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タワーブリッジ - ロンドン探訪

 ここは「ロンドンブリッジ、じゃない方」とよく言ってしまう場所。そう、その名はタワーブリッジ。1894年の建設。二つの塔がそびえ立ち、テムズ川の上を行きかう者たちを見守っている。

 以前、旅先で出会った友人が送ってくださったポストカードに、山下清さんの貼絵でタワーブリッジを描いたものがあり、とても素敵でずっと家の冷蔵庫に扉に飾っている。

放浪の画家、山下清さんの作品

 外から見たことはあったのだが、塔にのぼって中を見学するのは初めて。42メートルの高さに設けられた、ガラス張りの床から真下の景色を眺められるという。

 では本日のメインの場所を訪れる前に、まずは腹ごしらえ。周辺の楽しいエリアに寄り道したい。

 この日のスタートは、レドンホールマーケット(Leadenhall Market)。落ち着いた赤を基調とした装飾やアーケードと柱が美しく、訪れる度に写真をとってしまう。

モダンなビルに囲まれる異空間
このあたりは普段ビジネスエリアなので、日曜日は閉まっている店も多くガラガラです

 こちらにあるペイストリーショップ、Aux Merveilleux de Fredがよさそうだったので行ってみる。

大きなシャンデリアかな
いろんな味のメレンゲのケーキ

 一緒にいたフランス人の友人が、このお店、ロンドンのユーロスターの駅でも見たことがあるというので、地図で調べてみると、あるある。実はパリにも同じお店がたくさん。東京にも、他のヨーロッパの都市などにも支店があるみたい。フランスのお店だと知らずに来た私は、この偶然に大喜びでショーケースをのぞきこむ。

 美味しそうなコッペパンのサンドウィッチが確か5ポンドちょっとと、ロンドンでは良心的な値段じゃないかと思う。このコッペパンがなんとも美味しそうなのである。どうも焼きそばを挟みたくなるが、フランス人の友人によるとこれはブリオッシュ。となると「焼きそばブリオッシュ」この名前には違和感を否めない。。

 うーん、決められない。迷ったときは第一印象!ベジタリアンのジェノベーゼソースが塗られた、サラダリーフとモッツァレラ、ドライトマトなどが入ったサンドウィッチに。デザートは、目移りするメレンゲのケーキから、カフェ味にしてみる。

 レドンホールマーケットといえば、ハリーポッターファンにも有名。こちらはダイアゴン横丁のパブ「漏れ鍋」の撮影に使われた場所があるという。実際に訪れて見るとそこまでこの場所自体にハリーポッター感はないものの、レドンホールマーケット全体に、私はマジカルな雰囲気を感じる。

 サンドウィッチを食べようと、城塞として築かれたタワーオブロンドン(ロンドン塔)を目指す。この前に確か幅の広い階段があって、城塞を眺めながら座れるはずだ。友人と地図を見ないルールで遊びながら、まずはテムズ川沿いに出る。眺めが開ける場所は気持ちがよく、ロンドンのランドーマークもひょっこり見えて楽しい。

こちらが本物のロンドンブリッジ
遠くにロンドンアイ(観覧車)

 タワーオブロンドンの広場でランチ休憩。サンドウィッチは期待どおり、とても美味しかった!コッペパンそのものが本当に美味しい。デザートは初めてちゃんと食べるメレンゲ。こんなに柔らかいのかと、壊れそうなケーキを慎重に箱から出す。口の中でとろけるテクスチャーだった。

美味しいパン
カフェ味のケーキ

 タワーオブロンドンでは、ここ最近バイオダイバーシティのためにお花畑をつくったようで、背の高い花たちの姿が大変美しく、石の壁をバックグランドに咲き乱れている。ラベンダーにはたくさんの蜂が集まっていた。

ラベンダーと蜂
これぞお花畑

 タワーブリッジの上に登るチケットはオンラインで購入。Entry to Tower Bridge and Engine Roomsという種類で13.40ポンド。まだ時間があるので、気になっていたカフェで休憩。

朝に家でラテをつくって、ここは二杯目のコーヒーなのでチャイラテに

 さて。いよいよメインのタワーブリッジへ。チケットを見せて入るとすぐ階段である。時々窓から見える橋は、いつもは見えない角度で、階段をのぼるのも苦にならなかった。

階段の途中から見える景色
にゃんこのキャラクターが階段のぼりを励ましてくれます

 楽しみにしていたパートはガラス張りの通路。落ちないとわかっていながらもドキドキして歩く。

ちょっっとわかりにくいかもしれないですが、下から見るとこの通路の一部の床がガラスになっていて、下をのぞくことができます

 タワーブリッジは現役の橋。赤のダブルデッカーをはじめ、車や自転車や行き交う人々で忙しい。

ガラスの床から見える景色

 本日のメインはもう一つ。橋が開く瞬間を見ることだ。一定の条件にあてはまる船が橋の下を通る際は、事前に予約して、通航用に橋を上げてもらうことができる。橋の開くスケジュールはこちらから確認できるので、もし時間が許せば、この時間に合わせて外からでも中からでも見学するのがおすすめ。

 橋が開く前にアナウンスが流れ、車の流れがとまり、通行途中の人々が徐々に走り出す。無人となった橋、スタッフがゲートをしめる。少しして、橋の真ん中が持ち上がり、パカっと開いていく。

静まりかえる橋、スタッフがゲートを閉じる

 モーターボートより、セイリングボートが見たいと、あえてその時間にきた。どんな船が通るかと待っていると、帆の出ていない、数人が乗った娯楽用っぽい船がささっと通っていった。

 必要な航路をとったというよりは、あえて橋の下を通りたくて通ったようにしか見えなかったが、どうなのだろう。これでも恐らく無料で対応してくれるのだろう。

 今度は橋が閉まり始める。最後にピッタリと何事もなかったように閉まっていく過程が面白い。小さな子が「行くよ」という親に、「最後まで見たい」と言っていて、その気持ちわかるなぁと微笑んでしまう。この間止められていた、ロンドンの忙しい交通が渋滞を起こしている姿が眼に浮かぶようだ。ゲートが開くとまずは先頭のサイクリストたちが、何かのレースのように我先にと橋を渡っていく。

サイクリストだけの不思議な風景
上から見るって楽しい

 その昔、橋の開け閉めの際は、入り口の封鎖はロープ、ベルを鳴らしていたようだが、なんと78番のバスが橋がオープンするタイミングで通ってしまい、落ちたらテムズ川の開いた空間の上をジャンプしたのだという。アクション映画のワンシーンのような話である。

#ハトとねこ
偶然2台の78番バスが南と北からやってきて、橋の上を通った瞬間

 映画といえば、タワーブリッジはスパイダーマンの映画にも出てきているようで、すぐに行けない場合は映像で楽しむのはどうでしょうか。

 一通り楽しんだら、二つあるうちの登ってきたのとは別の塔から下に降りるように誘導されている。このあと流れとしては、昔使われていたエンジンルームを見学できるのだが、橋が上がること(リフト)にすっかり魅了された我々は、次のリフト時間に地上から見ることにした。

地上に降りて、ここが橋の開く場所

 見えそうなスポットには、既に人だかりができていて、背伸びしながらではあったがもう一度見学。その後、エンジンルームを見に行く。理系音痴の私だがざっくりと、蒸気を使って、水圧をつくり歯車をまわす仕組みということなのか、よくこんな構造を思い立ち、実際に形にするものだとエンジニア達の凄さにつくづく関心してしまった。

当時のエンジンの仕組み

 その当時多くの人が橋のリフトに関わっていた。使われていた道具などが展示されており、イギリスらしく大きなティーポットもあった。

何人分も注ぐことができそうなケトル

 先ほどのリフトのときに、たまたま近くにいたスタッフが、一番よく見えるのは北西サイドだと説明していたのをちらっと耳にした我々は、二回のリフト見学で飽き足らず、もう一回見ることにする。既にここに来てから2時間が経過しているが、いつまでいるのやら。

三度目のリフト

 次のリフト時間は午後16:15。またすっかり人も車も閉鎖されて15分ほど経ったが、期待する観衆を前に何も通らない。これは背後にひどい交通のパニックとなっていることだろう。。ロンドンで電車やバスが遅れるのはよくあることだが、この橋のリフト時間に遅れてくるのは、さすがにまずいのではないか。

 どうなっているんだと皆が見つめる中、比較的小さな船がようやく姿を現す。この状況では大遅刻だよと思っていた矢先、背後からその船とロープで繋がれた別の大型船がぬっと現れる。なるほど、この船か!と観船客一同、どっと興奮で湧き上がるようだった。

 World Voyagerと書かれたクルーズ船からは、どこから来たのか人々が大きく手を振っている。窓の中にはレストランと思われる白いテーブルクロスの部屋が見えたり、客室からタワーブリッジ通過に気がついてバスローブ姿で出てきた人など、旅の優雅な一面が見えるようだった。

大型船のお出まし

 世界を旅しながら、こんなかたちで初めてロンドンに到着するとしたら、素晴らしくワクワクするのではないだろうか。

 橋のオープン・クローズで大満足の我々は、大型クルーズの通過でたまりに溜まった人々や交通の流れに混じりながら、The Shardを目指す。

この右側の高い建物がThe Shard

 エンジンルームの近くに、お土産さんもあります。

にゃんこがここのキャラクターになっているのが好きだった


#ロンドン探訪


その後の話(高いところに飽きたらない人たち)

 大好きなころのすけさんの記事を拝見し、The Shardのバーを訪れるというすごくいいアイディアをいただいた。確かにロンドンアイなどの観覧車は入場料が高くて、せっかく同じような値段を払うなら、食事や飲み物を楽しめる方がいい。

 楽しく面白いアイディアのつまった、ころのすけさんの記事

 しかし、例によってギリギリでの計画となってしまい、お目当ての52階のバーGŎNGは、とても高いコースの予約しかできない状況であった。では、エレベーターで上がってみるだけできないだろうかと、入り口すらさっぱりわからないこの巨大なビルを目指す。

 ドレスコードがあるということで、普段着の我々は入り口通過すら無理ではないかと友人が言う。外でずっとタワーブリッジを見学していたため、寒すぎて友人から借りたバスタオルをスカーフ代わりにしていた私は、そのタオルを畳みながら、止められるまで行って見ればいいのではないかと提案する。

 とりあえず乗ってみたエスカレーターは、ビジネスオフィスに繋がっていて、日曜日でもフォーマルな着こなしのドアマンが、入り口付近をウロウロしている我々に気づいて出てくる。「バー、ゴングはどこですか」と、バスタオルを閉まったばかりの私が尋ねると、ドアマンは、エスカレーターを降りて、3つある入り口の真ん中から入ってくださいと親切に教えてくれた。

 その真ん中の入り口には、高級ホテルの前のようなとてもエレガントな着こなしのドアマンが立っている。ここじゃないかと思うものの、友人はそこを通り過ぎて、「あっちだ」と右側の入り口を指差す。そのまま着いていくと、またしても入り口のスーツ姿のスタッフ男性に「どちらへ行かれますか?」と尋ねられる。あぁ、ここで終わりなのかと思いつつも、「バー、ゴングへ行きたいです」と自信のない時こそ堂々と答える。いぶかしげな表情の男性だったが、こちらへどうぞと中に入れてくれた。

 続いて待ち受けるは、空港の保安検査のようなセキュリティーチェックである。このカジュアルな私たちの格好を上から下まで見られるようで、持ち物もバックパックである。さすがに終わりかと思ったが、ここも通過。私たちは高速エレベーターの前に立っていた。

 とまるフロアは一つだけということで、何もボタンを押すことなくドアがしゃっと閉じる。31階にとまるようで、ゴングはもっと高いフロアではなかったか?とようやく入り口を間違えたことに気が付く。降りたフロアの目の前にはいくつかのレストランかバーがあるが、ガラス張りの眺めのいいお店を見つけてそちらへ近づく。ここからちらっと景色を見て帰ろうと思った。

 入り口にはやはりスーツの男性が立っていて、「バー、ゴングはこちらですか」と一応尋ねてみるも、ここではないという。そうですか、と言いながらビューを眺める我々に、男性は少し離れて何も言わずに待っていてくれた。

 本当はこんな風にふらっと入るところではないのだろうから、今度はちゃんと予約して、多分ヴェルベットの黒のドレスを着て、ドアマンに自然と迎えいれてもらえるように来ようと、楽しみに思った。

 その後は二人、広島風お好み焼きのお店に向かい、お昼のコッペパンと、夜の焼きそばで、時差「焼きそばパン」を達成した私であった。

夜ご飯の広島風お好み焼き




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