーのジャケットをお預かりした状態でそれらを纏ってお客様のアテンドをしたりして働かせてもらっています。

普通のゲーム開発会社はそんなことを開発スタッフにさせたりしないので、完全にサイバーコネクトツーの独自の文化だと思います。

「そんなことをさせる暇があるのならゲームを作らせろよ」

なんて意見も聞こえてきそうですが、基本的な考えは『現場百景』ですよ、正確な意味合いとは違うかもしれませんが開発スタッフには昔からそう伝えていますよ。

ゲームを作っているのは何のためですか?

面白いゲームを作るため?

では、それは誰のためにですか?

お客様のためでしょう?

最終的に完成したゲームソフトを手に取って遊ばれるのはお客様なんです、(当然のことですが)そのお客様と向き合い間近で完成前のゲームソフトをプレイしていただけるのですから、その姿と向き合わないわけにはいきませんよ。

オンラインの向こう側で遊ばれているお客様の顔も見れないような時代に、こうやってリアルイベントが実施されて直接的にお客様の笑ってらっしゃる顔や不安げな表情まで全部を観察できる機会なんてそれこそ東京ゲームショウくらいなんですよ。

なのでサイバーコネクトツーではパブリックデイにこそ開発スタッフを派遣する意味と意義を見出しているというわけなんです。

(当然ですが休日出勤になりますので代休を取得してもらうことになります。なので、毎回出張に行くメンバーは開発チームや上長とも相談した上で選抜されて行く感じになっています。毎回だいたい福岡本社から10人以上のスタッフが出張に行っている感じです)

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ちなみに、ですが。今回の東京ゲームショウ2024に関してはサイバーコネクトツーの福岡本社から出張で参加した開発スタッフは0人です。(営業系の人間のみの参加でした)

どういうことかというと、まぁ単純な話、開発タイトルの出展がほぼ無かったからなんですね。

アニプレックスブースにて『鬼滅の刃 目指せ!最強隊士!』の体験試遊台は設置されていましたが、アップデート予定の新しいステージの体験のみでしたので今回はみんな福岡でお留守番でしたね。

結局、東京に出張に来たらその分、平日のどこかで代休を取得して開発の手を止めることになりますからね。

そのへんはアニプレックスとも相談した上で、今回は開発に集中するためにも出張させるのはやめましょう、という結論に至りました。

さて、ここからは私自身の東京ゲームショウ4日間の動きを振り返りながら、ゲーム業界と他の業界の感覚の違いなんかもお話していこうと思います。(かなり赤裸々で驚かれると思います)

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東京ゲームショウ1日目

ビジネスデイ1日目でもあるこの日は朝から副社長の宮崎や東京スタジオの人事担当者とゲーム系の専門学校や大学のブースを回って挨拶をしました。

だいたい、いつも私は学校ブースから回ります。

まぁ今も年間100回は学校講演を実施していますし、サイバーコネクトツーは中途よりも新卒採用に力を入れている会社なので当然です。

年間で40人以上の新卒者を採用できているのはこういう行動の積み重ねだと思っています。

で、一番上にある投稿にも書いてある通り、学校ブースに限らず、東京ゲームショウの会場を歩いているとだいたい誰かから声をかけられます。

「松山さん、ご無沙汰してます!」

みたいな感じで声をかけられて話をしていると、その後ろにまた新しい人が(挨拶をするために)並び始めたりします。

決して大袈裟でも無く、本当に10歩も歩けない状態でまた誰かに声をかけられて足を止めて挨拶をして、とこれが延々と続く感じです。

よくゲーム業界の人間が「東京ゲームショウのビジネスデイは同窓会だ」なんてことを言ったりするのですが、まさにそんな感じだな、と思う瞬間でもあります。

こんな感じでホール1から順番に回っていくのですが、正直、一日では全部のブースに挨拶に伺うことは出来ませんでした。

だいたい半分くらい。

あと同時にLINEなどで「松山さん、会場にいらっしゃいます?ご紹介したい人がいるのですが、今どちらですか?」という連絡が来たりしますので、そういうのにも対応しているとだいたいそれで初日が終わります。

だいたい一日で2万歩くらい歩いています。

で、夕方17時30分からはゲーム業界の人たちとの交流会、という名の大規模飲み会が実施されます。

今回は80人以上の人たちが集まる(本当に大規模)飲み会だったので、もうわちゃわちゃでしたがなんとか皆さんと飲みながら交流が出来ました。

その後に私は途中で抜けて、19時からいつもの『ゲーム業界クソ飲み会』のメンバーがいるお店に移動します。

メンバーを明かしたりはしませんが、だいたい大手ゲームメーカーのプロデューサーや著名なゲームクリエイターで構成されているLINEグループのクソどもです。

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