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短編 | 噛ませ犬ごはん

 世間はアタシのことをみくびっている。
 今日の対戦相手は美人アウトボクサー。華麗な足さばきが自慢のボクサーだ。しかも無敗。しかも試合後は、何事もなかったかのような綺麗な顔のまま。ほとんど怪我をすることすらない。
 アタシはインファイターだ。足は奴ほど早くない。しかし、アタシの一撃の威力を見くびるなよ。ボディを掠めただけで、奴の足を止めるのには十分なはずだ。
 策はある。グローブを合わせた瞬間にそのまま懐に攻めこんで、距離をつぶす。奴がかわす前に、ボディブローを叩き込む。ダメージを逃がされるかもしれないが、アタシは奴より体が強い。
 ポイントをとって、判定勝ちすることは考えていない。アタシが勝つ唯一の方法はKO勝ちだけだ。
 試合は夜だ。あまり食べ過ぎると体が重くなる。おにぎりを二個だけ食べよう。勝った後のインタビューではないと答えようか?
 「彼氏が作ってくれた『噛ませ犬ごはん』のパワーで勝ちました」なんて言ってみようか?

(410文字)

おしまい

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