見出し画像

【アジア紀行記】文化の華

 春休み、大学に再び膨大な時間の暇な時間を与えられた。今回の春は、少し前から海外へ行くことに決まっていた。そうというのも、例の名古屋の友人たちとアジア旅行をすることになっていた。アジアに抵抗感があった自分は、友人との交渉の結果、シンガポールを主軸に、ベトナムを経由する形で旅行することになった。

 名古屋に数週間の滞在をした後、そのままシンガポールへと飛んだ。気温0度前後の明朝の名古屋を出て、セントレア国際空港からベトナムへと飛んだ。前回の旅行が北欧だったこともあり、あっという間に着いてしまった。ベトナムは38度などという高気温に、蒸し暑さ。突然の夏であった。そのまますぐにシンガポールへと行く便へトランジットし、少し飛んだと思えば、シンガポールについてしまった。三日間の日程にて、シンガポールを遊び尽くした。有名なチャンギ国際空港、ショッピングモール、現地のスタバ、島に、色々な国の現地人街、マリーナベイサンズ、ナイトサファリなどなどだ。やはり、いわゆるアジアの息吹を感じされるものの、ヨーロッパと比べ、日本と物理的近さを感じる、日本の物の多さには驚いた。蒸し暑さやスコールには若干苦しめられた物の、特段苦労することなかった。香辛料やドリアンの香りは常にしていたような気がする。あっという間に三日間が過ぎ去っていった。

 帰りは、トランジットのベトナムの空港から、ホーチミンへと向かった。空港のタクシーでは、ぼったくりらしき詐欺を受けたが、日本円にすれば大したことではなかったものの、恐怖を感じることとなった。そのまま街を散策したので、初めは恐怖や違和感を覚えていた物の、少しずつ時間が経つにつれ、その土地に打ち解けることができた。カフェに入ったり、食事をしたりした。常に緊張はしていたものの、帰りはアプリを使い、配車することで事なきを得た。帰りの空港のスタバでは、旅が全て無事に終わることに安堵し、ゆったりとしてしまった。

 その後、空港で出国審査をしていると、見覚えのある顔を見つけ、思わず驚いた。それは、留学先で同じ学校にいた日本人で、仲良くしている友人であった。お互いに旅行していることを知らず、たまたまベトナムにいる日程が被り、出国審査の列ですれ違ったのだ。世界が狭いとはよくいうが、流石に驚きで足が震えた。名古屋と東京と行き先が違うものの、そのまま空港の中で少し話すことになった。

 飛行機は再び日本へと向かい、名古屋に着いた。よく、アジアは発展途上国と言われることがある。しかし、本当にそうだろうかというのが今回の旅行で考えたことだ。発展途上国という言葉の、ヨーロッパの文化の押し付けによるものがあるのではないかと感じた。たしかに、日本などと比べても、衛生環境や生活水準は高くないのかもしれない。しかし、そこにはれっきとした文化が根差していて、その文化は決して発展途上であるわけではなく、文化として息づいていた。その国の、土地の、人々の文化の息遣いを感じることができたことが、最大の収穫であったと思う。苦手だと毛嫌いしていたものの、後押ししてもらい、一歩踏み出せたことの収穫である。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?