【本紹介】宗教を勉強したい人へ ~イスラム教編~

日本人にとって宗教は苦手分野である。

特にイスラム教となるとまるで接点がなく、ニュースで暗い情報を見るばかりだ。そのうち、知らず知らずのうちにイスラム圏の人々に苦手意識が芽生えているのを実感する。

同じように感じている人も多いと思う。

そこでイスラム教のことを正しく知るために、読んだ本を5冊紹介したいと思う。

一方的な思想にならないように、注意しながら読んだつもりなので、これからイスラム教を知りたい人の参考になれば幸いである。

①まずはコレ「となりのイスラム」

・タイトル:となりのイスラム 
・著者: 内藤 正典 
・ページ数/読了時間:252ページ/約2時間

まずはイスラム教に対する固定概念を取り除こう。

9.11米国同時多発テロ以降、イスラム=テロのイメージが植え付けられ、イスラム教は怖い・危険な宗教だと思っている人も多いはずだ。

この本はそんな怖いイメージを取っ払ってくれる。

著者曰く、人がとても誠実で面倒見が良く、イスラム圏に行くと安堵感を覚える。これはヨーロッパでは感じないとのこと。

内容は超初心者向け。日常的に接するイスラム教の人々がメインで書かれているので、実践的で役に立つ内容が多いと感じた。

最初に読むべき本としておすすめである。

②イスラムの本質を知るにはコレ「イスラーム文化」

・タイトル:イスラーム文化 
・著者: 井筒 俊彦
・ページ数/読了時間:233ページ/約4時間

日本のイスラム研究の大家 井筒俊彦氏による、一般向けのイスラム文化についての講演集である。

講演集のため口語体で読みやすい。なにより著者の博識ぶりに驚かされる。

いまやイスラム教は遠い国の話ではない。今後世界の3分の1がイスラム教になると言われている現代、イスラム教を正しく理解する必要がでてきている。

驚くことは約40年前から著者は同様の必要性を訴えているということだ。今ようやく時代が著者の予測した未来に追いついてきた。

イスラムの本質構造を理解するために必須な一冊である。

③イスラム教をより深く知りたい人にはコレ「『コーラン』を読む」

・タイトル:『コーラン』を読む
・著者: 井筒 俊彦
・ページ数/読了時間:432ページ/約8時間

②と同じ著者。これも講演集のため読みやすいが、より深くイスラム教について考察しており、少し専門的な要素もあり。

タイトルにあるコーランとはイスラム教の聖典のことである。

本書の驚くべき点はコーランの全体を解説しているのではなく、「開扉」というたった7行の短い文章を400ページにわたって解説している点である。

著者曰く、その7行にコーランの全てが含まれているとのこと。

コーランは当時のイスラムの情景・時代の視点に立って理解することが重要であり、そのために必要な知識・考え方を教えてくれる本である。

イスラム教とは関係なく、文章を深く考えることの面白さを教えてくれる。非常に知識欲を刺激してくれる一冊である。

④現代のイスラム教対立を知るにはコレ「イスラーム思想を読みとく」

・タイトル:イスラーム思想を読みとく
・著者: 松山 洋平
・ページ数/読了時間:254ページ/約2時間

イスラム教と一言で言っても、内部事情は複雑である。よく聞く「シーア派」・「スンニ派」にはじまり、「穏健派」・「過激派」、イスラム国などイスラム教同士でも根深い対立がみられる。

そういった組織内対立がどうして起こり、どのような関係性になっているのか、それぞれの思想を読み解くことで理解させてくれる一冊である。

イスラム教を平和的・危険的どちらかに肩入れすることなく、中立的な視点にたって考察している。

現代で起こっているイスラム教の内情を客観的に知ることができるのが本書の良い点である。

⑤イスラム教の負の側面を知るにはコレ「イスラム教の論理」

・タイトル:イスラム教の論理
・著者: 飯山 陽
・ページ数/読了時間:168ページ/約2時間

イスラム教は平和な宗教だよといくら言っても、現実問題として各地でテロが発生している。

「過激派の思想は何か?」「なぜ過激派はなくならない?」「イスラム教はなぜ過激派は処罰できない?」これらの疑問を過激派の視点に立って、イスラム教の教理解釈を理解することができる一冊である。

イスラム教の負の側面を知ることも、イスラム教を理解する上で必要なことだと思う。イスラム問題の根深さを考えさせられる。

⑥さいごに

イスラム教は知れば知るほど奥が深い。

最初は戒律に縛られた厳しい宗教というイメージだったが、意外と適当であるという印象をもった。(おおらかという表現が正しいかも)

特に良いことも悪いことも、全ては神まかせという考え方は、気にしすぎの日本人にはちょうど良いくらいだ。

宗教から学ぶことも多いと感じた。

この記事を読んで、紹介した本をはじめとして、イスラム教に少しでも興味をもってもらえたら嬉しく思う。

以上。

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