英語の話し方 |「語用論」(文脈で感じとること、何がいいたいのか?)
言語学の1つの分野に「語用論」という分野があります。
「ある言語記号が、どういう人がどういう状況で、どのような目的で使うのか?」という問題に答えるのが「語用論」(pragmatics)です。
抽象的過ぎると思うので、具体例を挙げてみます。
例えば、冬の寒い日の会話。
A: 「なんか寒くないですか?」
B: 「あ、ごめん。暖房つけますね」
Aの質問を意味通りにとらえれば「はい、寒いです」あるいは「いいえ、寒くありません」が答えになりそうです。
しかし、BはAの発言を「寒いから、近くにいるあなたが暖房のスイッチを押してくれ!」という意味に解釈しました。
このような問題に答えるのが「語用論」です。
同じ文でも状況によって、意味するものがまったく変わってしまうことがあります。
日本語を英語に直す場合には「語用論」的な考え方が大切になります。
例えば「わたしはネコです」はいろいろ訳しわけなければならない。
夏目漱石の小説のように、文字通りの意味ならば
I am a cat.
「犬とネコでは、どちらが好きですか?」に対する答えなら
I like cats.
「ペットを飼うなら、何がいい?」に対する答えなら
I wanna have a cat.
となる。
phraseだけを丸暗記して、文脈を考えないで英語にしてしまうと、とんでもないことになってしまうでしょう。
「語用論」的な考え方は、英会話に役立ちます。
例えば、あなたが男性で、気になっている女性を誘いたいとしよう。
「あの、最近できた、おいしいお店があるんだけど、仕事終わった後にどうかな?」と言いたいが、そのまま訳せないときは
Come with me.
で取りあえず言いたいことは伝わります。直接的なほうが、英語を話すときにはいいかもしれない。
「電車内では、痴漢が多発しております」
と言いたいとき(そんな状況は車掌さん以外になさそうだが)、あれ、「痴漢」って英語で何ていうのだろう?、と考えては、英語が難しくなってしまいます。
Don't touch women
in the train.
で十分ですね。
「夢は何ですか?」
子供が相手なら、
What do you want to be
in the future?
状況によっては
What will you do next ?
What do you want to
do next?
などいろいろ言うことができそうです。
文脈に応じて「So what ?」(だから何?)と考えれば、シンプルに英語を話せるようになるかもしれません。
記事を読んで頂き、ありがとうございます。お気持ちにお応えられるように、つとめて参ります。今後ともよろしくお願いいたします