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バカは死ななきゃ......

 三島由紀夫「不道徳教育講座」(角川文庫、pp.193-198)に、「馬鹿は死ななきゃ……」というエッセイがある。
 バカの症例として、6つのバカを挙げている。

①秀才バカ

出身大学を愛する。語学が達者で、横文字を多用する。運動神経ゼロ。ユーモア・センスなし、etc. 

②謙遜バカ

「私のようなものが」「不肖私が」といいつつ、謙遜の裏に自惚れをチラチラ見せる、etc. 

③ヒューマニスト・バカ

死刑が怖くてたまらず、死刑に反対する。いつでも十字架に昇る覚悟があるのに、自分の指のかすり傷の血を見て卒倒する、etc. 

④自慢バカ

自分の立志伝を三時間もしゃべる。朝から番まで余技の自慢ばかりする、etc. 

⑤三枚目バカ

むやみに自分を三枚目にしたがる。絶えず自分を笑い物にしていなければ気がすまない、etc. 

⑥薬バカ

毎日ビタミン剤をのむ。朝刊の薬の広告を隅々まで読む。中食のあとで胃腸薬をのむ。午後3時には頭痛薬をのむ、etc.


 この他にも、「テレビ・バカ」「週刊雑誌バカ」「南極犬バカ」「あやかりバカ」など、枚挙に暇がない。。。


 解説によれば、『不道徳教育講座』は1958年(昭和33)に「週刊明星」に連載され、翌1959年に中央公論社から単行本で刊行されたもの。三島は当時34歳だった。

 今読んでも、「そういうヤツおるのう~」という感じ。
 「秀才バカ」「自慢バカ」「謙遜バカ」「薬バカ」は、身の回りにもいる(ような気がする)。
 
 私が付け加えるならば、
「デトックス・バカ」
「断捨離バカ」
「自己チューバカ」
「いつも不機嫌バカ」
「友だち自慢バカ」
「下から目線バカ」
「上から目線バカ」
「横から目線バカ」
「初対面なのに馴れ馴れしいバカ」
「空気読まないバカ」
「空気読みすぎバカ」
「『私バカなんです』バカ」

そして、「本当のバカ」。

 こんなに「バカ」「バカ」言うと、バチがあたるだろうか?


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